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第14章 冒険者の始まりの街フォレンへ

166★なんとかごまかせました

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 そう言ってしまってから、内心慌てて、私は不自然にならないように、もっともらしい言葉を続ける。

 「私は、母の友人に色々と
  連れ歩かれていましたので‥‥‥

  少し前に、やぁ~っと
  ひとりで冒険者になっても
  良いよ、と許可されたので

  ここに来たんです」

 もう1度、冒険者登録しないといけないなぁ‥と思いながら‥‥‥。
 私の言葉に【ホワイトファング】のみなさんと、なぁ~るほどという表情をする。
 そして、ファーズさんがうんうん頷きながら言う。

 「そっかぁ~‥‥‥それまでは
  その人と一緒にいた
  って、コトだな

  まぁなぁ~‥‥‥じゃなきゃ
  あのソルス・ロス・エンダ村に
  なんて行けないよなぁ~‥‥‥」

 その言い方にちょっと疑問はあったものの、私はとりあえず頷く。

 「えっええ」

 和やか?に話している私達に、さて、どう言ったら良いでしょうと思案していた侍従のハインツさんが声を掛けて来た。

 「お話中、まことにすみませんが
  やはり、お嬢様を助ける為に

  ソルス・エル・ピーシェ
  譲っていただけませんか?」

 その言葉に、私はこの先(お父様の苦労が増える)のことを考えて、あっさりと快諾の言葉を口にする。

 「うん、良いよ
  困った時はお互い様だしね

  『情けは人の為ならず
   己の為にするものぞ』

  って言いますから‥‥‥」

 私の言葉を聞いて【ホワイトファング】の皆さんは不思議そうな表情で首を傾げる。
 今度は、マイケルさんが私に聞く。

 「今のそれって
  聞いたコトがねぇ~けど
  ライムちゃん達の言葉か?」

 「ええそうですけど」

 と、再び【ホワイトファング】の方を向く私に、言質は取ったとばかりに、畳み掛けるようにハインツが言う。

 「お譲り頂けるんですね
  ありがとうございます
  これでお嬢様も助かります」

 その言葉に【ホワイトファング】の面々は、ちょっと苦虫を噛み潰したような渋い顔をした。
 が、言ってしまったものはしょうがないと、ネクトはファラを抱き込んだまま、ハインツに言う。

 「ハインツさんって言ったけ

  ライムちゃんが冒険者ギルドで
  冒険者登録したらさ

  依頼達成の報告してやってよ
  そうすれば、ライムちゃんの
  実績になるからさ」

 「ええ、もちろんですよ
  【ホワイトファング】の皆さんが
  居てくれたお蔭で、無用な
  トラブルも避けられますから‥‥‥」

 それは言外に、私がソルス・エル・ピーシェを持っているってコトで、強奪しようとか思う人達に教われなくてすむって言う意味かな?
 まぁ‥‥‥この外見だからねぇ‥‥‥。
 まして、初心者だしねぇ‥‥‥。

 そして、私もハッと気付く、自分達に向けられる視線の中に、確かに邪まな意味の意思を含む視線があるというコトを‥‥‥。

 そんな中で、エランさんが問いかける。

 「どころでよぉ‥‥‥ハインツさん
  なんで、貴族付きのあんたが
  こっち側にいるんだ?」

 「あっ‥それは、私も思った」

 「実は、もうこうなったら
  ここ(入り口)で依頼を受けて
  くれそうな冒険者を探しに
  来たんですよ‥‥‥

  そしたら、喉から手が出るほど
  欲しいと望んでいた

  ソルス・エル・ピーシェを
  既に、お持ちだって話しが
  聞こえて来て‥‥‥」

 そう、ちょっと恥ずかしそうに、ハインツさんは言う。

 「あっ‥‥‥そうでした
  ここで、立ち話しもなんですから

  依頼と報酬などについて
  中に入って話し合いませんか?

  もちろん【ホワイトファング】の
  皆さんも一緒に‥‥‥

  あちらで入場手続きを
  さっさとしてしまいましょう」



 






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