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0062★《封印》されし女神の神殿・兆候《ちょうこう》
しおりを挟むあまりのおぞましさに、ビャクヤは肌を粟立て、唇を噛み締める。
その間に、別のモノが映しだされる。
今度は、第三皇子ラー・ロイ・シレイの姿が…………。
その瞳は既に虚ろで、心を失っているとわかる姿だった。
ろくな食事もしていないと判るほどに、頬は蒼褪めていた。
その唇は、本来の色を失っていた。
くそっ……やはり……捕まったのか…………
だが あの姿はなんとしたこと
シレイ 心が壊れてしまったのか?
クッ グレンとて 何時 ああなっても………
弟達の姿に、苛立ちと焦燥感にさいなまれるビャクヤの前で、銀水晶が輝く。
そして、ひとりの少年が森林の中でウロウロしている姿を映す。
……? この少年 まさか……
姫達が召喚した者か………
私達の【守護者】となる者か?
だが まだ……私は 禁断の禁術
【輪廻転生】を この身に施していない
既に 招かれているなら 急がねば…………
ビャクヤは急いで、嶺鳥の卵へと、自身を【輪廻転生】する為の術を施す。
だが、この禁断の禁術は、どんなに気が急いても、最低3日かかり、満を持してともなれば、7日かかるのだ。
この少年が 祈願成就の《力》で
呼ばれた【守護者】なのか……
ああ 気が急いてならない………
だが 急いては 事を仕損じる
ビャクヤは、クッと自分を嗤い。
色々なモノを映す、銀水晶から視線を外した。
そして、皇太子としての矜持でもって、心を無理矢理落ち着かせて、静める。
深呼吸を繰り返し、ビャクヤは気持ちと息を整えてから、女神の祭壇に、嶺鳥の卵を安置し、翼を広げて祈願成就の《力》を込めながら祈る。
声無き声で、心から、ビャクヤは七日七夜祈った。
生と死の《理》を捻じ曲げてでも、飛翔族の皇太子ラー・レイ・ビャクヤの記憶を有したまま【輪廻転生】することを望んだ。
焦れる心を無理矢理抑えつけて、ビャクヤは嶺鳥の卵の中へと自身を写し入れて行く。
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