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第10章 レギオン・カイドールの苦悩 レギオン視点

111★制約と不文律と本音と建前

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 「シルビアーナと婚姻し子が出来た時、乳母や守役の選定と決定は皇家に一任し、口を出さない」

 私の言葉に、イルバインが質問する。

 「私が、乳母や守役を推薦するコトは、可能ですか?」

 おや? 具体的な問いだなぁ~……本気で、シルビアーナと婚姻したいのだな。
 アルディーンと争う覚悟が出来たのか………まぁ~頑張れよ。
 その根性に免じて、許可してやろう。

 「それは構わない。選ぶのは、シルビアーナと私だからな」

 私の答えに、イルバイン以外の夫候補もこくこくしている。
 乳母なんて、自薦他薦で来るものだからなぁ~………。
 問題なのは守役だな。

 諜報専門の影達を、もっと増やすしかないか?
 いや、皇室の影達と連絡を取れば良いだけだな。
 いずれ、影の長が、皇帝になった私に接触してくるだろうから、それまではカイドールの影達を使っていけば良いか………。

 ディアーナに付いてきた影達も、こき使ってやるか………。
 さてと、他の制限は………。
 他国の皇太子や王太子の手前、婚約について入れておくか。
 私は、ディアーナという他国の王女を妻とした。
 だから、シルビアーナの夫は国内の貴族が望ましい。

 他国の皇族や王族と婚姻すると、シルビアーナの子供に皇位継承権が無くなってしまうからな。
 ラインハルトやレオンハルトの子供との婚姻をしない限り、皇位継承権を得られない皇太子なんぞ、地盤が弱すぎて価値が無い。
 それと違いアルディーン達が夫ならば、シルビアーナの生んだ皇太子は、他国の皇女や王女を妻…いや、皇后や側室に出来る。
 これは、他国にとって婚姻という同盟を結ぶという目的を果たせる。

 我が国に対する影響力も手に出来るからな。
 皇位継承権を捨てたも同然のシルビアーナと婚姻するコトを、これで諦めてくれると嬉しいのだが……無理だろうなぁ~……。
 あの馬鹿ルドルフで、抜け道があるコトを知っているから………。
 とはいえ、制約をさせるか………。

 「シルビアーナとお前達の婚姻により、男子が生まれたなら、国内や国外を問わず、その子供の愛した者との婚姻を邪魔してはならない。ただし、身分は伯爵までだ。それ以下の場合は、側室または愛妾の立場に甘んじるならば許可する。が、あくまでも皇后を望む場合は、いかなる手段をとっても排除する」

 私の宣言に、アルディーン達は苦笑しただけだった。
 会場内に居た貴族達も少し不満気ではあったが、ルドルフの廃嫡とブランデルの廃位を見ていたので、あえて口を開く者はいなかった。

 まあそうだろうなぁ~……せっかく、コネを着けた皇太子や皇帝が、1人の身分をわきまえない女によって、全てを失うのを見てしまったのだから………。
 そうせっかくのコネが、見事にパーになってしまったのだからなぁ………。
 これからは、身分の低い女が皇太子や皇子の回りに侍る機会は減るだろう。

 いや、近寄ろうとするだけで排除されるだろうなぁ~………。
 くっくく…ラインハルトやレオンハルトは、あの馬鹿の廃嫡皇太子ルドルフに比べれば、はるかに静かな学園生活を送ることになる。
 私が用意する側近候補達が、コネを付けようと必死に近寄ってくる貴族達を排除するだろう。

 勿論、有益と認めるに、相応しい者が居たなら、それは別だ。
 この辺りの判断は、影達を使って確認すれば良い。
 ラインハルトやレオンハルトの気をそらす存在をそこそこ排除して、帝王教育を受けるに相応しい環境にしてやろう。
 適度な気苦労は、これからの生活に必要な経験だからな。

 それが有る程度終わったら、今度は徹底的に身体を鍛えて、冒険者としてクエストをこなせるようにしてやろう。
 冒険者として魔物を討っていて、死ぬようでは役に立たないからな。
 ふむ、他国者に対する脅しに、冒険者になるようにと入れるか………くすくす。

 「シルビアーナとの子供達は、男女問わず、必ず冒険者として生きる時間を作ってやること。どんなに可愛い娘でも、例外は無い」

 アルディーン達は、既に冒険者として一定期間働いていたので静かに頷く。
 が、貴族の一部と他国者達からは、かなりのざわめきがあった。
 その中の1人が顔をひきつらせて、私に問いかける。

 「レギオン殿、皇位継承者や、皇太子を冒険者にするのですか?」

 アルビナの皇太子は心配性なのかな? 気の弱いことだ。
 この国には、魔物のスタンピートを起こすダンジョンが2つもあるのだぞ。
 その程度の覚悟と気合と覇気が無い者は、皇帝や公爵、侯爵や辺境伯爵に相応しくない。
 あのブランデルでさえ、冒険者をしていのだからな。








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