異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

ブラックベリィ

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060★私と会話する為の食事方式だそうです

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 そして、2人のエスコートで、食堂に向かいました。
 ドレスの裾は、ぎりぎり床に付かないかな?って長さなので、私の神経はさくさくと刺されています。

 クリーンとかフレッシュで綺麗になるって判っていても、魔法の無い世界出身の私には辛いものです。 
 このドレスをクリーニングに出したら幾らするの?って、ついつい思ってしまうので………。

 所詮、私は一般小市民出身なんですよぉぉ~………無理だって思います。
 鏡で見た髪飾りもネックレスもピアスもキラキラした宝石のオンパレードでした………いったい、幾らするの?って思うと辛い(号泣)。

 ここで、意識を無理やりでも切り替えますよ。
 ご飯が不味くなりますもの。

 そこで、正装しているウォルとエドを改めて見ると、もう眼福でしたね。
 貴族としての正装ではなく、騎士としての正装に近い姿でしたよ。

 後で、スマホが使えるか?それ意外に映像記録を撮る方法があるか?って、沙良に聞きたいと思います。
 きっと、他の婚約者達もカッコイイ正装をしていると思ったから………。

 こころの中の記憶だけじゃなく、USBメモリにもその映像を残したいって思うんです。
 それぐらいしか楽しみが無いですしね。

 なんて暗く思っていたら、食堂に辿り着きました。
 席に座って食べると思っていたのに、バイキングスタイルって感じてテーブルに色々な料理が、大皿等にのせられています。

 これはどうやって食べるの?
 マナーの時間に習っていない食事の仕方なので、私は首を傾げてしまいますよ。
 そんな私に、ウォルが話しかけてきました。

 「マリエ、これは、パーティーなどでの食事方式だよ

  主に会話やダンスを楽しむモノだから
  思い思いに好きなものを取って貰い

  そこかしこに置いてあるソファーに座って食べるんだよ」

 その説明に、私はほっとしました。

 「ウチの夜会で出るのは
  もっと軽いモノが中心だから驚いただろう

  アレは、出会いを求めている者達が
  色々な相手と思う存分ダンスを踊れる様に

  って意味で、食事としてはかなり軽いものを出していたんだよ
  でも、今日は、会話を楽しみたいから、この形式にしたんだよ

  会話しながら食べたら、ちょっと踊ろうね
  それに、兄さん達や皇子達もマリエと会話したいだろうしね」

 エドの補足説明で、今日は私との会話をする為に、こんな食事形式にしたってわかりましたよ。
 そして、私は、どれから食べようかなぁ~って思いながら、料理の並んだテーブルを眺めています。

 「マリエ、どれが食べたい? 私が取ってやろう」

 この声ってと思いながら視線を向けると、きらきら皇子様のアルブとアーダが、お皿を持ってにこにこ笑っています。
 その隣りには、ヴァレンシュタイン公爵家のアッシュとイアン、その隣りにアルとイザークって感じで並んでいました。

 全員がにこにこと笑っているんですが………。
 元々が、モブの一般小市民の私にはかなり辛いです。

 でも、何も言わないのはアレなので、当たり障りの無いコトを口にします。
 そう空気の読める大人しい心配りの出来る日本人ですからね。

 「皆さんがおすすめの料理を取って欲しいんです
  そうすれば、新たな美味しい料理を知るコトが出来ますから………

  だだし、1皿に1品ですよ
  色々な種類を知りたいので、宜しくお願いします」

 私のちょっとした我が侭なお願いに、その場に居た婚約者達は全員が嬉しそうに言う。

 『わかったよ。楽しみに待っていてね』












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