167 / 328
0167★火熊《ひぐま》の肉は、意外と美味しかった
しおりを挟む「わかったよ…んじゃ、火熊を解体して食べよう」
そう言って、神護は巾着袋から倒した火熊を取り出したのだった。
結局、神護達は火熊の半分を食べた。
いや、倒した火熊はとにかく巨体だったので、よく食べたと言って良い量だった。
もっとも、その大半の肉は、当然、育ち盛りのリオウの胃袋へと納まったことは言うまでもない。
頭は、脳に寄生虫がいたらイヤだと思った神護の手によって、首からスパッと切り落とされ、余分にあった皮袋の中に放り込んで、直ぐに巾着袋の中へと放り込んだのだった。
時間が停止した空間ということで、寄生虫が出て来ることも腐ることもないということで、即断即決したのだ。
もちろん、毛皮も良い状態にしておきたいということで、頭部から綺麗に剥いたことは言うまでも無い。
そう、頭部の皮を剥いだ後に、首を落としたのだ。
ちなみに、薬になるという肝と心臓は、別の皮袋へと放り込み、やはり巾着袋の中に放り込まれた。
内臓は処理が面倒だったので、リオウに食べさせた神護だった。
そのさい、白夜は………。
「クスクス 貴重な火熊の内臓の大半を リオウがペロッと
食べちゃったって知ったら 卒倒する者達続出でしょうねぇ……」
と、言ったが、そんなことを気にする余裕の無い神護は、切り分けた肉の一部をハチミツと千切りした生姜をまぶして、別の皮袋へと放り込んで、巾着袋の中へと放り込んでいた。
その傍らでは、生まれて初めて、満腹までご飯を食べたリオウが、満足げに手を舐めたり、顔を洗ったりして、一心に身繕いしていた。
白夜も、火熊を獲ったハンターだけが食べられるという、幻の生肉をたらふく食べて満足げだった。
かく言う、神護も、最初は少し抵抗感があったが、食べてみたらとても美味しくて、するすると軽く山盛りの生肉を食べてしまっていた。
確かに…なんの調味料が無くても、火熊の肉は
美味かったけど、味付きに慣れている俺には、ちょっと
もの足りないモノがあったから
試しに、ハチミツとシャキシャキの千切り生姜を添えて食べたら
マジに美味かったな
たっぷり食べても、眠気らしいモノは感じなかったので、神護は白夜に問い掛ける。
「白夜…このまま、当初の予定通り夜通し歩く予定だが
それで良いか?」
神護からの問い掛けに、白夜は小首を傾げてから訊き返す。
「えっと 父上は 眠くないんですか?
私は なんかさっきから睡魔が襲ってきて………」
白夜の発言から、神護は既に白夜が眠気を感じて、起きていることが無理だと理解し、肩を竦める。
0
お気に入りに追加
606
あなたにおすすめの小説

女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。


魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
うどん五段
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる