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第9章 ソルス・ロス・エンダ村
098★ 樹の精霊ドリュアスさん達が出現しました
しおりを挟む『だから、ママ、たっくさんソルス・エル・ピーシェの熟れた果実を食べて、あの子達を起こしてあげてね』
コウちゃんの言葉に、私はにっこりと笑って頷く
「うん、そうするわ。食べることを許されている限り、ソルス・エル・ピーシェを食べられるだけ食べて、魔力や体力をマックスまであげるわ……」
消える実がもったいないと思っている私の気持ちを配慮して、ガッちゃんがにこにこしながら言う。
『主さま、あの子を起こした時に、実が残っていたら僕も食べますから、気にしないでください』
『そうだよ、ママ。今日食べ損ねたら、あっちのダンジョンに行って帰って来た時に、また食べれば良いんだから………』
本当は採取を許されるのは、冒険者それに類する者達だけだし………。
数だって、1人3個が限界なんだけどねえ………。
今はほとんど誰も食べれないし採取できないんだから、インベントリに保管できるならするべきよね。
そう思った私は、コクッと頷いて言う。
「そうね…だったら、熟したソレス・エル・ピーシェは、とにかく全部収穫しようね。かなりの量があるし、この村の周囲をぐるりと回るから、かなり大変そうだけど………採取してみて、消えないようなら、インベントリに保管するし、食べられるだけ食べるわ」
私の宣言に、コウちゃんがくすくすと笑いながら言う。
『だったらママ、樹木の精霊、ドリュアス達に収穫を依頼すれば良いんだよぉ~………』
「えっ? そんなコトを頼んでも良いの? って言うか、ココに居るの?」
『はい、主さまをジッと見ていますから………』
『うん、この村に近寄った時から、ジッと見ていたから大丈夫だよ。ママのお願いを聞きたくて、ジタバタしているから………』
『確かに、誰が主さまの前に出るかで、小さな喧嘩しているぐらいですから………』
「えっ? どうして?」
『ドリュアス達も、ママの歌を聞きたいし、ママの目にとまりたいからだよぉ~………』
「えっとぉ~…歌なら、さっき聞いていたでしょう? ってか、私の目にとまる?」
小首を傾げた私に、コウちゃんが諭すように言う。
『さっきは、シルフィード達の為に歌っていたでしょ。ドリュアスも、自分達の為に歌って欲しいって思っているんだよ』
『主さまの目にとまって、できれば名前をもらって、ついて歩きたいっていうのが本音でしょうね』
えっとぉ……名前をもらってついてあるく? って…そんなコトして良いの?
いや、確かに、精霊を使役している者がいるのは知っていますけどねぇ………。
というか、なんで私についてきたいの?
意味がいまいち理解できない私は、うにうにと首を傾げながら、たわわに果実を実らせているソレス・エル・ピーシェの大樹へと視線を向ける。
あっ…確かに、そこここのソレス・エル・ピーシェの大樹に居るわね。
アレが、樹の精霊ドリュアスなのね。
透き通る翠の髪に褐色の肌が多いわねぇ………。
いや、遠目だから、詳細にまでは見えないけど………瞳はどんな色なのかな?
じゃなくて、コウちゃんやガッちゃんの言動から考えて、樹の精霊ドリュアスは私に好意的みたいだから………。
このさい、ちょっとのズルは良いよね。
ソレス・エル・ピーシェの大樹の果実を採ることを、樹の精霊ドリュアスさん達にお願いしちゃいましょう。
「えぇ~とぉ~…そこここにいる、樹の精霊ドリュアスさん達、良かったら採って欲しいんだけど、お願いできるかしら?」
そう言った私の前に、一瞬でたくさんの 樹の精霊ドリュアスさん達が現われ、その手にたくさんの果実を持っていた。
えっとぉ~……もしかして、もう熟れたの採取していてくれたのかな?
嬉しいからお礼を言いましょう。
「ありがとう、樹の精霊ドリュアスさん達」
私の言葉に、 樹の精霊ドリュアスさん達はモジモジする。
その中の1人が代表して一歩前に出て言う。
『私達にも、歌を歌ってください。そして、誰でも良いです。1人だけでも、お供に連れて行って下さい』
えっとぉ~………コウちゃん、ガッちゃん、どうしたら良いの?
思わず、そんなことを考えて、私は2人へと視線を流した。
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