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第4章 シルビアーナはもふもふと出会う
015★可愛いコウちゃんは猫型だけに……げふんげふん……万能なようです
しおりを挟むフッと前回同様、寝落ちから目覚めて私が見たものは………。
お腹をぷんぷくりんにして、私の胸元に縋るようにして寝ているコウちゃんの可愛い眠姿でした。
本当に、コウちゃんてば可愛いわぁ~………。
じゃなくて、本気でここから脱出する方法を考えなきゃ………。
今の武器も防具も、一緒に戦う仲間も居ない私に《狂いし神子の討伐》なんてイベント無理だもの。
ここは逃げの一手(いって)しかないわ。
そう、三十六計よね……無理や無茶なんてしないわ。
せっかく、コウちゃんと仲良くなれたんだから………。
とは言え、こんな風に幸せそうに寝ているコウちゃんを起こすのは可哀想よねぇ………。
こう、安心しきった姿をみると、もう少しぐらいこのままでも良いかしら………。
一応、あの扉の前にある左右の部屋は、ゲーム上では安全地帯っていう設定だった筈だし………。
安心して眠っているコウちゃんをソッと撫でながら、私は何気なくテーブルを見た。
そこには、ひとかけらも保存食が残っていなかったりする。
あらあら、あの量を全部食べちゃったのねぇ………。
じゃなくて、水分が足らなくてつらくないのかしら?
こんなに、お腹のぽんぽんにするほど食べたなら、キツイわよねぇ………。
脂肪や水分という蓄えがたぁ~っぷりあるこの身体でも、喉の渇きを感じているのですもの………。
じゃなくて、コウちゃんが目覚めたら、本気で脱出路を探さないとね。
うふふふふ………コウちゃんと出会ったんだもの。
ここで、あっさりと死ぬんだなんて、もう考えられないわ。
せっかくの新しい人生を楽しまなくちゃ………。
私は、コウちゃんが自然と目覚めるのを待つ間、改めて室内を見回してみた。
もしかしたら、何か見落としているモノがあるかもしれない。
いくらバーチャルで、ゲーム内の様子がある程度はわかるとしても、実際にその場に立てば、違う何かが見えて来るかも知れないもの………。
ここに、コウちゃんが居るのだから………。
きっと、どこかに出入り口になるような場所があるはずよ。
前世の記憶を探っても、ネットで《狂いし神子の討伐》を攻略できたって報告はひとつも無かったけど………きっと、何かあるはずよ。
そんなことを考えて、ジィーと壁を端っこから見ていた私の胸元で、コウちゃんがむっくりと起き上がり、子猫さながらに起きぬけの伸びをする。
「ふなぁぁぁ~……」
そう、愛らしい欠伸つきで………。
そして、コウちゃんはクシクシと顔を洗い、私を見上げて言う。
『ますたぁー……』
へっ…マスターって………もしかして、私に魔物使いの才能あった?
えっえぇぇぇ…本当にぃぃ~………。
私ってば、もしかして、コウちゃんをテイムできたとか………。
いやぁ~…可愛いコウちゃんをゲットできて、すごく嬉しいんですけど………。
っていうか、そう言えば名付けしたんだっけ、そのお陰かな?
じゃなくて…不味い、嬉し過ぎてクラクラするわ。
「なぁーに、コウちゃん?」
内心の動揺を抑えて、私を見上げるコウちゃんをそのまま抱き上げ、ぽんぽこりんになっているお腹を見ながら聞いてみる。
「ねぇ~コウちゃん、食べすぎてお腹が苦しいとかは無い? 私が持っていた非常食って、干し物系の食べ物しかなかったから……喉が渇いたり、お腹が痛くなったりしてなぁーい?」
私の問いかけに、コウちゃんは、にこぉ~っと笑って言う。
『ぜんぜん平気だよぉ~………お水欲しいのぉ~? 出そうかぁ?』
その言葉と共に、何も無かった空間にキラキラと輝きを放つ水の塊がポンッとあらわれてふよふよと浮かんでいた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
章を作ったり順番を動かしたり、公開したパパさん視点を伏せたりと色々とやったので、ちょっと何時もよりは遅くなるとは思いますが、もう一回更新すると思います。
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