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0052★受け入れがたい現実‥正気と狂気の境

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 明宏は、聖樹の肛門に銜えさせた張り型を小刻みに少し抽挿させながら、その躯に淫靡な愛撫を施し、微かに戦慄いて震える背筋に口付ける。
 そして、震えたことで、聖樹の意識があることを確認した明宏は、含み嗤いを滲ませながら、その耳孔に甘い声音で囁く。

 「くすくす‥‥‥ここが‥‥‥肛門性交の味を、きちんと覚えて‥‥‥
 すべての‥性奴調教や躾けが済んで‥‥手淫や口淫を覚えたら‥‥‥
 くすくす‥‥‥正式な《愛人》にでもしてあげようか?

 同じ後ろ指をさされるにしてもね‥‥‥立場があるのと、ないのでは‥‥‥
 ‥世間体も‥‥風当たりも‥‥全然違うんだよ‥‥‥知っているかい?」

 明宏のセリフに、その言っている意味に、聖樹は、ビクンッと背中をしならせて、無意識にもがいた。
 その反応に気を良くした明宏は、双眸を細めて、喉を嗤いに震わせながら言う。

 「君の母親だって《愛人》をしているだろう‥聖樹‥‥‥クスクス‥‥‥
 でも、まさか自分の息子が、自分同様、男の《愛人》になるなんては‥‥‥
 思ってもいないだろうねぇ~‥‥くすっ‥‥聖樹に、選択権はないんだよ‥

 あっ‥‥それとも、君達親子が諦めがつくように‥‥‥聖樹が、この私に
 初めての躯を拓かれる映像でも観せてあげれば、納得するかな?
 どう思う? 何を取り、何を捨てるかは‥‥聖樹しだいだよ」

 そう嗤いながら呟いた明宏は、聖樹の肛門から拡張用の張り型を引き抜く。

 あうっっ‥‥‥ん‥なの‥イヤだ‥‥そんなことされたら‥生きていけない
 ‥‥そんな生き恥さらして‥‥‥母さんにあわす顔ないっ‥‥‥
 母さんの古傷を抉るようなことは出来ないっっ‥‥‥傷付けたくない‥‥‥

 そんなことになるくらいなら、自殺しよう‥‥隙をみて‥‥‥逃げて‥‥
 ‥どこか人知れない場所で‥‥‥この命を断とう‥御免なさい‥母さん‥‥
 俺には‥たえられない‥‥弱い子で‥‥ごめんなさい‥‥‥

 強姦され‥‥輪姦されても‥歯を食いしばって‥生きた‥母さんのようには
 ‥‥‥生きられそうに‥‥ない‥‥無理だ‥‥たえられない‥‥‥‥

 明宏は、自分の言葉に、聖樹が悲嘆にくれ、悲愴な覚悟をもって、自らの死を望むほどに追い詰められてしまったことに気づかなかった。

 明宏は、聖樹の肛門が、今の行為で傷付いていないかを、指の腹で丁寧に撫でて確認する。

 「ふむ‥‥大丈夫そうだな‥‥まだまだだが‥傷付くほどではないか‥‥‥」

 そう呟いた明宏は、再び拡張用の張り型を銜えさせる時に、スムーズに挿入出来るように、特別製の香油をたっぷりと聖樹の肛門に塗り込む。

 明宏は、香油で濡れ光る肛門に指を挿入し、背筋を震わせる聖樹の背中の窪みに、愉悦を味わいながら口付けて言う。

 「さぁ‥‥今日の分の栄養液を下の口から呑ませてやろう」

 明宏は、注射器型にいれられた、聖樹の生命維持の為の、今日の分の栄養液を、肛門から直腸に注入する。

 上の口からは、一切の飲食物を与えられていない聖樹は、直腸内を満たした生温い栄養液の感触におぞけを感じ、躯をブルッと震わせる。

 「ぅん? 本格的に、目覚めたのかい? 聖樹?」

 呼びかけられても、ロン・パルディーアの中で感じたような、とてつもなくおぞましいが、満たされる快感と同じようなモノを感じた聖樹は、それどころではなかった。

 ひぃ~‥‥生温い液体が‥直腸の中でグルグル‥する‥‥のが‥わかる‥‥
 吐き気がする‥気持ち悪い‥‥こんな感覚‥もう‥味わうのは‥‥厭だっ‥

 いやだぁぁぁ‥‥‥た‥助けてっ‥誰かっ‥‥‥いっそ‥俺を殺してくれっ
 ‥‥‥誰でも良いっ‥俺を助けてっ‥‥‥もう‥いやだぁぁぁぁぁ‥‥‥‥

 ざぁーっという擬音がつきそうなほど、鳥肌を立てた聖樹に、明宏が含み嗤う。

 「おやおや、栄養液が腸内を流れる感触でも感じたのかい?
 なら、たまらない快感だろう‥‥‥今、この拡張訓練専用の張り型で‥‥‥
 ここに、しっかりと栓をしてあげよう‥‥くすくす‥‥‥

 せっかく、注入した栄養液を排泄してしまわないようにね‥‥‥
 それに、この張り型は、木製だから‥腸内と大気中の水分を吸収して‥‥‥
 どんどん大きくなるよ‥‥‥そういう、特別な木材で作られているからね」

 そう言いながら、明宏は宣言したように、聖樹の肛門に拡張訓練専用の張り型を捩じり込む。

 香油のせいで拒むことも出来ずに、再び挿入された拡張用の張り型の感触に、聖樹は躯をのけ反らせて、髪を振り乱した。
 明宏は、そんな聖樹の前に回り込み、意志の強い双眸を覗き込む。

 明宏の視線と交錯した瞬間、聖樹は一瞬の幻影を見るが、それが何かは理解(わか)らなかった。

 ‥‥‥? ‥‥‥今‥のは‥‥何だったんだろうか?
 ‥‥‥いや‥‥そんな‥ことはいいか‥‥‥今の俺は‥‥何も感じない
 意識がなければ‥‥こんな、最悪な環境でも‥‥つらくない‥‥‥‥
 躯の痛みはあるけど‥‥‥母さんの‥身内の暴力や暴言よりキツクない‥‥

 躯に‥刺青なんてモンを、勝手に入れられたけど‥‥‥おぞましい‥けど
 ‥‥この男は、金で買った権利と言って‥‥俺のことを嬲るけど‥‥‥‥
 傷つける目的の暴力は振るわない‥くやしいし‥苦しいし‥気持ち悪いけど
 ‥‥‥死にたいほどの恥辱行為だけど‥‥‥自分の権利だと思っている‥‥

 でも‥たえられない‥‥‥ただの強姦‥だったら‥‥犬に噛まれた‥で‥‥
 すむのになぁ‥‥どんなに‥つらくたって‥‥気が済めば終わりがある‥
 性奴調教されて‥《愛人》契約なんて‥鎖に繋がれ続けるなんて‥無理だ
 ‥‥たえられない‥‥‥‥そうだ‥‥眠ろう‥‥‥‥

 再び、異世界という名の夢想に‥夢の深淵に滑り堕ちる‥‥その刻まで‥‥
 つかの間の‥‥この穏やかで‥‥優しい闇に包まれて‥‥深く眠ろう

 ほんの瞬きの間によぎった、何かに意識を奪われたが、そのまま聖樹はつらつらととりとめもない思考に陥った精神を、ゆっくりと確実に閉じた。

 「正気だったのは、一瞬だけか‥‥つまらんな‥‥‥‥はぁ~‥‥」

 呟く明宏に、ずっと黙って見ていた彫り師がぼやく。

 「無理を言いなさんな‥‥‥その坊やの躯に彫ってるモノは‥‥‥‥
 本来、何ヶ月もかけて彫るような‥‥盛大なモノなんだぞ‥‥‥‥
 それを、ほんの1日で‥‥‥まだ、墨彫りだけだが‥‥全身に彫ったンだぞ
 ‥‥‥その上で、お前さんに散々嬲られて‥‥‥‥
 俺に言わせれば、よく一瞬とはいえ正気になったもんだと思うぞ」

 彫り師の言葉に、明宏は肩を竦めて頷く。

 「そうだったな‥‥明仁の時は、小さめの刺青だったし‥‥‥‥
 かなり時間を掛けて彫った‥‥‥が、聖樹には時間を掛けてないからな
 躯の負担が思ったよりも大きいようだ」

 そんな明宏の言葉を夢現つで聞きながら、聖樹は思考を閉じ、狂い掛ける意識を封じて、すぅーっと心を深淵の闇にゆだねた。

 また異世界の‥夢を観よう‥‥今度は‥別の‥そうラオス達の旅している
 場所とは違う場所で‥‥‥でも、異世界が良いなぁ‥‥‥‥
 ‥‥出来れば‥‥そう、出来れば、初めて異世界に堕ちた時みたいに‥‥‥
 そして‥‥自由な身で‥‥どこかを旅したいな‥‥‥
 ああいう‥かっこよくて‥かわいい‥もふもふ連れて‥‥‥‥

 静かに闇が聖樹の精神を優しく包み込み、深淵へと急速に滑り堕ちたのだった。



                
 
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