上 下
92 / 328

0092★ネズミーランドは危険がいっぱい?2 ホタルが空間のよどみや歪みを感じる

しおりを挟む
 竜治の問いに、神護は軽く首を振る。

 「なにも……ただ……ふっ…と…気付くと……
  まるで、樹海みたいなところに居て………

  とにかく、その辺をうろうろして………
  気が付くと……こっちの世界では
  朝になっている……みたいな感じで………

  最初こそ…あそこの境内で
  妙な気配に纏わり付かれたから…………

  なんかにかれたのかなぁ~……
  …って思ったさ………

  そう…自殺者の悪霊みたいなさ……
  なんつったって、テレビでよく見る
  富士の樹海みたいなところだから

  まさに…鬱蒼うっそうとした………
  …森林の中で…………ただ、うろうろと
  するだけなんだよなぁ…………」

 嘘は言って無いぞ
 言わないことがあるだけで…………

 竜治は、すっげー霊力あるし
 勘がイイからなぁ………
 下手に、何も無いよりはいいかな?

 竜治は、神護の様子を確認しながら、頷いた。

 「そうなんだ……それで
  霊障れいしょうらしきものは感じるかい?」

 「いや、そういう感じのが無いから
  逆に困っているんだ

  お陰で……ちょっとばかり
  睡眠不足ンなってる気がする」

 竜治は、ここ最近、神護が学校の授業が終わると、休憩時間や昼休みに、ベタッと机に突っ伏している姿を見ていたので、納得という顔をする。
 が、しかし、それ以外に困っていることがないのでは、雲を掴むような話しなので、竜治もありきたりのことしか言えなかった。

 「まぁ……神護が、対処に困るような
  コトがあったら……相談して欲しいな……

  一応、僕は婚約者1号だしね…もちろん
  2号の美姫も、3号の美亜も控えているよ」

 その軽口に、神護は目を瞑ったまま、フッと笑う。

 「ああ、わかっているよ……
  どうしようもなく困ったら
  竜治達に言うから………

  つーことで……睡眠不足気味だから
  少しうたた寝するわ」

 そう言って、神護は双眸を閉じた。
 途端に、ホタルが思念で話しかけてくる。

 [マスター ここは あまり良くない場所ですね
  妙な気が わだかまっています

  よどみと歪みも ……お陰で……
  空間がいびつに重なっています]

 ホタルの言葉に、神護はちょっと考える。

 [ふぅ~ん……空間の歪みかぁ……
  まぁ…人が集まるところだからなぁ……

  空間が、いびつに重なっている
  っつーのは気になるけど

  今は、ちょっと休息が欲しいかな…………

  何時、また…あっちの異世界に
  ひょいっと引き込まれて

  獣人達と、戦闘なんてことに
  なるかわからない…からなぁ………

  俺は……休んでいるから
  ココをしばらく動く気はないから…………

  ホタルは、周辺の偵察も兼ねて
  遊んで来てもイイぞ……

  かえりそうな卵が心配で
  アンデットになったぐらいだ

  しばらく、翼を伸ばしてなかったんだろう

  せっかくだから
  世界を観察してこいよ……]

 神護からの心話に、ホタルは首を傾げてから、スイッと空に飛び上がる。

 [それじゃ……少しだけ……]

 そう言って、ホタルはネズミーランドの探索に出かけたのだった。
 神護は、ここしばらくの睡眠不足を補う為、本格的な眠りへと誘われる。
 そして、穏やかな時間が流れるのだった。











しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

公爵夫人のやけごはん〜旦那様が帰ってこない夜の秘密のお茶会〜

白琴音彩
ファンタジー
初夜をすっぽかされ続けている公爵夫人ヴィヴィアーナ。今日もベットにひとりの彼女は、仲間を集めて厨房へ向かう。 公爵夫人が公爵邸の使用人たちとおいしく夜食を食べているだけのほのぼのコメディです。 *1話完結型。 *リアルタイム投稿 *主人公かなり大雑把なので気になる人はUターン推奨です。 *食べ盛りの女子高校生が夜中にこっそりつくる夜食レベル

落ちこぼれ盾職人は異世界のゲームチェンジャーとなる ~エルフ♀と同居しました。安定収入も得たのでスローライフを満喫します~

テツみン
ファンタジー
*この作品は24hポイントが0になりしだい、公開を終了します。ご愛読ありがとうございました。 アスタリア大陸では地球から一万人以上の若者が召喚され、召喚人(しょうかんびと)と呼ばれている。 彼らは冒険者や生産者となり、魔族や魔物と戦っていたのだ。 日本からの召喚人で、生産系志望だった虹川ヒロトは女神に勧められるがまま盾職人のスキルを授かった。 しかし、盾を売っても原価割れで、生活はどんどん苦しくなる。 そのうえ、同じ召喚人からも「出遅れ組」、「底辺職人」、「貧乏人」とバカにされる日々。 そんなとき、行き倒れになっていたエルフの女の子、アリシアを助け、自分の工房に泊めてあげる。 彼女は魔法研究所をクビにされ、住み場所もおカネもなかったのだ。 そして、彼女との会話からヒロトはあるアイデアを思いつくと―― これは、落ちこぼれ召喚人のふたりが協力し合い、異世界の成功者となっていく――そんな物語である。

神々に天界に召喚され下界に追放された戦場カメラマンは神々に戦いを挑む。

黒ハット
ファンタジー
戦場カメラマンの北村大和は,異世界の神々の戦の戦力として神々の召喚魔法で特殊部隊の召喚に巻き込まれてしまい、天界に召喚されるが神力が弱い無能者の烙印を押され、役に立たないという理由で異世界の人間界に追放されて冒険者になる。剣と魔法の力をつけて人間を玩具のように扱う神々に戦いを挑むが果たして彼は神々に勝てるのだろうか

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

貴方誰ですか?〜婚約者が10年ぶりに帰ってきました〜

なーさ
恋愛
侯爵令嬢のアーニャ。だが彼女ももう23歳。結婚適齢期も過ぎた彼女だが婚約者がいた。その名も伯爵令息のナトリ。彼が16歳、アーニャが13歳のあの日。戦争に行ってから10年。戦争に行ったまま帰ってこない。毎月送ると言っていた手紙も旅立ってから送られてくることはないし相手の家からも、もう忘れていいと言われている。もう潮時だろうと婚約破棄し、各家族円満の婚約解消。そして王宮で働き出したアーニャ。一年後ナトリは英雄となり帰ってくる。しかしアーニャはナトリのことを忘れてしまっている…!

処理中です...