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0182★それぞれの思い1
しおりを挟む聖樹が愛しい我が子・紫皇(しおう)を腕に、傷付いた身体を癒す為に、温い微睡みに浸かっている間に、外の世界では目まぐるしく色々と動いていた。
眠りに落ちた聖樹が、次に目を覚ましたら………。
父と母は、ラブラブだった。
『もう、すっごいラブラブなんだから………
こっちが胸焼け起こしちゃいそうよ』
と、いう聖子セリフに、目覚めた聖樹はくすくすと柔らかく笑うだけに留めた。
「悪いな、聖子
んで、俺ってどれくらい寝てた?
なんか、疲れきってたセイかなぁ?
時間感覚が全然戻ってなくてさぁ~…
あの後、自分がどれだけ寝ていた
全然、かわからないだ」
目覚めた聖樹は、自分の両腕に付いていた点滴が消えていることにホッとして、くぅ~っと両腕を伸ばして、軽く伸びをする。
ついでに、首もゆっくりと左右に傾けて、身体の違和感を探す。
〔うん……まぁ~こんなモンかな?
あんな目にあったんだから
点滴が外されて、この状態なら
かなぁ~り良好ってことだよな〕
そう言う聖樹に、聖子は肩を竦めて答える。
「大丈夫よ、聖樹お兄様
昨日あのまま寝てしまって
今日、目覚めたんですもの
ちなみに、今はお昼少し前よ
ということで、お兄様のお母様と
お父様は、ご一緒に昼食タイムよ
ちなみに、あの後、物凄い勢いで
お父様は離婚を成立させたわよ
それこそ、あのしたたかなお母様に
有無も言わせずにね
まぁ…もっとも……
現当主である、ひい御祖父様
ようするに、お父様の御祖父様ね
その現当主の予知夢がある意味で
間違っていたって言ってたから……
実はね、私の実母もねぇ………
名前が悠美なのよ
理解(わか)る、聖樹お兄様?」
言いたいコトを理解した聖樹は、肩を竦めて頷く。
「そうなんだ
同じ名前で読み違えしたのか
まぁ~それはしょうがないかな?
見知っている者の子供の中に
予知夢で知った名と
同じ名がいたら……まぁそうなるな」
納得する聖樹に、もっと怒って欲しい聖子は唇を尖らせる。
そんな聖子に、聖樹はゆったりと笑って言う。
「間違いが【理】に反したものなら
こうやって正されるってことだろ
現に、父さんと母さんは再び出会い
今、熱々なんだからさ」
聖樹の言葉に、熱愛ぶりを見せ付けられた聖子も肩を竦める。
「と、いうことで……腹減ったぁ~
あの後、何か食べるつもりだったのに
ぐっすりと寝ちまったから………」
聖子は聖樹のセリフに頷く。
目覚めた聖樹がすぐに空腹を訴えるだろうと、聖子は部下に消化の良い食事をしっかりと用意させていたのだ。
「きっとそう言うと思ったから
色々と少量ずつ
消化の良いモノを用意させたわ」
「サンキュー聖子
俺は可愛い妹を持ったなぁ~……」
「お世辞を言っても
後はデザートぐらいしか
出ないわよ」
そう言う聖子に、聖樹は優しく笑って言う。
「そっかこの後はデザートもあるのか?
ありがとう、聖子」
出会った時よりも、大人の雰囲気を持つようになった聖樹に、聖子はちょっとだけ、自分の胸が高鳴るのを感じてしまう。
〔これはしょうがないわよね
聖樹お兄様は、異母兄なんだもの
いっそ、お母様のように………
なんて、考えてしまうわね
でも、お願いしてみようかしら?
聖樹お兄様が異世界に渡る前に………
きっと、腹は違えと兄妹だって言って
抱いてはくれないだろうけど
精子だけならくれるかも知れないもの
絶対に、おねだりしてやる
聖樹お兄様の精子が欲しいって
きっと、苦笑いしながら
優しい聖樹お兄様は許してくれるわ〕
そんなコトを考えながら、聖子は聖樹の為に少し早い昼食を用意したのだった。
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