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第6章 シルビアーナの父親レギオン・カイドール視点
052★パーティー会場にて・そして茶番がはじまる1
しおりを挟む私がパーティー会場内を、シルビアーナを求めて見回していると………。
生来の色を失った灰色の髪のふくよかな少女が、パートナー役の従者と共に入ってきた。
その姿にとうとう婚約者であるシルビアーナを、あの馬鹿はエスコートすることすらしなくなったか。
私は、一瞬だが、間違いなく今日、あの馬鹿は、婚約破棄を宣言するだろうと思い暗く笑ってしまった。
が、すぐにそんな瑣末なことよりも、やっと見付けた娘の姿に、私は詰めていた息をそっと吐き出した。
忌々しい馬鹿の瞳の色(青)である、極上のサファイアを嵌めたサークレットとチョーカーとブレスレットを、合いも変わらず着けている可哀想な、私のシルビアーナ。
嗚呼、愛しき我が娘よ、その呪具を着けていなければ、月の光を集めたような銀髪と、けぶるような紫の瞳をしていたものを………。
今は、ふくよかな為に、目鼻立ちもはっきりとしていないが、本来なら月の女神の化身と謳われたディアーナと同じように、美しい容姿をしていたものを………。
愛らしい幼子の時代も花の蕾みが綻ぶような少女時代も、あの呪具のセイで、人に笑われるような容姿で過ごすしか無かった、お前が不憫でならない。
皇族や王族、上位貴族の血を引く者達は、その血ゆえに美しいものなのに………。
お前は、生来の姿と色を封じられ、偽りの姿になっている為に、お前の魂はその違和感で苦しんでいる。
その結果が、そのふくよか過ぎる姿なのだ。
私達の元に取り戻したなら、本来の色と姿と魔力を取り戻し、おしゃれを楽しむ普通の少女に………。
家族と一緒に過ごす、心穏やかな生活をお前に与えよう。
お前に求婚者が群がるのは業腹だが、その群れを視線ひとつで操る姿を見てみたいとも思う。
親の愛情と庇護を受けることが出来ずに、お前が心の中に育ててしまった寂しい思い、切ない思い、悲しい思い、悔しい思いを晴らしてやりたい。
呪具の為に、感情の大半を封じられ、色々な感情を口にすることも出来なくなっているお前に、笑って泣くを自由を取り戻してやりたい。
何よりも、シルビアーナ、我が愛しき娘よ、お前をこの腕に抱きしめたい。
お前の母であるディアーナと、弟であるラインハルトと一緒に………。
今は、亡き母(エカテリーナ)と父(アントニオ)も、お前を抱きしめたかったと言って、逝ってしまったことを伝えたい。
お前は、愛されていたんだと………。
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どこまで、シルビアーナを蔑ろにすれば気が済むのだ。
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私達が付けていた乳母は、戻されてしまったが………。
その手に、こっそりと貴女(皇太后セレナーデ)の手紙を持って戻ってきたから………。
私は、その手紙の内容を思い出す。
悔しい時、哀しい時、心折れそうな時、何度も読み返しただけに、暗記してしまった手紙の内容を………。
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