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0129★蒼珠の出した答え

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 蒼珠は、朱螺からの優しい口付けに、双眸を閉じて受けいれる。
 その甘い口付けから、朱螺は蒼珠を味わう為に、抵抗しない唇を舌先で擽(くすぐ)る。

 蒼珠は朱螺の意図を察して、素直に唇を開いた。
 自分の行為を許容し、受けいれる蒼珠に、朱螺はうっとりする。

 〔蒼珠 お前が欲しい 私を全て許容する その心が
 こうして 望めば お前は私のするコトを受けいれる

 出会った時から 蒼珠は私を疑わない 無条件の信頼
 それが 愛していた女に裏切られ 傷つけられた私を
 どれだけ救ってくれたことか‥‥‥〕

 蒼珠は、自分の口腔へと侵入してきた朱螺の舌に抵抗することなく、その舌先が歯茎や口蓋を擽(くすぐ)るように、丹念に撫でる感覚に‥‥それで感じるモノに身を浸した。

 もちろん、朱螺の行為を拒絶する気も抵抗する気もない蒼珠は、深くなる口付けを、ただただ従順に受け入れていた。

 そして、舌を伝って、朱螺の唾液が注がれても、蒼珠はそのまま受け入れた。
 唾液に含まれる微量とは言い難い《魔力》と共に‥‥‥‥。

 いいしばらく、蒼珠との口付けを楽しんだ朱螺は、名残惜しそうに口付けを解く。
 やっと解放された蒼珠は、乱れた呼吸を深呼吸することで無理矢理抑え込む。

 長い口付けによって潤んだ蒼珠の双眸を見下ろし、朱螺は請うように囁く。

 『この私の胸に居座ってしまった 虚無感や飢餓感を
 お前の優しい〈情〉が癒してくれる

 私に抱きついて来る お前の腕は とても暖かくて‥‥
 ひどく心地良い‥美酒に酔うとは、こういうことを
 言うのかと思ったぞ

 水に触れて 醜い 異形の銀鱗姿になった私の耳に
 触れた蒼珠の手は 私にとてつもなく甘美な快楽を
 与えてくれた

 それが どれだけ傷心の私にとって 嬉しいことか
 お前には 理解(わか)らないだろう

 蒼珠が 私にとって 好ましい者から 愛しい者に
 なったのは あの時だ

 私のすべてを受け入れてくれる お前が愛しい』

 朱螺から愛を請うような訴えに、蒼珠は自然と頬が薄紅色に染まるのを自覚した。

 「朱螺ってば、狡い‥‥そんな風に言われたら‥‥
 むげになんて断れないだろう‥‥‥俺も朱螺のこと
 ‥す‥好きだと‥‥思う‥

 恋愛感情って‥‥良く理解(わか)らないけど‥‥‥
 俺は、朱螺の側にいたい

 だから《契約》の変更はしない

 何の代価も支払わずに、このままなし崩しに
 朱螺の恋人になるなんて、俺には無理だから‥‥‥

 それに、どうせなら朱螺と対等な恋愛関係が良い

 だから、朱螺が望んだ時に、相応の代価として
 俺から取ってくれ‥‥情けないけど‥‥‥
 他人から‥‥奥手って‥言われるほどには‥‥
 性に疎(うと)いから‥‥

 まだ、自分から性交渉を望むことは出来ないんだ
 ‥‥だから、朱螺が欲しいと思ったら‥‥‥‥

 その時は迷わず奪ってくれ‥‥俺が今言えるのは
 ‥‥これくらいだ‥ごめん朱螺‥‥」

 蒼珠は、自分のかなり大胆な言葉に、羞恥心を覚えた。
 そして、その場の雰囲気に負けた蒼珠は、まるで逃けるかように、朱螺の躯から両腕を外し、その手に握ったままだった朱螺の真紅の髪に口付ける。

 既に、感情が、かなり許容をオーバーしている蒼珠は、朱螺の長く艶やかな真紅の髪に縋った。
 蒼珠の精一杯の思いを、言葉で聞いた朱螺は、蒼珠の躯をギュッと抱き締めてやる。

 そして、朱螺に躯を抱き締められたことで、蒼珠は朱螺も自分と同じように、全裸であることに気付いた。

 えっ‥朱螺‥‥もしかしなくても‥全裸なのか?

 蒼珠の表情を読んだ朱螺は、悪戯心を起こして、蒼珠の両足の間に躯を入れて、蒼珠の下腹部に自分の男根を擦り付けて揺する。

 『クスクス‥判るか? 蒼珠 ほら 私のモノが
 ‥‥お前に反応している』

 朱螺が、自分に何をしているか理解した蒼珠は、ボンッと音がするほど、真っ赤になってワタフタとするが、焦り過ぎて、自分がどうしたいか判らなくなる。

 うわぁぁぁ‥‥自分で‥朱螺に‥俺を奪えっとか‥
 言っちゃったけど‥全然‥心の準備が‥‥出来て

 いないところに‥そういうことされたら‥‥‥‥
 どうしたらイイんだぁ? 俺は何をすればイイ?

 「しゅ‥‥しゅらぁ‥‥‥」

 腕の中で赤面してジタバタする蒼珠に、朱螺はその躯を抱き締めて、大笑いする。

 『クックククク‥‥‥ 本当に 可愛いな 蒼珠 
 忘れたか? 昨夜は 私の勃起した男根を まるで
 子猫のように悪戯していたんだぞ ぅん?

 この唇や舌でも 私のモノを愛撫してくれたしな
 それとも 私のモノを悪戯したことなど‥‥綺麗

 さっぱり忘れてしまったか? ‥‥‥ン?
 ‥‥‥クスクス‥‥また‥してくれるか? 蒼珠』

 朱螺の言葉に、昨夜の自分がした悪戯を思い出して、蒼珠は真っ赤になりながらも頷く。

 「あうぅぅぅ‥‥は‥恥ずかしいこと‥‥どうして
 そう‥さらっと言うんだよぉ‥‥‥

 ‥お‥覚えてるよぉ‥きちんと‥‥あうぅぅ‥‥
 恥ずかしいから‥‥口に出して確認すんなよぉ‥

 だいたい‥‥他人のモノを‥いじったのも‥く‥
 ロでしたのも‥‥朱螺が初めてなんだからな‥‥

 俺の拙(つたな)い‥あ‥愛撫でも‥少しぐらいは
 ‥何か感じてくれた? 朱螺‥‥」

 蒼珠の言葉に、朱螺は幸せそうに、滲むように微笑(わら)う。

 ‥もしかして、朱螺‥何か喜んでる?
 俺、朱螺が喜ぶようなこと言ったか?

 蒼珠は、その嬉しそうな表情に魅入ってしまう。





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