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第9章 魔法騎士団本部にて
112★言いたいけど、言って良いか判らない
しおりを挟むそう、聖女候補達見解はおおむねは間違ってはいないのだ、が…………。
「(ねーギデオン、聖女候補達の見解
訂正してあげたほうが良いかな?)」
「(う~ん…下手に俺達がソレを言うのは
ちょっと不味い気もしないでもないが……」
「(でも、聖女と認定されたら…っていうか
まず間違いなく、全員認定されると思う)」
「(うん、性質的に性女はいなさそうだし
魔女もいなそうだから…………)」
「(聖女には、側室や愛妾って立場は無い
このドラゴニア帝国だけじゃなく
周辺諸国でも、決まりごととして……)」
「(聖女には、正妃や正室、正妻と呼ばれる
地位しか無いって…………)」
「(きっと、兄上かオスカー副団長が言って
くれるとよ……ってことで、俺達は黙って
聖女候補達の会話に耳を傾けていれば良いさ)」
「(そうだね、きっと訂正してくれるよね)」
などと言う、視線での会話をしている間も、聖女候補の6人は楽しそうにお喋りしていた。
「…………そういうことよ……
それに、この国の貴族ってば…
基本が、ドラゴニアンの系譜を引く者達に
大半が獣人じゃない……」
牡丹の言いたいことをさとった撫子が、あぁ~という表情になってから言う。
「うわぁ~……マジですか?
それって、絶倫の代名詞でしょう?
ドラコニアンも獣人も…………」
撫子の言葉に、ようやく唯1人の妻という地位がどう言うモノかという、内容を理解した蘭が、盛大な溜め息混じりに言う。
「うえぇぇ~…そんな絶倫の旦那様を
1人で面倒みるのは、ちょっと…いや…
かなり勘弁して欲しいわ
確かに、側室や愛妾のが良いね」
納得した蘭に、桔梗が肩を竦めながら言う。
「でしょぉ~…………
それを考えると、エリカちゃんってば
凄いよね」
百合もその意味に気付いて、うんうんと頷く。
「うん、皇太子と結婚するんでしょ……
義務と責任が半端ないよね」
その地位が意味するモノをおぼろげながら、完全に理解した鈴蘭が溜め息を吐いて言う。
「だよねぇ~……子供も、男の子を
絶対に生まなきゃいけないんでしょう」
そこを、撫子がまとめ的な結論をひと言で言う。
「これはもう、愛だね」
撫子の言葉に、牡丹もうふふふと言う表情で言う。
「エリカちゃんってば
皇子様を愛しているんだよ
義務も責任も一緒に引き受けたいと思う程」
その言葉に、百合が身をくねらせるようにして言う。
「いや~ん乙ゲーみたい」
まさしく、今の状況を表現するに相応しい言葉に、鈴蘭が小首を傾げてから言う。
「うん、乙ゲーだよねぇ~……
それも、完全なる正統派というか
王道の皇太子様の攻略だよね
それじゃ、私達はモブキャラかな?」
メインのヒロインに華を添える、モブキャラは必然でしょう的な言葉に、桔梗も頷きながら言う。
「サポートキャラかも?」
桔梗の言葉を聞いて、鈴蘭が聞く。
「私達が、エリカちゃんの敵になることは
絶対に無いから、サポートキャラよね
じゃあ、悪役令嬢は?」
その疑問に、クスクスと笑って牡丹が当然のように言う。
「そんなの決まってるでしょう」
牡丹のセリフの後を、撫子が当然ように続けて言う。
「皇族のお姫様に、大公令嬢、公爵令嬢
侯爵令嬢、辺境伯爵令嬢、伯爵令嬢って
辺りが出て来るんじゃないのかなぁ」
撫子の後を、桔梗が続ける。
「そうすると、私達聖女候補が、皇子様とか
公爵の後継、侯爵の後継、辺境伯爵の後継
伯爵の後継とか?」
蘭ものれる話題なので、思い付くモノを上げる。
「騎士団の団長、副団長、将軍とか
その息子達?」
鈴蘭も、小首を傾げて上げてみる。
「宰相の息子とか大臣の息子とか
神官の息子とか?」
そこへ至ったところで、百合が突っ込む。
「あれ? それって、まんま私達も
そうなるんじゃないの?」
途端に、牡丹が嫌そうな表情で言う。
「うぇー面倒くさいわね」
その気持ちに同感と思いつつ、撫子は現実を直視し、自分にとって最良の状態を獲得する為に、口に出してみる。
「でも、聖女候補で《召還》されたから
独身でいれるとは思わないしね」
現実問題として、その事実があるので、本人達は真剣に会話していた。
その様子を、ギデオンとレギオンと騎士達が黙って生温い視線で見ていた。
勿論、書類を作成しているオスカーとマクルーファの副団長コンビと、作られた書類を確認する団長のアルファードは、エリカの様子を気にしていた。
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