異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

ブラックベリィ

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018★手に仕事を持ちたいんです………イエス、自立したいんです

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 エドもウォルも困った顔をしているけど、私も困ったしまう。
 もしかして、これが、常識の違いによるものならどうしようもないわ。

 「えっとぉ~」

 私の手を取り指先に口付けしながら、ウォルが首を傾げながら言う。

 「なんて説明すれば良いのかなぁ~………
  この世界で、女性の生まれる割合は
  男性よりもちょっと低いんだ」

 そのしぐさも、話してくれた内容も、私には受け入れ難かったわ。
 頭の中には、はぁ~なんですとぉ~……という対処不能な思いが踊っていたの。
 それなのに、エドも同じように私の手を取って、指先に口付けしながら補足説明をしてくれる。

 「国にもよるけど、男性5人に対して
  女性は、3人以下なんだよね」

 2人の説明を併せると………この世界の女性は、マジもんで少ないらしい。
 何処のラノベの世界なの?って思うわ。

 ありえないわ………だって、ここに来た時に、お出迎えの侍女さん達がけっこういたもの。
 どうか2人のくれた情報が、冗談でありますようにと祈りながら、私は質問する。

 「えっ? そんなに女性は少ないの?」

 そんな私を、気の毒そうな表情でウォルが答てくれる。

 「そうだね、少ない国では
  男性3人に対して女性が1人かなぁ~………」

 次にエドが、本当に困ったなぁ~という表情で説明してくれる。

 「それは、平時だろう
  戦争時や流行病があると

  もっと女性の割合は
  減る傾向にあるよな」

 なんなのその男女比率はぁ~………マジですか?
 3対1でも、少ないと思うのに、流行病でもっと女性が減るんですか?

 そうねここは、剣と魔法の世界だよね。
 治癒魔法やポーションがあるから、医療技術が発達しないのね。

 たぶん、病気に対しては、ポーションとか薬草を煎じて飲むって以外の対処方は無いんだと思う。
 病気に対する考え方が違うから、ワクチンも無いだろうし………。

 なまじ、便利で万能な治癒魔法とポーションがあるから………。
 ラノベを思い出して、私は、この世界がおかれている医療事情を想像して死んだ魚の目をしてしまう。

 そこで、医療事情をポイッと捨てて、私は女性が出来る仕事について聞いてみるコトにした。
 できるコトをやるっていうのが、異世界転移した人間の処世術よねなんて思いながら………私は2人に質問する。

 「だったら、女性の仕事は?」

 私の質問にウォルが、苦笑しながら答えてくれた。

 「あんまり無いよ

  侍女や乳母、家庭教師に巫女や
  女神官とかかなぁ~………」

 うっそぉぉぉ~………マジでぇ~………。
 それ以外の言葉が出てこない。

 それって、女性は家に居て引きこもり生活する人が、大半だって言うコトじゃないのぉぉ~………。
 いやいや、落ち着け私。

 侍女って職業があるなら、洋服のデザインをするとか、縫製の仕事とか、機織するとか、レース編みをするとかって、色々と家の中でする仕事もあるじゃないの。

 平民の農家なら農作業するとか………。
 牧畜なら、乳搾りや餌やりもあるよね。

 それと、チーズやバター、それにヨーグルトや生クリームを作る作業とか色々とあるよね。

 きっとやっているよね。
 そう思いながら、私は2人に懲りずに質問する。

 「洋服のデザインとか
  服を縫ったり、機織とか

  レース編みに刺繍とかって
  仕事としてあるんですか?」

 2人に女性が少ないって説明されてから、私は涙目になっていたらしい。
 だって、2人して私の目尻や頬に口付けするんだもの。

 いっやぁ~いたたまれないから、モブの私に2人と何するんですかぁ~………(号泣)。
 もう勘弁してぇ~私のHPは、限りなく0に近いんですよぉ~やぁ~めぇ~てぇ~………(爆)。

 乙女ゲームの攻略者並みの美形が2人して、背景でしかないモブの私にヒロインにするようなコトをしないで下さいよぉ~いたたまれないわ。

 でも、女性が少ないなら、これもありなのかしら?
 そんな腐った考えはおいておいて、真面目にこの世界の女性の立場を聞いてみるしか無いわね。
 
 「あっあの………」

 口ごもってしまった私に、ウォルが優しく微笑んで甘い声で囁いてくる。

 「家の中では、それぞれの仕事を
  手伝っているかも知れないね」

 うっきゃー何処の乙女ゲームなのぉ~………いちいちこれじゃあ、私の精神や神経の方が持たないわぁ~………。

 どこぞのラノベに出てくる、イエスロリータノータッチの精神で、私に接して欲しいと切に願います。
 そう、見るだけにして………いや、それでもモブにはツライけとね。








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