110 / 450
第8章 エリカは聖女候補達と一緒に学校に通いたい
104★日本人は岩塩の認識が低いです
しおりを挟むちょっと考え込むエリカに、オスカーが更に補足する。
「まっ…現在の団長の立場は……
今だけでも自由に生きて良いっていう
陛下の親心で皇太子候補第3位って
ことになっているだけです」
判っているからこそ、言って欲しくないと思いながら、アルファードはさらりと言う。
「本来は、皇妃の子が継ぐのが普通だろう」
現皇帝の子の中で、皇家の色をまとって生まれたのが、唯一自分だけと判っていても……。
そのセリフが所詮は単なる悪足掻きだと思いつつも、アルファードはついつい言いたくなってしまうのだ。
そう、年長者のオスカーに、若造の自分が口で勝てるはずが無いというコトも判っているのだが…………。
案の定、オスカーは呆れ口調で言う。
そう、現皇太子のアンジェロなんて、皇妃リリアーナとその取り巻き以外は、誰も認めていないという口調で…………。
「今までに一度も、金茶の髪に茶色の瞳の
皇帝なんて存在したコト有りませんよ
人生、諦めが肝心ですよ…団長
その色を纏って生まれたんですから
素直に皇太子になって、帝位をきちんと
継いでくださいね」
最終的には、皇家の色をまとうアルファードが、皇帝になるのは決定しているかのように言うオスカーに、首を振る。
「むっ…俺は…エリカと…
魔法騎士団の団長で…伯爵で充分だ
皇帝なんて面倒だ…やりたくない
それに、どうせ…あの国が
いちゃもんつけるんだから……」
※アルファードは、魔物討伐で手にした《魔石》や肉、毛皮やアイテムを国に納めた結果、爵位を手にいれました。
そう、アルファードは自分の今後の理想(儚い希望とも言う)の将来を口にする。
そんなアルファードの諦めの滲んだ口調から、エリカはあることを連想する。
そう、元の世界で、さんざん日本が近隣の国からいらないちょっかいをかけられていたコトを…………。
〔パパが、艦から降りてグチる時、何時も
『毎回毎回、ふざけやがって……
あいつらの艦艇なんて中古なんだから
エンジントラブルってコトですませて
撃沈してやりたい』
って、言っていた
アノ国とかと一緒なのかな?
そんなにドラゴニア帝国って
何らかの理由で立場が弱いの?
なにか弱みでも握られてのかな?
もしかして、ハニートラップ?〕
それを思い出し、エリカはついぽつりと言う。
「ねぇ…それって、内政干渉?
って、ことよね、何かあるの?」
エリカが正確に、自分達から聞いた話しだけで現状を理解していることにびっくりしつつ、オスカーは深い溜め息混じりに言う。
「この国の岩塩が取れなくなり
輸入している先が、皇妃の故国なんです
ですから、シオババアって呼ばれるんです」
〔あっ…それで皇妃の座を取ったんだ
なるほど、祖国の後ろ盾が…岩塩か……
だからシオババアね〕
「「「「「「なぁーるほど
それで、シオババアかぁー」」」」」」
エリカが納得すると同時に、6人の聖女候補も、そのシオババアという呼称の意味になるほどと頷いた。
そして、牡丹が言う。
「塩、それも岩塩採掘って言ったら
最古の岩塩の採掘所がある
ザルツブルグよね」
そう言うと、共通の知識がある桔梗が頷く。
「確か、紀元前から掘っていたって話しよね」
その後を撫子が続ける。
「そう、確か7000年も掘っているのに
まだまだ岩塩は掘れるって聞いて
凄いて思ったのよねぇ……」
百合は、頬に指を添えて言う。
「私達には、岩塩って
今ひとつなんだよねぇ……
たまに、美容とかで話題になるぐらいで」
蘭も頷いて言う。
「そうよねぇ~……海に行って
海水を汲んでちょっと煮詰めると
直ぐに出来ちゃうものなんだもんね」
エリカもそれに頷いて言う。
「ザルツブルグって、列車の度番組か何かで
見たことある程度だけど、地震が無い地域に
あるんだろうなぁ~っては思った」
エリカの言葉に、鈴蘭が小首を傾げて聞く。
「どうして?」
その問い掛けに、エリカは記憶にある内容を引っ張り出して言う。
「確か、垂直で確か地下350mで
斜めだと700mで……
中は、7000年もの間掘削していたから
迷宮になっているって話しだったから…………」
エリカの答えに、百合がちょっと嫌そうに言う。
「確かに、地震があったら怖いわ」
うんうんと頷いて、鈴蘭がはっとしたように言う。
「それだと、周り全てが塩だから
鉄系の柱は使えないから
坑道を支える支柱は樹の柱じゃないの?」
撫子も、ちょっと考えるように頬に指を添えながら言う。
「う~ん、それって地震や水害の時に
どうなるの?って思うよねぇ」
桔梗も頷いて、もしもを口にする。
「岩塩を掘っている中に、大量の水が
坑道に入った時が怖いよねぇ…………」
つい最近のゲリラ豪雨を思い出して、牡丹が言う。
「そうね、岩塩だって一定の水の量があれば
溶解すると思うし…………」
エリカも、最近の天気を思い出してうんうんと頷く。
「日本みたいに、集中豪雨の酷いのに
当たったら………じゃなくて……」
そこで、エリカはやっと岩塩で話しがシオババアから反れたことに気付いた。
10
お気に入りに追加
2,241
あなたにおすすめの小説
その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~
ノ木瀬 優
恋愛
卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。
「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」
あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。
思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。
設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。
R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。
【完結】魅了が解けたあと。
乙
恋愛
国を魔物から救った英雄。
元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。
その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。
あれから何十年___。
仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、
とうとう聖女が病で倒れてしまう。
そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。
彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。
それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・
※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。
______________________
少し回りくどいかも。
でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
異世界召喚に巻き込まれました
ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。
でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。
なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる