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第12章 ゼフィロス村
127★どうしてココに居るんでしょう?
しおりを挟む冒険者登録の手続きが終わったので、その足で2階に行きました。
勿論、登録当日だけの特権である、初心者向けの手引き書と簡易魔物図鑑と周辺地図はしっかりと手にいれました。
初心者冒険者に必須で、無料でもらえるモノはもらっておきますとも………。
RPG【黄昏の解放】やR18乙女ゲーム【レインボーパレス】のゲーム内の知識はあっても、実際と現実には違いが多々ありますからね。
それでも、今の私には前世から一緒のコウちゃんや、こっちで外の世界をずっと視ていたガッちゃんがいるから、王宮育ちの脆弱なシルビアーナの身体でも、なんとか対応できているだけだから………。
それでも、お父様とお母様の子だけあって、シルビアーナの身体のスペックはかなり高そうです。
そこに、天使シリーズとコウちゃんからの補正と、何でも食べちゃえるガッちゃんが付いているので、よほどのコトがなければ大丈夫そうです。
それでも、実際に冒険者として必須の知識は、こういう初心者向けの手引き書や簡易魔物図鑑、それに周辺地図で手に入れるしかありません。
だって、今の私にはゲームという仮想世界ではなく、全部現実のことなんだから………。
これを考えると、ラノベとかのヒロインって脳内お花畑が多いって思いますね。
いや、現実を認識できていないのかも知れませんね。
今考えると、あの私の元婚約者の皇太子とその取り巻きを誑かしたメロンちゃんも、私みたいに前世の記憶があったのかも知れませんね。
いや、やっているコトがそのまんま、ラノベやマンガなんかのヒロインと一緒でしたから………。
ただし、かならずしも、そのラノベやマンガと全部一緒とは限りませんけどね。
実際、私だって、RPG【黄昏の解放】やR18乙女ゲーム【レインボーパレス】の話しの流れから外れまくってますからね。
じゃなくって、今は現実逃避は横に置いて………。
本当は、ここで食料とかも手に入れたかったんですが………。
定番的に考えると、ギルドで販売する必需品とかって、他より安かったするんですよねぇ………。
でも、今ここで流通している、通貨を持っていなかったので諦めました。
その代わりに、別の通貨取得方法を考えました。
とりあえず、こっちの通貨を手に入れる為に、1度冒険者ギルドから出て、ちょっと時間を置いてから、地駆鳥やホーンラットなどを売りに来ようと思います。
まだ、もらった腕輪に浮かんでいる初心者マーク?は消えてませんから、コレが消える前に戻って来て、初心者特典を享受しようと思っています。
うふふふ………うまくいけば、買取額アップもありそうですからね。
なんて思いつつ、冒険者ギルドを出て村の中を通り抜け、村のハズレに向かいましょう。
そう、こっそりと、あの丘に行く為に………。
色々とやるコトがあるなぁ~………。
なんて思いながら、冒険者ギルドの扉を開けると………。
そこには、存在するはずの無い見目麗しく煌びやかな集団が居ました。
えっとぉ~………どうして居るんですか?
お父様? それに、アルディーンお兄様も?
突然現われたら、びっくりするでしょぉ~………。
私の細い瞳が、あまりの驚きに思わず全開になってしまいますわ。
思いっきり動揺している私に構わずに、二十代前半の姿をしているお父様は、にっこり笑って両手を広げています。
「シルビアーナ無事で良かった。
父の元に来てはくれないのかな?」
零れんばかりの爽やかで甘い笑顔に、クラクラしてしまいまいすわ。
うっ…冗談抜きで、鼻血が出そうですわ。
間近で見る超絶美形のお父様………。
そのスチル眼福です…ご馳走様ですわ……。
でも、私みたいなデブスに、その微笑とその言葉は痛いですわ。
魔力無しの血統だけのデブスと呼ばれていた私に、その笑顔はキツイんです。
だって、親子に見えませんもの………。
お陰で私は、皇太子の婚約者、未来の皇太子妃として暮らしていた頃を思い出していた。
王宮に来るたびにお父様は、にこにこと優しく笑って私を抱き上げてくださいましたわ。
『元気にしていたかな?
私の可愛い姫君は?』
『…うっ…はい…お父様』
あの頃、お父様の笑顔がまぶしくて、私は何時も俯いていたわ。
満足に受け答えもできない………。
周りに言われいてる通りの、血統が良いだけのブサイクな姫。
魔力と血統と美しさと強さを持っているお父様の子供とは到底思えない姫。
そんな私がお父様に可愛がられるなんて………ありえないわ。
だから、私を放っておいて………いたたまれないから………。
私は、何時も、コンプレックスに苛まれてしまい、そっけない態度を取ってしまっていたわね。
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