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0063★蒼珠の疑問

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 蒼珠は、自分を抱き締める朱螺を見あげて小首を傾げる。

 なぁーるほど‥体内に武器を隠せるなら‥いざって時にイイよなぁ‥‥‥
 武器を携帯できない場所とかもあるだろうし‥‥‥‥

 既存の武器が壊れたり使えない状態になった時に便利だよなぁ‥‥‥‥
 その生体武器って俺みたいな人間‥もとい人族? でも使えるのかな?

 じゃない、もう少し、魔族と人族と人間族のこと聞いておこう‥‥‥
 たぶん、大まかに3種に分けただけで、他にも種族あるだろうし‥‥‥
 とは言え、どこから聞いたらいいのかな?

 「なぁー朱螺‥‥その生体武器とかいうの‥‥
 身体ン中に植え込むことができる者って、どの種族になるんだ?

 魔族? 人族? 人間族? それとも違う、別の種族なのか?
 俺、その辺が分からない‥‥‥‥

 俺が本来居た世界では、俺達は自分達を人間って呼んでいたから
 朱螺から、人族って言われるの違和感あるし‥‥‥‥

 だからって、そういう違う種族って、基本的に御伽噺で‥‥‥‥
 たまに、伝承とかっていう程度しかないんだよなぁ‥‥‥‥

 ただ、伝承ではわずかな混血の話しあるけど‥‥‥
 特に有名なのが、水神の龍とか、狼とかの獣人かな?

 あと、最近、マンガ‥‥つっても、朱螺にはたぶんわからないよなぁ‥‥‥
 ぅんーと、娯楽てきな読み物? って言えば良いのかな?
 それに、妖怪とか‥‥妖魔や悪魔‥‥あと、悪霊‥‥‥‥

 あっ‥‥そうそう‥‥精霊とか妖精ぐらいなら、御伽噺みたいなモンで‥‥
 だいたいどういうモノか、わかる‥‥‥
 ‥‥‥けど、こっちと同じモノかは、わからないや‥‥‥‥

 そういうのが知りたいんだけど‥‥‥その生体武器とか興味あるし‥‥‥‥
 どうせなら‥‥‥俺に、その適正あるなら、ためしてみたいし‥‥‥‥」

 朱螺は蒼珠の言葉に、ちょっと考えるように小首をかしげる。

 『ふむ たしかに 大まかに3種族を口にしたが‥‥
 細かく分類すると属に類まであるのでな とても話しが長くなる

 それは あとで ゆっくりとお前に教えよう

 それより 人族か? 人間族? ‥か‥‥‥‥』

 そう呟き、思案する朱螺に、蒼珠は内心で溜め息を吐いていた。

 まいったなぁー‥‥言葉とか‥聞きづらくても‥聞き取れたし‥‥‥‥
 俺の言葉も通じたんで‥‥‥気が抜けていたけど‥‥‥
 常識とか‥‥かなり違うようだし‥‥‥

 共通認識できるモンて、どれくらいあるんだろう?
 あぁ‥‥もっと上手く‥朱螺に説明できればイイんだけど‥‥‥
 そういえば、こっちの文字とかはどうなんだろう?

 腕の中で、考え込んでいるらしい蒼珠に、朱螺は事実だけを口にする。

 『ふむ たしかに お前は 私の体液を受け入れ 馴染んだ
 なんの障害も変化もなくな‥‥‥‥』

 朱螺の言葉に、蒼珠は沈み込んだ思考の海から浮上し、今の言葉の意味に首を傾げる。
 
 「えっ? もしかして、マズイことになることもあるのか?」

 蒼珠のもっともな質問に、朱螺は頷く。

 『ああ 一応は 相性というモノがあるのでな‥‥‥‥
 双方の適合性が悪いと 体液を与えると 発熱をすることもしばしばあるな
 極まれにだが 死ぬこともある』

 なんでもないことのように言われ、蒼珠ははぁーっと溜め息を盛大に吐いて喚く。

 「しゅらぁぁ~‥‥‥俺、死んだらどうする気だったんだぁぁ~‥‥‥」

 体液を与えた時、たいしてなにも考えていなかった朱螺だが、もっともらしいことを言う。

 『くっくくくく‥‥‥‥だから お前を こうして 腕の中に抱き込んで
 確認していたぞ 私の体液を与えても大丈夫がどうかな

 お前は 私の躯から発散される魔気に なんの反応もしなかったから
 《魔力》を込めた 体液を与えても 大丈夫だと判断したんだ』

 蒼珠は、朱螺の言葉の中の単語を拾い、頭をウニウニする。

 えぇ~とぉ~‥‥魔気ってなに? いやそれよりも‥‥
 あの無理矢理飲まされた体液 《魔力》付与されていたんだぁ‥‥‥
 それで、意思疎通しやすくなったのか‥‥‥

 んで、朱螺の《魔力》が付与されているから‥‥‥‥
 安易に名前を呼ぶと、注がれた朱螺の《魔力》が反応して‥‥‥
 俺の躯は、本人の意思に関係なく支配されるって言っていたのか‥‥‥

 じゃない‥‥ここは異世界で‥‥剣と魔法の世界らしい‥‥‥‥
 種族も人間‥もとい人族以外のモノも多種多様に存在する‥‥‥

 再び、考え込んだ蒼珠を気にせずに、朱螺は言葉を続ける。

 『たしかに お前は 純粋な人族ではなさそうだな
 だが 人間と言うほどは 混ざっていなそうだ
 微かに その片鱗があるかな? 程度だ

 なん世代も前に、混血の者が入った程度だろう
 ‥‥‥‥が 素養はあるから 私が注ぐ《魔力》を受け止め 保有できるな』

 朱螺のセリフに、蒼珠は食いつく。

 「えっ? 俺も《魔力》とかもてるのか?」

 きらきらとした期待に満ちた蒼珠に、朱螺はクスッと嗤う。

 『ああ だが お前の内に潜む《魔力》を司る器官は ほほ休眠状態だ
 お前のいた世界は その口ぶりからして この世界のようには
 《魔力》というモノが存在しなかったようだから‥‥‥‥』

 「だから?」

 『ようするに 《魔力》の枯渇状態で 完全に停止 とういか‥‥‥‥
 《魔力》を司る 器官が退化している』

 「えぇ~‥それって‥‥俺は《魔力》とかいうモノを使えないってこと?」

 ガックリと肩を落とした蒼珠に、朱螺はクスクスと嗤う。

 『クックククク‥‥‥‥ まぁ 方法が 無いわけではないがな‥‥‥‥』





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