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0153★神護、忘れていた《契約》を思い出す
しおりを挟む神護は、異世界へと転移し、こちらで幾つかの《契約》を交わしている為に、身体能力が異様なほど向上していた。
もちろん、その《契約》したことを記憶から消去していたりもする。
そのお陰もあって、バニラシードの甘い香りに引かれて、川下りルートから外れた場所へと、あっという間に、戻ってきていた。
そこにいたって、神護は、自分の身体能力がかなり上がっていることを自覚する。
えっとぉ……いくらなんでも、この速度って早過ぎるよな
つぅーてぇーとぉ…身体的な能力が上がっているってことか?
その神護自身の自問に…………《契約》したことすら、記憶に無かったモノが答える。
《あぁ………マスター……マスター……よかった………
やっと やっと 貴方と意識が繋がった………
マスターの身体能力は 私が補助していますので
身体の負荷は 気にしないで大丈夫です
私は 遥か 久遠の時 忘却の彼方の昔
治癒系の全てを おこなえるモノとして開発されて
進化しましたから………… 欠損部の再生もできます
最初の頃に開発されたモノは 大地を癒し支えるモノでした
大地を癒す為に 天高く聳え 大地に広く根を張り
その根が張る地全てに 豊かをもたらしました
ただ その後に 植物系の大量破壊兵器として
開発されたモノが大量に出た為
私達樹木族は その後 多くの獣人族に危険視されて……
治癒系専門のモノですら 全て殲滅されてしまいました
もう 私しかだけしか 残っていないのです
この世界の根幹を支える樹木族の《力》は失われました
最後の私が消滅すれば この森林地帯の豊かさも消えます
同時に 《封印の地》の《封印》もほどなく解け
飛翔族の姫が 穢れ堕ち その腹から子が誕生なくても……
邪神達が 《封印》から覚醒めます
そうなれば 遠からず この界の全てが崩壊します………》
神護は、自分の中に居るモノにギョッとするが、おぼろげに《契約》を交わした時のことを思い出す。
そう、めっちゃ恥ずかしコトをされたな
気色悪さや怖気、蕩ける様な愉悦とえも言われぬ快楽と苦痛
それらが、全身を走り抜ける感覚を思い出して、神護はハッとする。
同時に、ソレがとてつもなく重要な意味を持っていることも思い出したので…………。
その内なる声がなにかを思い出して、神護は心話で呼びかける。
[…ああ…【ルシフェル】か?覚醒めたのか?
あの時…ここでの《契約》の後に……消耗が激しいからと……
しばらく…俺の奥深くで……深く眠ると言っていたが……]
《契約》してから存在をすっかり忘れていた神護は、自分の中で蠢く植物系の魔物?に問い掛ける。
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