冬の稲妻

ブラックベリィ

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012★閑話・幸太と福雄のカミナリの夜1

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 スマホの呼び出し音で秀人だとわかった福雄は、すかさずスマホをとった。
 すると、機嫌の良い秀人の声が聞こえる。

 『おう、俺だ

 雅美が、お前等の分も飯を作ったから
 さっさと来い

 冷める前に喰いたいからな』

 秀人のお誘い?に、福雄は弾んだ声で答える。

 「はい。ありがとうございます
 幸太とすぐに行きます」

 『ん…じゃな』

 雅美以外には言葉を惜しむ秀人は、福雄の返事を待たずにさっさとスマホを切った。
 それを何時ものコトと気にも留めない福雄だった。

 福雄は、昨日の銭湯での出来事のおかげで、幸太と一緒に、秀人から美味しいご飯に招待された。
 嬉々として、スマホを切った福雄は、幸太を振り返って嬉しそうに言う。

 「幸太、おいっ…メシ出来たってよ」

 幸太は、昨夜のコトで疲れ、ぼーっとしていた為に元気が無かった。

 「あぁー…………」

 反対に福雄は、幸太のトラウマを見れたので、ご機嫌で元気いっぱいである。
 そして、昨夜のコトを思い出し、独り言を言い出す。

 「やぁー…昨日のカミナリ凄かったなぁー……」

 そのおかげで幸太は、昨夜の醜態を思い出し、独り頬を染めていた。
 2人は銭湯での事を忘れる為に、ベットの中で酒盛りをしていた。

 (※良い子の皆さんは、二十歳になってから、お酒を飲みましょう…暴走族の設定なので…幸太と福雄は、お酒を飲んでいますけど……閑話休題)
 
 が、所詮は酔っ払い、2人は何時の間にか脈絡の無い会話に突入していた。

 「…う…ん……福雄ぉー……
 俺さぁー……カミナリがダメなんだぁー……」

 幸太は、ボソボソと小さな声で告白する。

 「何かあったのか?」

 福雄は、単なる酒の肴と思い、あっさりと合いの手を入れる。

 「うん、よく晴天の霹靂って言うだろ?」

 福雄が、まともに聞いていないので、幸太は安心して話し出す。

 「ああ、あのありえそうにもないって
 ことわざの事だろう

 カミナリが鳴るわけねぇーじゃん
 そんなピーカンの日によぉ」

 片方の眉を上げて、言った瞬間、福雄は幸太に殴られていた。
 福雄は、幸太の豹変に、首を傾げ殴られた頬を撫でながら、驚いた表情で質問する。

 「幸太…お前…マジでそんなメにあったのか?」

 幸太が、穏やかに問う福雄に謝罪しようと口を開きかけた時、
突然ゴロゴロゴロと地鳴りが響き渡り、空に稲妻が走った。

 「福雄…ごめ……こっ……怖いよぉ……」

 2人とも酔っていたので、今までカミナリに気が付かなかったのだ。
 あのまま、ケロケロとよもやま話しを、楽しんでいたなら…たぶん……気が付かないで終わっていたのだが…時は戻らない。
 幸太は福雄にしがみつき叫んでいた。

 「きっ嫌いだぁ…怖いよぉ~…雅美ちゃん…
 博史ちゃん…怖いよぉ~……ひっく……
 雅美ちゃん…博史ちゃん…助けて…」

 幸太が何度も、同じ名前それも男の名前を呼ぶので、福雄は不安になった。

 「幸太…お前……まさか………
 まさかと思うが……あのご一行様なのか?」

 恐る恐る福雄が尋ねると、幸太は顔を上げて涙をポロポロと零しながら反論する。

 「おっ…俺は……ひっま……んたい…
 …じゃ……ない…よ…信じてよぉ~…
 福雄ぉぉぉぉ」

 〔後で、カミナリが止んだら、仕返ししてやる
 福雄のばか、俺を何だと思っているんだ〕

 言ってる事と思っている事に、しっかりくっきりとギャップのある幸太だった。
 が、福雄はそんな事しっかりお見通しという、どこぞの時代劇のヒーローのような男である。
 優しい顔と声で、静かに脅す。

 「幸太。カミナリは何時
 どこで鳴るかわからないよなぁ~…
 お前…どうするんだ?」

 ぴくっと躯を震わせてから、幸太はおとなしくなり福雄の腕の中に丸まっった。
 すると福雄は優しく笑って背中をポンポンと叩き、カミナリで、強ばった幸太を宥める。

 「頼りになるかどうかは、お前しだいだ……
 でも…カミナリって綺麗なのに……

 自然の……脅威そのもので……
 おもしろいんだけどなぁ~」

 〔さぁてとこれで、幸太は怒るはずだ
 少しは、カミナリを忘れることが出来るな〕

 福雄ののん気な発言で、怒りだして文句をむ言い始める。

 「そんなの、カミナリのおかげで出来た
 バーベキュー人間を見た時無いからだよ
 福ちゃん」

 幸太の怒りに、福雄はしてやったりと思いながらグラスをあおる。
 興奮して喉の渇いた幸太も、グラスをあおった。

 〔あっ、ふくったら狡い、俺も飲もぉっと〕

 なぜか2人は勢いがついてしまい、何度も無言でグラスをあおっていた。
 結果、カミナリをすっかり忘れ去ってしまった。
 が、酔ってしまい銭湯事件の後遺症が出て来た。

 ようするに2人とも、あのご一行様に拘わってから『女』を抱いて無かったので、モッコリさんになってしまったのだ。
 そして、幸太のいけない嫌がらせが始まる。

 〔あん時、ご一行様の一人に言われて
 嫌だったから………言っちゃお…〕

 「ふくちゃぁ~ん……ここ、元気だねぇ~……
 けっけけけ……可愛い坊やちゃぁ~ん
 お兄さんが可愛がってあげようか?」






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