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0126★蒼珠の気持ちと覚悟
しおりを挟む「朱螺って、マジで‥‥時々すっごく恥ずかしいことを
平気で言うンだから‥‥‥そんなことを言われると‥‥
俺は、どういう顔して良いか困る‥‥‥」
恥ずかしさに双眸を閉じた蒼珠は、大きく溜め息を吐き出す。
そして、思考へと沈み込んでしまう。
しっかし‥マジで‥‥あいつ(明宏)に捕まっている‥‥‥
あっちの世界に堕ちなくて良かったぁ~‥‥‥‥
ほんとぉ~に、何事もなく朱螺のもとに戻れて良かったぜ
あのまま‥‥あのバカップルの生々しいまでの〈情交〉を
‥‥また、味わうハメに‥‥なんてことになったら‥‥‥
きっと‥‥俺は‥‥気が狂っちまう
もちろん、あっちの現実世界に堕ちても、きっと一緒だ
そう遠からずに、俺の精神は死んじまう
好きでもない相手に、あんな‥‥おぞましい行為を‥‥‥
味合わせられるなんて‥‥冗談じゃないぜ‥‥イヤだ‥‥
もう‥あんな‥‥気色悪い感覚は耐えられない
それくらいならば、朱螺は《契約》の代価だと言って
この躯を奪って欲しい
その方が、精神的にもずっとマシだ‥‥‥
同じ行為をするならば、朱螺の方がずっとイイ‥‥‥
って、俺の精神って、かなり侵食されてないか?
彼女の病んだ精神状態に引き摺られてる気かするぞ‥‥‥
あぅ~‥今の俺の精神状態って‥‥
もしかしなくても‥かなりマズイかもしれない‥‥‥‥
あぁ‥そうだ‥‥俺の精神が、追い詰められた彼女の中に
精神だけ堕ちたことで‥‥暗鬱(あんうつ)な精神状態と
シンクロした影響で‥完全におかしくなっちまう前に‥‥‥
朱螺と‥‥‥さっさとセックスしちゃえばイイんだ‥‥‥
なんだ簡単じゃん‥‥‥
どうせ、そういう《契約》を朱螺としてるんだし‥‥‥
蒼珠は、追い詰められた焦燥感によって、自分の思いつきに引き摺られてしまう。
だから、現世界の何時もの精神状態だったら、絶対に口にしない言葉を、蒼珠は、自分の容態を上から心配そうに観察している朱螺に平気で口にした。
「朱螺ぁ‥‥そんなに‥心配すんなよ‥‥ちょっと‥‥
あせったけどさぁ‥もう‥‥全然平気だから‥‥‥
朱螺は、朱螺が望むことを俺にすればイイんだ‥‥‥
俺は、朱螺のすることは、全部受け入れる覚悟はある‥‥
肛門で‥性交渉するのは‥‥マジで初めてだから怖いけど
朱螺にされるなら耐えられる‥‥‥だから‥‥‥‥
俺が、泣いて抵抗しても、抱けばイイ‥‥‥
お‥俺の躯を‥朱螺のモノで犯せばイイ‥‥‥
それで、朱螺を嫌ったり‥‥怖がったりしないから‥‥
昨日は‥突然で‥‥びっくりしちゃって‥めーいっぱい‥
厭がったけど‥もう大丈夫だから‥‥‥
俺は、朱螺を受け入れられるから‥‥
《契約》の代価だと言って、俺から‥‥‥
この躯の権利は朱螺めモノだから‥‥‥奪ってくれ
そうじゃないと‥‥俺は、このまま朱螺にズルズルと
甘えちまう
朱螺の好意に‥‥‥これ以上‥‥つけ込ませないでくれ‥‥
俺は、朱螺の重荷になりたくない‥朱螺と対等でいたい」
朱螺と出来るだけ対等でいたいという思いが、蒼珠に最初の《契約》を口にさせる。
自分を真上から覗き込み、心配そうにしている朱螺を、蒼珠は無言で両腕を真上に伸ばして、朱螺の躯に両腕を絡める。
蒼珠の両腕が肩や首筋に絡む感触に、朱螺は少しだけ苦笑いして囁く。
『フッ‥‥意外と大胆なことをしてくれる‥クックククク
蒼珠の‥その気持ちは嬉しいが‥‥今のお前には‥無理だ
今は ゆっくりと休んで‥‥‥じょじょに 私という存在と
私が施す行為や お前に注ぐ私の《魔力》に慣れてくれ』
耳朶にそう囁かれた蒼珠は、それを上の空で聞いていた。
蒼珠の内心では、思ってもいないような、大胆な言葉の数々を零す自分の唇に驚いていた。
蒼珠は、自分の唇が零れ落とした言葉の数々を改めて噛み締め、それが自分の心の底から望んでいることだと感じて、自分に頷く。
そうだよなぁ‥‥早く‥朱螺と‥しちゃえばイイんだよな
これ以上、あのバカップルに感覚が引き摺られるのも‥‥‥
暗鬱(あんうつ)な精神状態に侵食されるのも御免だ
本当の意味でするなら、朱螺が良い‥‥‥絶対に‥‥‥‥
蒼珠は、昨日湖に潜った朱螺を追いかけて、湖底に潜る前に気付いた、自分の躯に現れている顕著な変化にも脅えていた。
勿論、蒼珠の脅えは、それだけではなかった。
蒼珠が生きている現実の世界で、明宏に味合わせられた性奴調教という名の全身が総気立つような行為の数々が思い知らせる、おぞましい感覚。
それと同時に、この異世界に精神だけで堕ちて味わった、感覚の共有によるバカップルの受け入れがたい〈情交〉の生々しさ‥‥‥‥。
その2つの事柄が、その身にもたらした、とてつもなくおぞましい経験も、蒼珠の精神不安定の要因になっているのは確かだった。
肛門を使って性交渉するは、かなり怖いけど
それでも‥するなら朱螺とが良い‥‥
蒼珠の羞恥心と恐怖心が混在した精一杯背伸びしたセリフに、朱螺は滲むように微笑む。
「‥っ‥‥朱螺‥そんな風に微笑(わら)ってないで‥‥
その‥何か応えてくれよ‥‥恥ずかしいだろぉ‥‥‥
《契約》したのに‥代価を一切支払ってない状態のまま
朱螺の腕に縋っているのは‥俺としても心苦しいんだよ
頼むから‥‥‥何か言ってくれよ」
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