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第7章 帝都にて、それぞれの時と思い

081★母(キャロライン)と子(アルファード)の攻防?

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 母キャロラインのセリフに、アルファードは素っ気無く言う。

 「だったら、座って下さい」

 「そおね」

 西の妃キャロラインが座ると、アルファードは連れてきていた守護騎士や侍女達をざっと見る。

 すると、アルファードの予想通りに、守護騎士として、オスカーの兄やクリストファーの従兄弟、ギデオンの従兄弟、レギオンの従兄弟がいた。

 侍女達は、ラデーア伯爵家の者…アルファードの従兄姉?とバルディア侯爵家から西の妃キャロラインに付けられた者達だった。

 どちらにしても、仕えている部下であっても身内感覚の者達だった。
 そこでアルファードは、彼等に声を掛ける。

 「お前達も座れ
 ここは、魔法騎士団の本部だ

 魔物も人間も、ここには入って来れない
 母上を守る必要は無い
 これは、命令だ」

 アルファードの命令に逆らうのは不敬なので、守護騎士と侍女を代表して、オスカーの兄オズワルドが答えた。

 「はい。では、席に着かせていただきます」

 全員が座ると、ジャスティーが茶器セットをワゴンで運んで来た。
 ソレを見たアルファードが命令する。

 「ああ、ちょうど良いところに
 ジャスティーお茶を」

 が、アルファードの言葉を途中でさえぎって、オスカーが声を掛ける。

 「私がいれます」

 オスカーがお茶をいれている間に、ジャスティーは、各自の前にクッキーが数枚のせてある皿を置いて行く。

 お茶とお菓子が配られると、アルファードがお茶に口をつける。
 それを合図に西の妃キャロラインがお茶を飲むと、守護騎士も侍女達もしばし休息する。

 お茶とお菓子を静かに楽しんだ後に、唐突にアルファードが話しだす。
 どうやら先ほどの西の妃キャロラインの質問に答えているらしい。

 「名前は、エリカ、年齢は15才
 歴代の《力》ある聖女と同じ日本出身
 趣味は、料理と読書他と言っていました」

 淡々と説明すれば、キャロラインがひとつ溜め息を吐く。
 普段、西の妃として張っている見栄をポイっして、アルファードに言う。

 「杓子定規で詰まらないわ
 もう少しきちんと説明して」

 言外にも、それだけぇ~…詰まらないんですけどぉ~という副音声を込めたセリフに、エリカは無意識に小首を傾げる。

 〔なんか…私のママと全然違う……
 想像していたよりも、かなり真っ当だわ
 普通に、ダンナ(皇帝)が好きな奥さん
 って、いう感じだわ〕

 アルファードは、腕の中のエリカがおとなしいのを良いことに、そのまま話し始める。

 「そうですねぇ……エリカには……
 昨日は夕食、今朝は朝食を作ってもらいました
 今日のお菓子も、エリカが作ったものです」

 と、嬉しそうにのろけるアルファードに、喉を湿らせた後に食べたお菓子の味を思い返して、花が綻ぶように微笑みながら言う。

 〔うふふふ…良いモノが見れたわぁ~…
 これは、あとで陛下にご報告しなきゃ……

 色々とあったセイで女嫌いになっちゃって
 どうしようと思ったけど……くすくす……

 どうやら、それは取り越し苦労だったようね
 聖女候補を放したくなくて膝に乗せたままで

 私と面談なんて……
 アルファードも可愛いところがあったのね
 でも、あのお茶菓子は、美味しかったわ〕

 愛しい陛下へ、アルファードの様子を語る時の楽しさを想像し、キャロラインは無意識に優しい微笑みを浮かべて言う。

 「そう、エリカ姫が作ったものだったの
 とても美味しいものね……これは……
 出来れば、陛下にも食べさせてあげたいわ」

 そのセリフに、言われるだろうと思っていたアルファードが、さらりと答える。

 「父上とお祖母様には
 到着と同時に届けてありますよ

 この他にも、美味しいチョコレートを……
 勿論、母上の離宮にも届けてありますよ

 どうやらすれ違いになったようですね」

 そのアルファードのセリフに、キャロラインは少し残念そうな表情になる。

 〔んもぉ~…アルファードは、意地悪ねぇ…
 少しは気を利かせて欲しいわ……
 って、無理ね、女嫌いの朴念仁だもの

 腕の中にいる聖女候補…エリカ姫に
 嫌われないように祈ってあげるわ

 そのエリカ姫が、守護獣さえ手に入れれば
 聖女として承認されて、私のアルファードが
 正式な皇太子になるんだもの………

 そうなれば、陛下は喜んでくださるわ
 皇帝の色を纏ったアルファードを
 正統なる皇太子として布告できるのだから
 
 陛下の喜びは、私の喜びなのよ

 これで、陛下の心労のひとつが確実に減るわ
 後は、あの皇妃リリアーナが問題よねぇ……
 何時も何時も、陛下を困らせるんだから……

 じゃなくて、ここはお礼を言いつつも
 陛下と会う機会を増やすことを
 さりげなく要求しておきましょう〕

 内心でそんなコトを考えたキャロラインは、しっかりと副音声付のお礼?を口にする。

 「あら嬉しいわ
 でも、出来れば陛下には
 私が届けたかったわね」

 【次は私を通してちょうだい
 陛下には私から渡したいわ】







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