上 下
156 / 328

0156★竹もどきで、ついでにちょっとしたカトラリー?

しおりを挟む


 流石に、白夜に【ルシフェル】の樹液を塗ったなんて言ったら…
 きっと…飛び上がるぐらい、びっくりされるよなぁ……

 なんと言っても【ルシフェル】の種族は、世間一般的には
 過去に大規模な駆除がされて、殲滅されつくして
 絶滅していることに、なっているんだから…………

 そんな神護の心情を知らない白夜は、何かを塗られた瞬間に、じくじくとした痛みがスゥーと消えたことにびっくりしていた。

 〔えっとぉー 父上 なにを塗ったんですか?
  でも そう聞いても良い 雰囲気じゃありませんね……

  もしかして 塗ったモノ 私に知られたくない?
  それか かなり説明しずらいモノなんでしょうか?

  いや 痛みが消えてくれたんで 助かりますが…………

  とりあえず 聞かない方がよさそうですね
  また 痛くなった時に 塗って欲しいですし……〕

 痛みが引いた白夜は、恐る恐る小さな翼をはためかすように動かして、疼くようなじくじくした痛みを感じないことに感動する。

 「すごいです 父上 翼を動かしても ぜんぜん痛くありません
  これなら つらくありません」

 素直な感想を口にする白夜に、神護はほっとして頷いて、マントを付け直す。

 「そうか、良かった……っと……そうそう…忘れるところだった
  なにかスプーンみたいなモノないかなぁ?

  コップの蜂蜜を食べるのに適した………
  ちょっとここで待ってくれるか?」

 「はい 父上」

 翼の根元のじくじくした痛みが消えた白夜は、背後から目の前に戻って来た神護にニコニコしながら頷いた。

 神護は、白夜の顔色を確認し、翼の根元の痛みが、樹液の保護によって、軽減されていることを見て取り、ほっとする。

 「じゃ…ちょっと離れるぞ」

 そう言った神護は、周辺をグルッと見回して頷く。
 その視線の先には、竹によく似たモノが生えていた。

 スプーンもどきを作るなら……ふむ、コレ竹もどきが良いかな?

 そう意識した時には、竹もどきを手刀しゅとうであっさりと切っていた。
 もちろん、手頃の長さに切った竹もどきを縦割りし、先を綺麗に削って、即席のスプーンを作る。

 もちろん、予備も考えて、5本のスプーンもどきを作った。
 4本はなんとなく縁起が悪いし……ということで、5本だった。

 即席のスプーンを作った神護は、そのまま、残った竹もどきでお箸も作った。
 流石に、手づかみでモノを食べるのがイヤだったからだ。

 もちろん、魚などを焼くのにも、樹の枝よりも使い易い竹もどきで………ということで、串も20本ほど作っていた。
 この直ぐ後に、活躍したのはこの竹もどきの串だったりする。

 そんな後のことは知らない神護は、竹もどきのスプーンを手に白夜の元に直ぐに戻った。
 もちろん、作ったお箸や串は直ぐに布袋の中にしまっていた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。 その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。 16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。 後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」  何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?  後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!  負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。  やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*) 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/06/22……完結 2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位 2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位 2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

処理中です...