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第14章 冒険者の始まりの街フォレンへ

188★上空から、謎の神殿を確認してみました

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 フリード君と手を繋ぎ、先頭をずんずん歩くシアちゃんの後を、警戒しながら歩くジオンから3歩後ろから追い駆ける。
 シアちゃんとフリード君の歩幅は狭いので、長身でガタイが良いジオンは余裕でその後を付いて行く。

 私は天使シリーズを身に付けているし、色々と補正の魔法を自分に幾つもかけているので、やはり付いて行くのは余裕だったりする。
 コウちゃんとガッちゃんは、私の両方の肩にそれぞれ戻って来ているから、何かあったとしても、全然平気だ。

 それに、私には死薔薇の鞭という武器もあるしね‥‥‥って、そういえば、シアちゃんて武器を持っているの?
 フリード君も、ソレらしいの持っているようには見えないのよねぇ‥‥‥。
 ジオンは持っているけど‥‥‥もしもしぃ‥‥‥後でそれとなく確認した方がよさそうね。

 そんなコトを私が考えている間に、魔の森の裾野の中にぽっかりとした開けた空間が現れる。
 そこには、まるでつい最近に出来上がったばかりと言ったら、信じてしまいそうなほと綺麗な神殿が鎮座していた。
 シアちゃんは、私達を振り返って言う。

 「ここが、私が飛ばされた
  謎の神殿です」

 確かに、神殿ね‥‥‥魔の森の奥の山に行く時、この辺を通った筈なのに、見かけなかったってコトは、何らかの隠蔽の魔法が掛かっていたってコトよね。
 ここは、まず外観からも確認した方が良さそうね。
 それに、シアちゃんの息が上がっているしね‥‥‥休憩は必要よ。

 私がここに居たら、早速神殿の中に入って探索をしようって言うに決まっているわ。
 ここは、いったんシアちゃんから離れた方が良いわね。

 「シアは、とりあえずここで休憩ね

  息が上がっているわよ
  冒険の基本は、基礎体力よ

  私は、コウちゃんとガッちゃん連れて
  この目の前の謎の神殿の構造と外観を
  確認してくるわ」

 さて、シアちゃんは、私の言った意味、理解してくれるかな?
 ああ、その表情‥‥‥きちんと、わかってくれたようね。

 「はぁ~い」

 大丈夫みたいだから、私はちょっと周辺探索しながら、コウちゃん、ガッちゃんと、色々と相談しないとね。
 私は、天使シリーズの力を借りて、フワリッと上空へと向かう。
 まずは、この謎の神殿を上空から確認しましょう。

 うん、フリード君がシアちゃんの手を引いて、落ち着いて休憩できる場所へと引っ張って行ったわね。
 さてさて、謎の神殿は‥‥‥東西南北に大きな部屋で、左右に一回り小さな部屋っていう形態なのね‥‥‥。

 「さてと、コウちゃん、ガッちゃん
  アレから何かを感じる?

  例えば、嫌な気配とか‥‥‥
  瘴気を感じるとか‥‥‥
  魔素が溜まっているとか‥‥‥」

 私の問い掛けに、コウちゃんとガッちゃんは、肩から身を乗り出すようにして周囲と建物を確認する。

 「ママ、そういうモノは感じないよ」

 「ボクも、そういったモノは感じません」

 コウちゃんとガッちゃんの答えに、私もそういう類を感知できなかったコトで頷く。

 「うん、私も感知なしよ
  ‥‥‥となると、あの神殿の中に
  入らないと話しにならないわね

  まぁそれは直ぐに出来るから良いか
  ときに、コウちゃんガッちゃん
  フリード君をどう思う?

  あと、シアちゃんやジオンは?
  どう思っているか教えてくれる?」

 私の問い掛けに、コウちゃんが小首を傾げながら言う。

 「俺は、別になんとも思ってないよ

  フリードが俺から零れ落ちたカケラから
  誕生したモノだとしても‥‥‥
  あいつは、既に個を持っているし‥‥‥

  ジオンは、確かに俺達が誕生する
  切っ掛けを作った7人のひとりだけど
  力があるのに、意外と間抜けだし

  シアって呼ばれる少女は‥‥‥
  なんだろう、こう‥危なっかしい?

  ママとは比較にならないぐらい
  世間知らずな感じかな?
  同じレイパレの悪役令嬢なのにさ

  本編と、外伝の差って言っても
  あの自覚の無い天然ぶりは‥ちょっと‥‥‥

  仮死状態のみんなを、蘇生させる
  っていう最優先事項が無かったら

  きちんと、独り立ちできるまで
  側で見守ってやりたいような存在かな?

  なんか、すっごく危なっかしいし‥‥‥
  ジオンとフリードが側にいても‥‥‥
  言っちゃなんだけど、足りないよね」

 あはは‥‥‥流石、コウちゃん、魂に同化していた期間があるだけに、私と同じ感覚だね。
 シアちゃんってなんか危なっかしいんだよねぇ‥‥‥ジオンとフリード君だけじゃ足りないって感じるのは、同じか‥‥‥。

 「そう、コウちゃんもそう思うのね
  それじゃ、ガッちゃんは?」

 私の問い掛けに、ガッちゃんはロップイヤーのような長く艶やかな耳を丁寧にグルーミングしながら、ウニウニと頭と手を動かした後に言う。

 「ボクは‥‥‥あまり関心ありません

  ただ、ジオンを縛る、あの呪縛の鎖を
  何らかの方法で食べられないかなぁ?
  って思いました

  もし、あの呪縛の鎖を食べられたら
  かなりの大きさの、魔晶石が
  出来るんじゃないかなぁ?って‥‥‥

  なんとか食べる方法は無いでしょうか?
  さりげなく、ジオンの全身を覆う
  呪縛の鎖に触ってみようと‥‥‥

  手を伸ばしたら‥‥‥
  ジオンに、拒否られましたから‥‥‥

  呪縛の鎖が、この手に触れるか
  どうかすら、確認できなかった‥‥‥」

 視点の違うガッちゃんに、私もなるほどと思う。
 確かに、ジオンの声と行動を拘束している、あの限りなく不可視の呪文のような鎖を、ガッちゃんが食べられたら‥‥‥と、思ってしまう。

 (そしたら、完全にひとりぐらい
  完璧に、蘇生できるかな?

  コウちゃんやガッちゃんみたいに
  右の腕輪の外に出て、生き生きと
  活動できるようになるのかな?)

 「確かに、そうね‥‥‥と、見た感じ
  何の収穫も無いから戻りましょうか?

  ジオンの声と行動を拘束する
  呪文による呪縛の縛鎖(ばくさ)を
  なんらかの方法で顕現化できればなぁ‥‥‥」

 そんなコトを呟きながら、私はシアが休憩している場所へと戻って行く。
 軽く意識するだけで、天使シリーズはその能力を発揮してくれるので、コレをシアちゃんに着せた方が良いわよねぇ‥‥‥などと思いながら、謎の神殿の前にフワリッと降り立てば‥‥‥。
 私達の姿を見付けて、シアちゃんは嬉しそうな声を零れ落とす。

 「‥‥あっ‥‥ライム達が帰って来た」

 私の姿を見付けて、嬉々としている天然で残念系のシアちゃんの姿に和みながら、ちょっと苦笑いしながら降り立つ。
 その左右には、、フリード君とジオンがさりげなく立っていた。









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