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0083★服が欲しい蒼珠君の悩み

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 蒼珠が水を飲み干すのを、黙って見ていた朱螺は、つくづくという風に呟く。

 『お前は 本当にためらうことなく‥
 私の差し出したモノを 口にする‥‥‥

 少しも疑わぬのか?
 私が差し出すモノが 危険なモノかも‥と
 自分に害があるモノかも‥と』

 人差し指と中指の2本と親指で蒼珠の顎先を捕らえ、朱螺は言う。

 私を、疑わぬのか‥と。

 朱螺の言葉に、キョトンとした蒼珠は、小首を傾げてから答える。

 「朱螺なら、平気だと思ったんだ
 どうしてって言われても困るけど‥‥‥
 カンということにしといて‥‥‥

 ねぇ‥そんなことより‥‥‥‥
 朱螺ぁ‥‥俺‥やっぱり服が欲しいよ」

 ずっと、全裸のままでいることにいたたまれなくなった蒼珠は、再度朱螺に服を要求する。
 が、朱螺は蒼珠の言葉に肩を竦める。

 『今 手持ちに お前に合うモノがなくてな
 それに ここでは 残念だけど
 蒼珠が着れるようなモノは手に入らないな

 勿論 私のモノは着れない 私の服は
 ほとんどが魔獣などの毛で織られている物だからな
 《魔力》のある魔族にしか着れないモノだ

 お前には《魔力》がないから 私の服を着るだけで
 酷い心身の負担になる 下手をすると生命にかかわる

 この魔獣の毛織物の敷物で、躯を包まれるだけでも
 かなりの負担になっているはずだ

 だから ゾルディで移動する時には
 少しでも心身に掛かる負担を少なくする為に
 蒼珠の意識を深く沈めているんだ』

 朱螺の説明に、蒼珠はガクッと肩を落とす。

 俺に《魔力》がないから‥服が着れない
 そっかぁ‥‥‥そういうわけだったんだぁ‥‥‥
 なんで、何度要求しても話しをそらされるはずだ
 《魔力》が無いからかぁ‥‥‥‥

 うなだれる蒼珠に、朱螺は少し意地悪く嗤って、意味ありげな言葉を続ける。

 『クックククク‥‥‥まぁ~‥‥‥‥
 どうしても‥‥服が着たいと言うなら‥‥‥
 手段がないわけでもないんだぞ‥‥‥』

 うなだれた蒼珠が、ガバッと顔をあげて、朱螺の服の胸辺りを握って聞く。

 「‥‥えっ‥‥有るの?」

 服を着られるかも知れないと、喜色を浮かべて自分の服に無意識に縋る蒼珠に、朱螺はニヤリッと嗤いながら、意地悪げに言う。

 『‥‥‥クスクス‥‥‥あるぞ‥‥‥』

 朱螺のイイ笑顔に、背筋にゾクゾクするモノを感じつつも、もう全裸でいることに耐えられないと思っている蒼珠は、更に問い掛ける。

 「なぁ‥‥どうすれば、服を着れるようになるんだ?
 朱螺ぁぁ~‥‥俺‥もう、裸でいるの嫌だ‥‥‥
 なぁ~‥なにをすれば、服が着れるんだ?」

 答えを問う蒼珠の必死な様子に、朱螺はクツクツと嗤いながら、蒼珠の躯を抱き締め、その耳朶を甘咬みしながら囁く。

 『なに 至極簡単なことだぞ‥‥
 私と情を交わせば良いだけだ ただそれだだ

 お前には‥《魔力》を司る器官があるからな

 ただ 《魔力》の存在しない世界で育ったセイで
 《魔力》が枯渇状態で 休眠したままかなり退化しいるから
 《魔力》を司る器官を叩き起こさなければならない

 継続的に 私から《魔力》が供給されれば
 自然と 《魔力》を司る器官が活性化するだろう

 そうすれば 私の服を着れるようになる
 クックククク‥‥‥‥どうする? 蒼珠

 お前が 私の行為を許諾出来るなら‥‥‥‥
 たっぷりと《魔力》の元を躯の奥に注いでやるぞ

 そして 声が嗄れるまで 快楽に啼かせてやろう
 私から離れたくないと思うほどに‥‥‥‥』

 さらりと言った朱螺の言葉に反応し、その腕に抱き込まれていた蒼珠はビクンッとしてから、その内容に真っ赤になりうつむく。

 朱螺は‥‥‥簡単に、さらりと言うけど‥‥‥‥
 俺には、とっても‥決意‥‥‥つぅーか‥‥‥‥
 覚悟がいることなんだけど‥‥‥‥

 肛門を使って、セックスするのは‥‥マジで怖い
 朱螺が相手でも‥あの気色悪さをたえられだろうか?

 肛門に‥まるっきり、種族違いとはいえ‥‥
 同じ男の性器を受け入れる行為を‥‥‥

 あの‥‥‥おぞましい感触を‥‥‥‥
 俺は、自分に受け入れられるだろうか‥‥

 自分の言葉に反応して、脅え混じりの戸惑いの表情を浮かべる蒼珠の初々しさに、朱螺は双眸を細めながら、いたわりの言葉を与えて、別のことを言う。

 『クックククク‥‥‥そんな顔をするな 冗談だ
 今のお前に 私を受け入れるのは無理だ‥‥‥

 それより この制約の空白地帯は 結構大きい上に
 向こうには 冷たい水が湧く湖もあったぞ

 どうする? 湖に行くか?
 ここは かなり大きなオアシスのようだ』

 朱螺の言葉に、蒼珠はゴクッと喉を鳴らして、その腕の中からスクッと立ち上がる。

 「オアシス‥‥冷たい水が湧く湖ぃ~‥‥
 本当かぁ? どっちぃ?
 ‥‥朱螺ぁ~‥俺、水浴びしたい」

 蒼珠の嬉しそうな言葉に、朱螺は首をかしげる。

 『水浴び? するのか?』

 朱螺の疑問を含んだ言葉に、蒼珠はコクッと嬉しそうに頷いた。




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