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0131★朱螺の幼い過去の話し

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 『母の父 私の祖父にあたる男性が 水龍族の者
 だったと聞いてる

 母の母 私の祖母にあたる女性は 祖父が好きで
 母を産んだわけじゃないと言っていたな

 私が水に触れると この躯に銀鱗が浮かぶと判った時
 汚らわしいと言って突き飛ばされたことがある

 ほんの子供の頃の話しだがな‥‥‥

 祖母は 生粋の天魔族であることを 誇りとして
 いた方だから‥‥‥

 だが あの時 私は あまりの哀しみのあまり‥‥
 私の中のどこかが 無残に引き裂かれて壊れた

 その時に なにかが変わったことを感じていた‥‥
 ただ どこが変わったかは わからなかったがな』

 その時に味わった言い知れない哀しみを思い出し、朱螺は男根を握らせていない方の蒼珠の手を取り、自分の頬で蒼珠の手のひらを感じる。
 異形化した耳に触れた、優しい指の感触を思い出そうとするかのように‥‥‥。

 『お前だけだ 私の銀鱗姿を綺麗だと言って‥‥
 私の銀鱗に触れてくれたのは‥‥』

 深い苦悩を見せる朱螺に、蒼珠はなにか優しい言葉をと思った。
 そんな中で、朱螺がなにを望んでいるかを理解して、蒼珠は、今は普通に、人間より少し尖った形をしている耳に、自分の意思で触れる。

 「俺としては、あの銀鱗の感触かなり気に入ってる
 だから‥‥あとで、また水浴びしようぜ‥一緒にさ
 そして、あの綺麗な姿を、もう一度見せて欲しいな」

 触れた時の感触を思い出し、蒼珠はその時の感触をたどろうと、朱螺の耳を根元から指先を滑らせる。

 蒼珠の与えてくれる暖かく柔らかい指の感触に、朱螺はうっとりと双眸を閉じる。

 双眸を閉じて、甘やかな快楽に身をゆだねる朱螺の耳に触れた手が、変異した時の感触を追い求めて、ゆっくりと何度も、耳元から耳先までをたどる。

 恍惚とした表情で、蒼珠の耳の形をたどる指先から緩やかに滲み出る、暖かな《情波》が、甘美な快楽を朱螺にもたらす。

 『‥ん‥‥気持ちイイ‥‥‥もっと私に触れてくれ
 ‥‥耳にも‥‥私のモノにも‥‥‥』

 快楽を追う朱螺の額の中央に一筋の線が入り、熟した木の実が割れるように爆ぜ割れて、再び《魔石》が木の実の種子のごとく、蒼珠の上に舞い堕ちる。

 「‥‥えっ? ‥‥しゅ‥‥‥朱螺ぁ?
 《魔石》が‥落ちたよ」

 本来なら体内に存在するだけの《魔石》を、体外に浮き出るような呪文を唱えたわけでもないのに、突然、朱螺の額がパックリと爆ぜ割れて、蒼珠の額に落ちたことに動揺する。

 それは、額が割れて《魔石》が体外に飛び出してしまった朱螺にも、理解(わか)っていた。
 が、今は、蒼珠のもたらす甘美な《情波》に浸っていたかったので、物憂(ものう)げに呟く。

 『蒼珠が‥待っててくれ ここには‥危険な者は
 入って来れないから‥大丈夫‥‥‥』

 双眸を開くこともなく、そう気だるけに言う朱螺に、両手は、耳と男根を愛撫する為にふさがっている蒼珠は、額に落ちた《魔石》に少しだけ嘆息して頷く。

 「わかったよ‥あとで、きちんと額に戻しておけよ
 《魔石》は、朱螺にとって大事なモンなんだからさ」

 そう言いながら、蒼珠は自分の額に落ちた《魔石》を額から落とさないようにしながら、朱螺に握らされたままの男根を緩やかに扱く。

 蒼珠の手のひらが動き出したのを確認して、朱螺は蒼珠の男根へと手を伸ばす。
 やんわりと朱螺の手のひらに包まれる感触を感じて、一瞬おぞましさに息を飲む。

 が、自分をいじめる心配のない、朱螺の手のひらだったことを思い出し、蒼珠は細く息を吐き出した。

 「朱螺の‥今の尖った今の耳も好きだけど‥‥
 ガラス細工の蝶々みたいな‥‥キラキラした
 半透明の耳の方が好きだな‥‥触った感触も‥‥
 なぁ‥‥ここだけ変えることは出来ない?」

 もう一度‥触りたいなぁ‥あの感触‥‥
 俺ってマジで好きだなぁ‥‥‥

 蒼珠のリクエストに、朱螺は無意識に首を傾げる。

 『出来るかな? そういうことは‥したことがない
 嫌われていたから 水に触れても銀鱗が浮かばない
 ようにする為の努力しかしたことないのでな‥‥‥』

 朱螺の男根を愛撫していた手を放して、蒼珠は、そのまま触っていない方の耳に手を伸ばして、朱螺の耳に触れる。

 朱螺は、蒼珠のリクエストに応えようと、自身の変化を促す。

 双眸を閉じたまま、どこか陶然とした表情を浮かべて、朱螺の頭の左右にある形の良い耳が、じょじょに蝶々のような姿に変異して行く。

 手のひらや指先に、朱螺の耳が美しく変異する感触を感じて、蒼珠が嬉しそうに笑う。
 半透明の大きな銀鱗の連なりに触れながら、蒼珠はその感触を楽しむ。

 ただ、慣れない行為ゆえに、朱螺の全身には耳の変異に反応して、うっすらとだが銀鱗が浮かんでいた。

 2人とも全裸なので、相手の変化は、そのままお互いに通じる。
 全身に、銀鱗が浮かんだことに舌打ちする朱螺と、その変わった感触と、朱螺の渋面に、蒼珠はクスクスと楽しそうに笑って、その銀鱗が浮かんだ躯に抱き着く。

 「ごめん‥朱螺‥‥‥マジで、無理言ってごめんな
 でも、朱螺の肌の感触って好きだぜ

 銀鱗が、あってもなくてもさ‥すっけ一気持ちイイし
 ‥こうやって、触れ合うのは好きだな」

 蒼珠は、朱螺の全身の変化を、素肌に感じて、うっとりしながら思う。

 マジで、銀鱗があっても、けっこう平気なモンだな
 どっちかって言うと‥本気で好きかも‥‥

 朱螺の躯って、すごく手触り良いし‥‥‥
 それに、ちょうど良いくらいの体温だし‥‥‥

               



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