異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

ブラックベリィ

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083★もしかして、まさかの……あの双子でしょうか?

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 業務連絡という感じで、アルブが淡々と話し始めました。

 「東のアーリアス辺境伯爵領に現われた
  【エトランジェ】の名前がわかったぞ」

 「なんて言うんだい?」

 「ユーリアって言うそうだ」

 「ただ、それは真名ではないだろうって噂だ」

 「まぁ【エトランジェ】は、たいてい仮の名を名乗るしな」
  
 「それと、西のアルフェス辺境伯爵領に現われた
  【エトランジェ】の名前がわかった」

 「それで?」

 「ユーリスって言うらしい」

 「へぇー似たような名前なんだな」

 「東のアーリアス辺境伯爵領に現われた【エトランジェ】のユーリアと
  西のアルフェス辺境伯爵領に現われた【エトランジェ】のユーリスの
  肖像画がやっと手に入ったんだ」

 「ふぅ~ん」

 「それを皆も真面目に見て欲しい」

 「どうして?」

 「そっくりなんだよ」

 「本当に?」

 「百聞は一見に如かずだよ」

 夫達の会話で、ビッチな【エトランジェ】の容姿がわかると言うので、私は無理やり意識を起こします。

 だって、どんな人か気になりますもの。
 もしかしたら、私のライバルかも知れませんしね。

 ここが、乙女ゲームの世界なら私はどんな立場なんでしょうか?
 たぶんモブだと思うけど、皇子様や公爵家の嫡男達や伯爵家の嫡男達の妻なので、悪役令嬢なのかも?です。

 ただ2人の【エトランジェ】のどちらかがヒロインだとしても、もうヒロイン補正は無いと思いたいです。
 っていうか、既に私は夫達と正式に結婚しているし、双子の娘も出産しているから、そんなモンあったら困ります………ええ、マジで。

 たとえあの【召喚された花嫁は、獣人達に愛される】っていう架空の乙女ゲームを元にしたラノベの世界でも、戦う予定ですよ。

 ただ、モブヒロインかもしれない私が、攻略者と思われる男達を夫にしている時点で、もうこれってゲームオーバーよね………そうだよね?

 だから、ヒロイン達に夫達が出会っても、正式な妻は私だから………ヒロイン補正とか、物語のシナリオ強制力は無い………そう思うしかないけど。

 どっちにしろ、こっちでは離婚はありえないそうだから………ある意味で安心。
 もしヒロイン達に夫達が引っかかったとしても、愛妾か側室って感じで終わりでしょうね。

 約定に従って正式に婚姻し、次代の皇太子達の最初の皇女を2人生んだ私との離婚はありえませんよね………流石に。
 勿論、臣下に下賜されるなんてコトもありませんから、せいぜいが別居………たぶん、きっと。

 じゃなくって、皇子達との関係は微妙でも、ウォル達アスタール伯爵家の嫡子達との婚姻の解消は無い。
 だって、ウォル達は私にベタ惚れだもの………これは自信もって言える。

 それと、ヴァレンシュタイン公爵の嫡子であるアッシュとイアンとの婚姻の解消もありえないわ………こっちも大丈夫。

 貴族令嬢達に、結婚相手として忌避されまくっていたから、ある程度は約定に縛られているし、養女とはいえ正式なアスタール伯爵家令嬢である私との婚姻しか次代を得る可能性が無かったんだから………。

 というか、アッシュとイアンは、貴族令嬢達がキライだとはっきり言っていますからね。

 事故物件扱いで、パーティーに出ていても令嬢達に無視されるか、格下扱いで、結婚してあげるという勘違い令嬢に迫られるばかりだったから………。

 流石に、虫唾が走る程にキライだと………うん、トラウマレベルだよね。

 ウォルとエド達は、冒険者として活動していたから、貧乏で貴族じゃないって扱いで、令嬢達に無視されていたって言っていました。

 アルとイザークは、真面目過ぎる性格だからつまらないと敬遠されていたって言ってましたしね。

 ウォル達と一緒で、絶対に【エトランジェ】を見つけて結婚するって決めていたそうです。

 ついでに、アスタール伯爵家に【エトランジェ】が何度も嫁いでいた為に、その肖像画を毎日のように見ていたので、肖像画の女性が好みになっていたって………。

 その結果が、私という理想の美少女だったそうです。
 まさに、ダテ食う虫も好き好きってヤツですね。

 こうやって考えてみると離婚や別居の可能性があるのは、本当に皇子達だけだわ。
 でも、アルブとアーダは、私の産んだ娘達にめろめろだから、あの双子を妃にする為に、私と離婚とか別居は考えられないわ。
 
 なんて暗く沈んだり色々と思っていても、ウォル達や皇子達の会話が続いています。

 「ふぅ~ん…黒髪に黒い瞳の少女かぁ~普通だね」

 「ああ、普通の貴族令嬢達と変わらない容姿だな」

 ウォル達の言う普通の容姿ってどんなモノなの?
 彼等の基準がさっぱりわからないから困ってしまう。

 だって、いつでも何処でもところかまわず。

 『マリエが1番可愛いよ、愛してるよ
  マリエより可愛い女なんていないよ
  最高の美はマリエが持ってる』

 なんて腐ったコトしか言わないんだから………。







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