異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

ブラックベリィ

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008★えっと、もしかしてふたりは王子様?

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  私が、気絶していたのはゲートを通っている間だけだったようです。
 何故そう思ったかというと、ぱっと眼が覚めたからですね。

 嘘です…エドが地面に置いていた宝石?を袋に入れているのを見たからです………今回収してる=短時間です。

 改めてこの異世界を見回したら、前方に大きなお屋敷が見えましたよ。
 そして、近くには石造りの頑丈な建物がありますね。

 馬らしきモノ達の声も聞こえます。
 確かに、ここは人が住んでいる場所ですね。
 なんて思っていたら、騎士や魔法使いらしき人達が走ってきます。
 
 『お帰りなさいませ、若君方』

 おお~騎士や魔法使い達が、2人に一斉に挨拶しているわ………綺麗に声が揃っています。
 本当に伯爵家の御曹司なんだなぁ~って実感しちゃうわ。

 「「ただいま」」

 その使用人?の挨拶に、2人は素っ気なく答える。
 これって、何時ものコトだからかな?
 私には、なんかいたたまれない程に、親切で優しかったのに………これが、噂のギャップ萌えなのかな?

 「次期様達は?」

 塩対応な2人にめげないで、銀の飾り紐とブローチを付けた黒いロープを着た魔法使いさんが質問する。
 それに、エドがさらっと答える。
 なんか冷たい感じがします。

 「帝都に帰ったよ

  お祖父様やお祖母様達には
  会っているから

  そのまま帰ると言っていた」

 それを気にも留めずに質問を続ける魔法使いさんは、メンタルが強いなぁ~って感心しちゃうわ。

 「そちらの方は…もしかして………」

 あれ…もしかして…私のコトを質問しているのかな?
 変な服装の不細工なモブを、どうしてイケメンの御曹司がお姫様抱っこで連れて歩いているか気になるよね。
 きっと、また、エドが素っ気なく答えると思っていたら………。

 「ああ、俺達が見付けた
  【エトランジェ】マリエだ」

 なんで、ウォルが嬉しそうに笑って答えるんですか?
 冷たい顔をしていたエドも、嬉しそうに笑っているのはどうしてですか?

 そんなに【エトランジェ】って、良いものなんですか?
 聞きたい…物凄く聞きたい…【エトランジェ】が、何なのか?

 でも、今の状況で聞くのは不味いですよね。
 さっきも答えてくれなかったもの。

 ここは、どこかのお部屋に落ち着いたら、がっつりと聞きます。
 それまでは、我慢します。
 イライラするし、不安になっちやうけどね。

 『おめでとうごさいます』

 魔法使いさんや騎士さん達までも、嬉しそうにハモって言う。
 なんで貴方達まで嬉しそうなんですか?
 あぁ~聞きたくてむずむずしますよ。

 「このまま
  お祖父様とお祖母様に報告する

  父上達には、湯あみして
  洋服を整えてから報告する」

 あれ?もとの冷たい御曹司モードに戻っていますよ。
 もしかして、エドってこっちが素なのかな?

 エドの冷たさを気にもしないで、今度は鎧とマント姿の騎士さんが言います。
 それからは怒涛の提案でしたね。

 「では、執事長と侍女長に
  伝えておきます」

 「私は、先振れとして
  先代様達にお伝えいたします」
  
 「あの陛下には?」

 「父上が報告するだろう?」

 「後で、色々と言われませんか?」

 「殿下方には?」

 「全部、父上にまかせるさ」

 魔法使いさん達と騎士さん達は、口々に言いたいコトを言っている感じがしますよ。
 それに、エドとウォルが相変わらず、素っ気なく答えているって状態です。
 この会話って、まさかのテンプレ?

 私を抱き上げているウォルもエドも、皇族の血統引いているよね………呼び方でそう思いました。
 まさかのラノベ展開?マジでぇぇ~………。

 いや、もしかして、ラノベの世界を超えて、乙女ゲームの世界?
 私は、乙女ゲームなんてしたコト無いわよ。

 もしも乙女ゲームの世界だったらどうしよう………。
 でも、焦っても何もできないわね。
 ここは流されて行きましょうか………それしか出来ないけど。

 なんて思っている間も、ウォルとエドはどんどん歩き、あっという間にお屋敷の前についてました。
 すると、どこのホテルっていう建物だったわ………凄いです。

 雨が降っても馬車から下りる時に濡れないようにって、車寄せの上に屋根ががっつりとかかっていたんだもの。
 そして、玄関は開け放たれ、その前には使用人の群れが………。

 マジで乙女ゲームの世界っぽいわぁ~………。
 地味にモブの私には、絶対に似合わない接待だと思ってしまう。
 そんな私にお構いなしに、ウォルとエドは歩く。
 
 『お帰りなさいませ…若君』

 使用人達の出迎えの挨拶は、唱和するとかハモっている感じで揃っていたのにおどろいたわ。

 それに2人は素っ気ないほどの態度と声で言う。

 「「ただいま」」

 ふと気が付いたんだけど、私達の周りをさっき出会った騎士達が、なんか警護するように歩いている。
 これからどうなるんだろうって私は不安になってしまう。
 私の思いとは関係無くウォルは開け放たれた玄関を入って行く。







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