悪戯な運命の女神は、無慈悲な【運命の糸】を紡ぐ

0051★受け入れがたい現実‥現実逃避

　ふっと、聖樹の意識が、現実世界で目覚める。

　あぁ‥‥俺は‥‥‥俺が、帰属する現実の世界に戻って来たのか‥‥‥‥
　‥‥別の‥穏やかな生活の出来る世界なんて、夢のまた夢だよなぁ‥‥‥‥

　ふっ‥所詮は‥あんな‥異世界‥‥夢なんだって‥‥突きつけられる‥‥
　ただ、現実から逃れたいという夢想が生んだ儚い希望なんだろうなぁ‥‥‥

　‥‥くっ‥‥その証拠だとでも言うかのように‥‥‥
　あんな、異世界という名の夢にだって、現状に引きずられて‥‥‥‥
　そりゃー男女間のだったけど‥‥‥‥おぞましい行為が付いて回る‥‥‥

　所詮、夢は夢‥‥‥現実にはかなわないんだろうなぁ‥‥‥はぁ～‥‥‥‥
　もし‥‥この今の状態から、逃ける手段と行く場所があるなら‥‥‥‥

　俺の持つモノ‥‥すべてを‥‥‥捨ててでも‥‥‥ここから‥逃けたいっ
　‥‥‥マジで‥どこか遠く‥‥俺を知る者がいないところへ‥‥‥
　ある‥なら‥マジで‥‥異世界にでも‥‥‥逃げてぇ‥‥クッ‥

　現実逃避しても、現状は変わらないのだとでも言うように、そんな聖樹の躯に、唐突に、あいまいだった感覚が鮮明によみがえる。

　あぁ‥‥躯のあちこちが痛い‥‥っ‥‥ぅんぅぅ‥‥くっ‥またか‥‥
　俺は、明宏と名乗った男に、肛門をいいようにいじられ‥嬲られているのか

　でも、あまり‥‥‥躯の感覚がないなぁ‥‥‥なんかヒリヒリするし‥‥‥
　‥‥ただ、背中と腕や脚の１部が火傷でも‥したかのように熱いな‥‥‥
　まるで、夏の海辺で‥‥そう、日焼けした時のような感じだ‥‥‥

　こういうのって【運命】に、もてあそばれるって言うんだろうなぁ‥‥‥
　つい２～３日前までは、平凡な日常だったのになぁ‥‥‥はぁ～‥‥‥‥

　今は、それが‥‥とてつもなく‥遠い‥‥手が届かない‥ほど‥‥‥‥
　いっそ‥‥気が狂ってしまえば、楽になれるかもしれないのに‥‥‥‥

　‥‥‥まだ、俺は、正気のままだ‥‥‥‥
　ふっ‥‥もっとも、正気を失うのも時間の問題かなぁ？

　別の異世界でのおぞましい行為から逃れて、この自分が所属する現実世界で目覚めてみれば、再びべットにうつぶせの状態で鎖で繋がれて‥‥‥‥。
　望まない刺青を彫られ‥‥‥‥男に、淫猥な行為を強制されている現実。

　聖樹が逃げられない現実に、暗鬱としている中、陵辱者は少し不満げに呟く。

　「‥‥‥‥ふむ、まだ‥ここは‥‥あまり広がっていないようだな‥‥‥
　まぁ、コレをつかっても‥‥１日や２日で、そう変わるモノではないが‥‥‥

　しかし、綺麗に彫れたモノだ‥‥‥まだ、墨一色だと言うのに‥‥‥
　くすくす‥‥‥色止めが成功したお陰かな？　‥‥すごく、嗜虐をそそるな」

　銜えさせた張り型をもてあそびながら、そう呟き、明宏は聖樹の背中の刺青の輪郭を指先でたどり、愛しそうに口付ける。
　どうやら、聖樹が昏倒から覚醒したことに気付いていない様子である。

　聖樹も、ある意味で精神的にかなり疲れはてていたので、明宏がおこなう恥辱行為を黙殺し、ジッとしていた。

　‥この口ぶりだと‥‥‥‥背中の刺青‥‥もう‥彫り終わったんだな‥‥‥
　あぁ‥‥俺は、この先‥‥‥どうしたら良いんだろう‥‥‥‥
　‥‥ふっ‥まぁ‥この男から逃げるか‥‥解放されたらの話しだけど‥‥‥

　こんなモンを、全身に彫られた姿で、家になんて帰れないよなぁ‥‥‥
　‥‥‥それに、母さんに何て言えば良いんだ‥‥わからない‥‥‥

　俺が家に帰ってなくても‥‥‥住み込みのアルバイトしているって‥‥‥
　思っているよなぁ‥‥‥きっと‥‥‥あんな会話するんじゃなかった‥‥‥
　後悔先に立たず‥って言うんだろうなぁ‥‥‥こういうのを‥‥はぁ～‥‥

　くそっ‥俺が、こんな境遇にいるなんて、夢にも思わないだろうなぁ‥‥‥
　俺は、何時‥‥この男に‥‥解放してもらえるんだろう‥‥‥‥

　あの最初の会話の時‥‥‥この猿轡を嵌められる前‥‥‥‥
　夏休みが終わっても、性奴調教と躾けが完壁に終わるまで解放しないって‥
　俺を鎖に繋いで、躯をもてあそぶ‥‥この男が満足する状態って？

　背中や手足の刺青が‥‥完全に彫りあがった状態で‥‥‥‥何回か‥‥‥‥
　肛門性交すれば‥‥‥飽きてくれるのかなぁ？

　‥‥‥‥俺は、解放されたあと、普通に戻れるだろうか？
　いや、それより、この男が、俺を嬲るのに飽きて手放すまで‥‥‥‥
　俺は‥‥‥はたして‥‥‥正気でいられるだろうか？

　どっちも、無理そうだなぁ‥‥‥俺は、これからどうすれば良いんだ？
　‥‥かりに解放されたとして、何も無かったって生きていくには‥‥‥
　この躯に彫られた刺青が邪魔をする‥‥‥‥

　それに、俺に睡眠薬を盛って‥‥‥デモニアン‥とかいう奴等に‥‥‥
　俺を売ったクラスメートのあいつ等は‥‥ほぼ‥間違いなく‥‥知ってる

　‥‥‥買われたあとの俺が、どんなことをされているかを‥‥‥‥
　多分‥いや‥確実に‥‥知ってるな‥‥知ってて、俺を売ったンだから‥‥

　もし‥‥この男が、満足して‥‥‥‥解放されて、外に出ても‥‥‥
　‥今度は、それをネタに、何を言われるか判らないのは‥‥確かだ‥‥‥
　この男が囁いたように‥‥‥あいつらを‥‥‥俺が‥‥できるか？

　抵抗の術を取りあげられ、苦痛と屈辱を味わい続けさせられることを余儀なくされている聖樹は、鬱々とした思考の海にドップリと浸かり、無気力に暗闇の海を漂う。

　明宏は、聖樹の肛門を拡張する特殊な張り型を銜えさせ、モノを銜え込むということを訓練させるために、その張り型をもてあそびながら呟く。

　「‥‥クスクス‥‥聖樹の躯をある程度調教し終わったら‥‥‥‥
　可愛い明仁に、聖樹を抱かせてみるのも一興かな？
　そうだ、聖樹に、私と明仁のモノを銜え比べてもらおうか‥‥‥」

　明宏の呟きに、聖樹はおぼろげな意識の中の暗闇を浮遊する。

　‥‥ぅん？　‥‥‥かわいい？　‥あきひと？　‥‥って‥‥‥
　やっぱり‥‥‥俺以外にも‥この男に‥捕らわれている者が居るんだ‥‥‥
　じゃないっっ‥‥‥‥自分と‥‥そいつ‥のモノを銜え比べる‥‥‥‥

　そんなの嫌だっ‥‥複数の者に、躯を犯されるなんて耐えられないっっ‥‥‥
　どうば良いんだ？　‥‥そんなことになったら、精神が耐えられない‥‥‥
　いっそ隙を見つけて、死んでしまった方が、楽になれるのかな？

　もう‥‥こんな屈辱の数々には耐えられないっ‥‥いやだっ‥‥‥‥
　誰か、俺を殺してくれっ‥‥‥俺に、自由を‥‥消えちまいてぇ‥‥‥‥

　半覚醒状態の聖樹は、今更ながら‥‥‥自分の境遇に、悲嘆する。