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 聖樹は、のろのろと明宏の表情を窺がうために顔をあげる。

 明宏は、泣き濡れた聖樹の瞳を覗き込み、優しげな口調で囁くように言う。

 「私の施す愛撫に拙く応える聖樹の躯は、とぉ~っても可愛いかったよ
 だから聖樹の躯に入れる刺青は、私自身が考案した図柄で彫ってあげよう
 とびっきり、綺麗なモノを‥‥ね‥‥」

 その瞳の色から、まだ、この陵辱行為が終わることがないことをさとり、聖樹はがっくりとうなだれて脱力する。

 明宏は、ベットの上で腹台を入れられ、四つん這いの姿でずっと固定されたままの聖樹の肛門のヒダを指先で一つ一つ淫扉に撫でさする。
 今までの行為で、聖樹の肛門を傷付けていないかを自分の目で確認するために。

 聖樹の蕾みは、散々嬲られたことによって、妖しく充血し、薄紅色に色付いている。
 だが、先刻まで香木バイブを頬ばっていたことなど嘘のように、今は慎ましくキュッと窄まっていた。

 充血し、すこし色付いた状態の蕾みに、明宏はしみじみと呟く。

 「本当に、崩れ一つない綺麗な窄まりだからねぇ‥‥‥‥
 ん~‥‥‥コレを華芯に見たてて、牡丹か薔薇でも彫らせようか?
 ‥‥‥双丘の奥底に眠る秘華‥‥うん‥それがイイ」

 香油で妖しく濡れ光る肛門のヒダを指の腹で撫でた明宏は、絞るように窄まる肛門の輪の感触を楽しみながら、再びゆっくりと指を深く挿入する。

 「ふむ‥‥‥‥ここに彫るのは‥おしろい彫りの方が良いかな?
 くすくす‥‥‥怒張した男のモノを、ここにいっぱいいっぱいまで頬ばり
 貪欲に銜え込んで、情欲に燃え上がると浮き出るようにしよう‥‥‥‥」

 指を挿入された途端、精根つき果て脱力していた聖樹の躯が、明宏の眼下で水揚げされたばかりの若鮎のごとく妖しく跳ねる。
 そんな聖樹の媚態に、明宏は含み嗤った。

 「聖樹は、羽根‥‥そう、自由に空飛ぶ翼のイメージが強いから‥‥
 うん‥‥‥‥六対の翼のモチーフがイイかな? ‥‥くすくす‥‥‥
 通常の龍神よりは、羽毛の蛇‥‥ケツアルカトルのような

 いや、やはりここは、羽毛よりも獣毛かな? 
 ‥‥そう‥豊かな毛皮を持つ蛇体が良いね。

 手足だけ鱗のままにして、手首から肘に掛けて飾り片翼を付けて、
 足も膝から足首に片翼の飾り羽毛、頭部は龍神としての角、
 羽飾りのような耳に豊かなタテガミに、長い髭に鋭い牙はひつようだね
 あとの、残りの部分は皮毛で覆われているのが良いな?

 ああ‥‥あとは純白の牡丹と、咲き乱れる真紅の曇珠沙華で飾るかな?
 ‥‥‥‥私個人のイメージとしては、全龍種の皇帝かな?
 どう思う? 聖樹」

 そう呼びかけられても、疲労困憊の聖樹は、既に夢現つで、明宏の愛撫に生理的条件反射で反応しているだけの状態に陥っていた。

 「なんだ‥‥‥‥もう‥聞こえてないか‥‥‥‥
 まぁ、初めてだからしょうがないかな?
 佐々木、今言った図柄で、早急に幾つかデザインしてくれ」

 完全に意識を闇に堕とした聖樹の鎖を外し、腹台を外してべットにうつぶせに寝かせる。
 そこに、部下の高橋が現れる。

 「‥‥‥‥ぅん? 何だ?」

 訝しむ明宏に、高橋がチラッと聖樹の意識が落ちているのを確認して、小声で報告する。

 「どうやら、また明仁様が逃亡を目論んでいるようなのですが?」

 いかが致しましょうか?と問う高橋に、明宏は苦笑する。

 「まだ、諦めていないのか、明仁は。しょうのないヤツだ‥‥‥
 ‥‥‥‥まぁ‥‥そこが可愛いンだがな。

 くすくす‥‥‥‥私から逃れられないと、何度、その躯に教えても
 明仁は、私から逃れようとする‥‥‥‥」

 ククククッと喉で含み嗤う明宏は、聖樹からスイッと離れる。
 明宏の中での優先順位では、明仁が一番上なのだ。

 「佐々木、私は明仁のところに行く。聖樹を頼んだぞ。
 聖樹の躯に似合うデザインが幾つか決まったら報告してくれ。

 ああ、お前達から見た聖樹に似合うデザインや花が他にあるなら
 それも混ぜて、報告してくれ‥‥‥‥行くぞ、高橋」

 佐々木とその部下に言い放って、明宏は高橋を伴い、部屋から出て行った。

 後始末を任された佐々木が、聖樹の躯を洗浄するために《浴室》へと運ぶ。

 佐々木直属の部下達は、明宏の新しい性奴である聖樹のために設えた部屋に、聖樹用のべットを入れて、新しいシーツ等を用意する。
 所詮は、毎度のことなので、誰も何も言わない。


 涙と唾液で汚れた顔と汗に濡れた躯の洗浄を終えた聖樹を抱えて、聖樹用に設えた調教部屋に佐々木が戻って来た。
 その時には、部下達の手によってすべての用意が整っていた。

 それを目視で確認した佐々木は、意識のない聖樹をまっさらのべットに降ろす。
 そして、用意してある三つの枷の一つを手に取り、首枷の首輪から嵌めて行く。
 順に、左右の手枷を嵌め、足枷の順番で装着させる。

 一番最初に、首輪から伸びる鎖をべットの突起に繋け、逃げられないように拘束する。
 次いで、聖樹の両手を万歳の形で固定し、手枷から伸びる鎖も、ベットの突起に繋ける。
 足枷はそのまま、今度は、自殺防止用の猿轡を嵌める。

 過去に、ちょっと目を離した隙に、舌を噛んで自殺を計った者が出て以来、新しい性奴が入ったら、すべての調教と躾けが終わるまでは、猿轡を嵌めることになっているのだ。

 その佐々木の側では、田中が衰弱した聖樹の直腸に入れるための栄養液を用意していた。

 黙々と準備を進めた佐々木がクイッと首を振れば、部下の二人が左右に別れ、聖樹の足の膝を胸に向かって折り曲けながら、股間を開くように押さえる。

 聖樹の蕾みが露わになるが、その手の性癖を持たない佐々木は、何の感慨もなく薄紅色に充血した蕾みに用意した栄養液を注入する。
 そして、注射器と交換で排泄防止シールを田中から受け取る。
 
 佐々木は栄養液を排泄されないように、排泄防止シールを聖樹の蕾みに貼り付けた。
 終始無言で必要な作業を行い、三つの枷と猿轡の確認を済ませた佐々木は部下を連れて静かに部屋から出て行った。

 部屋には、ようやく訪れた安寧に浸る聖樹の静かな寝息だけが辺りに漂っていた。
 しかし、これは、聖樹がこれから味わう、悪夢のほんの序章にしか過ぎなかった。



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