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0108★朱螺の【逆鱗】

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 「【逆鱗】ってぇ‥見て判るモノなのかなぁ?」

 少し舌っ足らずに言う蒼珠に、朱螺は聞いてみる。

 『どうだろう? 蒼珠 見てくれるか?』

 「うん」

 蒼珠は酔っ払いであり、朱螺はその重要性を考えていないので、安易にそんな会話してしまう。
 この後、えらいことになってしまうのだが、そんなこと、現時点の2人にわかる筈もないことだった。

 蒼珠は朱螺の首筋、人間でいうところの喉仏辺りに【逆鱗】が有るかを探す。
 そして、綺麗に並んだ銀鱗に違和感がある場所を見付ける。

 「ぅん~とぉ~‥‥これかなぁ?」

 1枚だけ、確かに逆さに生えた鱗を見つけた蒼珠は、ちょっと考える。

 俺が触ったら不味いよなぁ‥‥たぶん‥‥

 酔いで濁った頭ではあったが、なんとなくの危険性感じて、無意識に朱螺の手を取って、その【逆鱗】へと導く。

 「たぶん‥‥これぇ‥‥」

 そう言いながら、蒼珠は【逆鱗】部分へ朱螺の指先を当てて、少し撫でる。

 『これか?』

 指先に微かに引っ掛かる鱗の感触に、朱螺は何か腹の底から不快感が這い上がるのを感じた。

 「どう? 朱螺ぁ‥‥やっぱり自分で、触ってもぉ‥‥
 不快感って感じるのぉ?」

 蒼珠の問いに、朱螺は蒼珠の手を取り、蒼珠の指先で【逆鱗】を撫でてみた。
 そう、不用意すぎることを‥‥‥‥。

 ただ、自分の指で触れた時に起きた、腹の底から吹きあがって来るような不快感が、蒼珠の指先で撫でると、違う感覚が広がる。
 自分で触って味わった腹腔に広がるザワザワとした妙な不快感が、すぅーと引いて行き、変わりにじんわりとしたモノが広がる。

 『蒼珠 もっと【逆鱗】を撫でてくれ‥‥
 これは‥‥‥かなり‥‥気持ち良いな‥‥‥』

 うっとりした表情で、そう言う朱螺に、蒼珠は戸惑いつつも、朱螺の望んだ通りに、指の腹で1枚だけウズラの卵ほどの大きさの美しい色合いの【逆鱗】を慰撫する。

 「‥こう‥朱螺‥‥これで気持ち良いのぉ?」

 蒼珠に優しく【逆鱗】を撫でられた朱螺は、先程感じた不快感の代わりに、今度は下腹に熱の塊が渦巻くのを感じた。

 優しく【逆鱗】を慰撫する蒼珠の指先がもたらした、深く躯に染み渡る快楽に、朱螺は意識を侵食され、湧き上がった強烈な性欲に支配される。

 ゾロリ ザワリ ブワッ

 空気が一瞬で変化する。
 今までの甘ったるいような空気から、ドロリッとした淫蕩で酷く重い空気へと変化する。

 『クックククク‥‥‥これは‥たまらんな‥‥‥‥
 お前が欲しいぞ 蒼珠』

 寸前までの柔らかな雰囲気とは、ガラリと変わった朱螺に、蒼珠はビクンっとする。

 げっ‥‥‥もしかして‥まずいっ‥‥‥‥
 やっぱ‥‥【逆鱗】は‥【逆鱗】‥なのか

 蒼珠を包む周辺の雰囲気が、重厚で威圧的なモノへと変化していた。

 《水瓜》の香りと《朱華》食べて、盛大に酔っ払っていた蒼珠は、その圧倒的な変化に、わずかにだか、正気に返ってしまう。

 うわぁ~い‥今までに‥見たことない変化だぁ~‥‥
 サンドワームと戦ってた時とも違うし‥‥‥‥

 ‥‥ちょっと‥‥いや‥‥かなぁ~り怖いかも‥‥‥
 今の朱螺って‥‥何だか、ゾクゾクする‥‥

 何がどうって言って良いか理解らないけどぉ‥‥
 すっごく怖くて‥‥綺麗だぁ~

 酔いによって判断力がいちじるく低下している。蒼珠はそんなことをぼぉ~と考えていた。

 水中でさえ、全身におぼろげにしか浮かんでいなかった銀鱗が、今は一際色鮮やかに銀鱗を浮かび上がらせていた。

 蒼珠に、人型をとった龍神の姿を見せつける。
 眼前に降臨した、猛々しいまでに雄々しい龍神が、そこに居た。

 その瞬間、確かに、その龍神の姿そのモノの朱螺に魅了された。
 雄々しく、それでいて、どこまでも美麗な龍神に、蒼珠は魅縛されてしまう。

 「しゅ‥ら?」

 神々しいと言って良いほどに、内側から変化した朱螺の、美しすぎる龍神としての姿に、蒼珠は感動し、呆然とその姿を見上げる。
 朱螺の上に、伝説の龍神が降臨したか、顕現化したかのような現象に、蒼珠は呆然としたまま、あまりの感動に、その戦慄く唇から朱螺の名を零れ落とす。

 憧憬の瞳で自分を見詰め、朱螺の名を零れ落とした蒼珠に、朱螺は当然のように口付ける。
 ただし、何時ものソッとではなく、荒々しくだが‥‥‥‥。
 それでも、直ぐに口付けを外して、朱螺は愉悦感に満ちた表情で傲然と言い放つ。

 『蒼珠 其方は‥可愛いな‥‥‥フフフフッ‥‥‥
 ‥‥我に従え‥蒼珠‥‥』

 傲然と蒼珠を見下ろし、その躯を呪縛するように、蒼珠の名を呼びながら朱螺は砂地に真紅の髪を広げ、その上に蒼珠を押し倒した。
 蒼珠は、朱螺の神々しさに魅縛され、その声に魂まで縛られてしまった。

 変化した朱螺の美しさに呪縛されたように、蒼珠は躯に施されるすべての行為に対して、唯々諾々と従う。
 抵抗を忘れて、施される愛撫に躯を震わせ、甘く艶やかな声を零れ落とす。

 「‥ぅ‥‥あぁぁぁン‥‥はぁぁ~ん‥‥や‥
 しゅらぁ~‥‥イイ‥‥はぁはぁ‥‥あぅンン‥‥」

 蒼珠を、朱螺は当然のように愛撫し、その躯が放つ《情波》を貧り味わう。
 耳朶を甘咬み、蒼珠の躯を愛撫するために、真紅の髪を蒼珠の全身に這わせる。
 蠢く長い真紅の髪は、蒼珠の感じやすい性感部分を次々と探り出していく。

 朱螺の髪先は、淡い草むらに潜んでいた蒼珠のモノにたどりついた。
 そのひと房の髪は、蒼珠の性欲を急速に高めようと、まだ勃起すらしていない蒼珠の生殖器官を包み込み、やわやわと揉み扱く。

 髪先で蒼珠のモノを丹念に愛撫してやりながら、朱螺は蒼珠の脚の間に自分の躯を置く為に、蒼珠の脚を、蒼珠のモノを愛撫するのとは別の房で絡め捕る。

 そして、左右の脚に絡み付いた髪が、蒼珠の脚を左右に割り開いたのだった。





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