112 / 328
0112★ネズミーランドは危険がいっぱい?22 敵を倒したら《魔石》が出現
しおりを挟むホタルの推測に無意識に頷きながら、神護は黙々と地図に描かれていた第一の休憩所へと向かい歩き続ける。
そんな神護の隣りで、同じように妖狐のギンを肩に乗せた竜治は、周囲を注意深く観察しながらも、神護のペースにあわせて歩いていた。
「なぁ~……竜治はん……ここの空間……
こう…なんか……えろぉ~変やわぁ~…
妙に……魔素が濃いんやぁわぁ…
きぃ~つけられはったほうがええわなぁ……
なんか……キケンなモンが…………」
そう言っているうちに、再びネズミ系獣人が集団で出現する。
黒き河の王国の兵士達………黒鼠族《こくそぞく》が。
「敵だっ」
舌打ちして鋭く叫んだ竜治をよそに、神護は溜め息を吐く。
あぁ~あ……やっぱり…出現したか………
また、ネズミ系の獣人かよ………ったく…
ぜんっぜん…可愛くねぇぇぇ~……ケッ…
「みんな…さがってくれ……サクッと倒すから………」
そう言い放って、神護は長ったらしい詠唱を唱えて、本当にサクッと倒してしまったのだった。
また、魔術が発動したコトで、綺麗なグラフィック映像が流れた。
見るからに、魔法陣らしきものが空間へと浮かび上がり、光り輝きながら閃光を放ち、同時に敵全てを覆って炸裂していた。
後には、何も残らなかった………見た目は、リアル映像のグラフィックだが………。
もちろん、魔素がある異なった世界で生きてきたネズミ系獣人なので、倒したあとには、わりと立派な《魔石》なるモノが転がっていた。
神護は転がった《魔石》をさっさと拾い集めてた。
それを見ていた美鶴が言う。
「ねぇ~……次はアタシ達も参戦させてよ……
せっかく呪文覚えたんだから…………」
他のメンバー、美鶴に賛成と、コクコクしていた。
「おう……わかった……そんじゃぁ~…積極的に……
戦闘をバンバンとこなそうぜ」
神護のセリフにみんなが頷く中、妖狐のギンが神護におねだりする。
「なぁ~……神護はん……ボぉ~クぅ~に……
その……敵さん倒しはって……ひろぉ~た…
《魔石》くれへんやろかぁ?
えろぉ~……長い時……《封印》されて……
かすかすなん……いざ…って…時にぃ…
きちんと……《力》使いたいんやぁ……」
妖狐のギンのセリフに、神護は頷いて拾った《魔石》を手渡す。
「ほんまぁ~……嬉しいわぁ~……《魔石》ぃ~…………」
神護に手渡された《魔石》を、妖狐のギンはとても蕩けた顔で、心底美味しそうに、ペロッと食べてしまったのだった。
「ほんまにぃ……えろうイイ感じに…染み渡るわぁ~…
《魔力》が…満たされはるわぁ…はぁ~…たまらんわぁ……」
嬉々とする妖狐のギンを見て、神護は心話でホタルに聞いてみる。
[ホタル…ホタルも《魔石》を食べるか?
ずっと……卵が心配で…食べてないんじゃないか?]
神護の気遣いに、ホタルは嬉しそうに頷く。
[はい ホタルも 《魔石》を食べたいです]
[んじゃ……次に…あいつらを倒したら…
ホタルに食べさしてやるな]
そう言って、神護は再び歩きだした。
0
お気に入りに追加
604
あなたにおすすめの小説

異世界なんて救ってやらねぇ
千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部)
想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。
結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。
色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部)
期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。
平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。
果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。
その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部)
【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】
【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

裏切られた公爵令嬢は、冒険者として自由に生きる
小倉みち
ファンタジー
公爵令嬢のヴァイオレットは、自身の断罪の場で、この世界が乙女ゲームの世界であることを思い出す。
自分の前世と、自分が悪役令嬢に転生してしまったという事実に気づいてしまったものの、もう遅い。
ヴァイオレットはヒロインである庶民のデイジーと婚約者である第一王子に嵌められ、断罪されてしまった直後だったのだ。
彼女は弁明をする間もなく、学園を退学になり、家族からも見放されてしまう。
信じていた人々の裏切りにより、ヴァイオレットは絶望の淵に立ったーーわけではなかった。
「貴族じゃなくなったのなら、冒険者になればいいじゃない」
持ち前の能力を武器に、ヴァイオレットは冒険者として世界中を旅することにした。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
斑鳩いかるのシンリョウジョ
ちきりやばじーな
ファンタジー
特殊能力の発現・取り扱いにお悩みの方へ
特殊症状の診断を受けてみませんか?
斑鳩シンリョウジョでは症状の改善・サポートを行っています!
まずはお気軽にご相談ください!
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる