上 下
90 / 328

0090★現世での神護の日常8 ホタルは物珍しくてしょうがない

しおりを挟む
 神護は、ホタルと心話をしながら部屋からでて、弟・真三郎と双子の妹優香と唯香が待つ階下へと降りる。
 リビングに入ると、竜治が片手を上げる。
 神護もそれに応えながら言う。

 「悪かったな、竜治……
  あ…俺にもコーヒー頼む」

 と、そう言うと思っていた唯香が、少し何時もよりミルク多めのコーヒーを差し出す。

 「サンキュー……んじゃぁ~………
  これ飲んだら出発するかぁ」

 そう言って、飲みごろに作られたコーヒーをくいぃーと飲み干すのを見計らって竜治が言う。

 「神護、今日のネズミーランド
  みんな来るそうだよ」

 「へっ?」

 「神護が降りて来る前に
  美姫が確認の電話を寄こした」

 それで神護も直ぐに理解りかいする。
 何時ものメンバー……そう、修学旅行でも一緒のグループで行動していたメンバーが、美姫を筆頭に集まっていることを………。

 「で、どこで合流?」

 「駅だって……ネズミーランド前で
  待ち合わせなんてしたら……
  ナンパされ放題だからね

  美姫達は、見掛けだけは美人だからね
  綺麗系に、可愛い系に、お姉ぇ様系と
  ぜんぶ揃ってるからね

  いくら、武虎君でも対処に困るでしょ……」

 「そうだな、水鳥も可愛い系の男の子だし……
  慶治は、見た目ナンパ系だからなぁ………」

 そう言い合いながら、ぞろぞろと玄関から出て、真三郎が鍵を掛けた。
 戸締りを確認し、神護達は駅に向かって歩き出した。

 見慣れた駅までの道のりを、神護の肩に止まったホタルはキョロキョロと楽しそうに見回していた。

 [これが マスターの住む世界
  私の知る世界と 全然違う
  今のところ 敵はいなそうですね]

 [ああ、文明文化から進化のしかたも
  全然違うからな

  生態系もかなり違うと思うぞ
  ………ん、大丈夫だな]

 神護も自然体で周辺を警戒しながら、駅に向かう。

 ふぅ……竜治も、真三郎以上に
 霊能力が高いけど……

 どうやら、肩に乗っているホタルの存在に
 まるっきり気付いてないな………

 うぅ~ん、美姫も美亜も……武虎……って………
 やっぱり、ホタルに気付いてないな

 そんな風に確認している間に、駅に到着し、待っていたメンバーが合流する。

 それぞれが挨拶を交わし、ネズミーランドへの切符を購入し、電車に乗るのだった。

 あとは、目的地までのほほんとくだらない会話を楽しむ彼らだった。

 肩に乗ったホタルは、嬉々として周囲を見回していたのは当然のことだった。








しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

最弱職テイマーに転生したけど、規格外なのはお約束だよね?

ノデミチ
ファンタジー
ゲームをしていたと思われる者達が数十名変死を遂げ、そのゲームは運営諸共消滅する。 彼等は、そのゲーム世界に召喚或いは転生していた。 ゲームの中でもトップ級の実力を持つ騎団『地上の星』。 勇者マーズ。 盾騎士プルート。 魔法戦士ジュピター。 義賊マーキュリー。 大賢者サターン。 精霊使いガイア。 聖女ビーナス。 何者かに勇者召喚の形で、パーティ毎ベルン王国に転送される筈だった。 だが、何か違和感を感じたジュピターは召喚を拒み転生を選択する。 ゲーム内で最弱となっていたテイマー。 魔物が戦う事もあって自身のステータスは転職後軒並みダウンする不遇の存在。 ジュピターはロディと名乗り敢えてテイマーに転職して転生する。最弱職となったロディが連れていたのは、愛玩用と言っても良い魔物=ピクシー。 冒険者ギルドでも嘲笑され、パーティも組めないロディ。その彼がクエストをこなしていく事をギルドは訝しむ。 ロディには秘密がある。 転生者というだけでは無く…。 テイマー物第2弾。 ファンタジーカップ参加の為の新作。 応募に間に合いませんでしたが…。 今迄の作品と似た様な名前や同じ名前がありますが、根本的に違う世界の物語です。 カクヨムでも公開しました。

勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。 そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。 しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。 そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。

ただひたすら剣を振る、そして俺は剣聖を継ぐ

ゲンシチ
ファンタジー
剣の魅力に取り憑かれたギルバート・アーサーは、物心ついた時から剣の素振りを始めた。 雨の日も風の日も、幼馴染――『ケイ・ファウストゥス』からの遊びの誘いも断って、剣を振り続けた。 そして十五歳になった頃には、魔力付与なしで大岩を斬れるようになっていた。 翌年、特待生として王立ルヴリーゼ騎士学院に入学したギルバートだったが、試験の結果を受けて《Eクラス》に振り分けられた。成績的には一番下のクラスである。 剣の実力は申し分なかったが、魔法の才能と学力が平均を大きく下回っていたからだ。 しかし、ギルバートの受難はそれだけではなかった。 入学早々、剣の名門ローズブラッド家の天才剣士にして学年首席の金髪縦ロール――『リリアン・ローズブラッド』に決闘を申し込まれたり。 生徒会長にして三大貴族筆頭シルバーゴート家ご令嬢の銀髪ショートボブ――『リディエ・シルバーゴート』にストーキングされたり。 帝国の魔剣士学園から留学生としてやってきた炎髪ポニーテール――『フレア・イグニスハート』に因縁をつけられたり。 三年間の目まぐるしい学院生活で、数え切れぬほどの面倒ごとに見舞われることになる。 だが、それでもギルバートは剣を振り続け、学院を卒業すると同時に剣の師匠ハウゼンから【剣聖】の名を継いだ―― ※カクヨム様でも連載してます。

異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~

ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ 以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ 唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活 かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

引きこもりが乙女ゲームに転生したら

おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ すっかり引きこもりになってしまった 女子高生マナ ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎ 心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥ 転生したキャラが思いもよらぬ人物で-- 「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで 男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む これは人を信じることを諦めた少女 の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語

転生したらチートでした

ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...