上 下
52 / 450
第6章 野営地にて………

052★まずは、焼肉とお好み焼きを食べよう

しおりを挟む


 エリカのごはんを作るにあたっての人数確認に、オスカーは淡々と答える。

 「中央騎士団が、騎士250名
 それに下働き30名です

 魔法騎士団は私達を含めて
 騎士120名それに下働き20名です

 神官達は、アルベルト達を含めて54名
 魔法使い達は、オーギュストを含めて
 36名ですね」

 オスカーからの答えに、エリカは小首を傾げて聞く。

 〔ふわぁ~…結構、人数居そうだなぁ~とは
 思っていたけど…全部で510名かぁ~……

 規模を考えると、学校給食並みかな?
 残念、今回は、エリカの買った
 包丁さん達の出番はないですね

 ここは魔法を駆使して作った方が
 断然早いでしょう………

 じゃなくて、なんで神官と魔法使いには
 下働きが存在しないの?
 数え忘れ? とか………〕

 「神官様達と魔法使い様達に
 下働きはいないんですか?」

 不思議そうに言うエリカに、オスカーが少し苦笑いを浮かべながら言う。

 「神官達は、薬草などを使って
 薬を作るので、その一環として

 身体に良い料理(味は二の次)も
 作るから、あまり必要ないんです

 味はどうであれ、色々な食材を
 食べられるようにすることは出来ますから

 魔法使い達は、他者より《魔力》が多いから
 【魔倉庫】に色々な料理を入れています

 作れないなら、アイテムに色々と
 入れておけば良いという考え方ですね」

 そのオスカーの答えを聞いたエリカは微妙な表情にな。

 〔なんか…神官様達や魔法使いさん達って
 もしかして、凄く食生活が貧しいかも……

 討伐先まで、下働きを連れて来ていて
 自力救済もある程度は自分で出来る
 アル達よりも、かなり酷いかも………

 ここは、魔物討伐を頑張っているみんなに
 美味しい料理を食べさせてあげたい〕

 「そうですか…ガンバッて用意しますね
 食事は心身の基礎を守る
 大事な要素ですから

 …ということで…この鉄板の使用方法と
 それに付随する魔法についてなんですが……」

 エリカからの話しに耳を傾けたオスカーは、内容を聞き終えてから頷いて言う。

 「確かに、その魔法を使えば
 テーブルの上で調理が出来ますね」

 エリカは、アルファードが用意した薄く長い鉄板が、どのように使用されるかを説明されたオスカーが頷くのを確認してから言う。

 「設営よろしくお願いします」

 オスカーはエリカの言葉に、にっこりと笑って頷く。

 「任せて下さいね
 その代わり料理を期待しますね」

 エリカの作る料理に好奇心のあるオスカーは、にっこりと笑顔を見せてから、アルファードの様子をチラリと観察する。

 〔キメラやサラマンダーの討伐を
 1人でこなして来たわりに平気そうですね

 もしかして、姫君から何かもらったのかな?
 異世界から持ち込まれた食べ物は特殊です

 いったい、何を食べたんでしょうねぇ……
 もしかして、あのスライムもどきでしょうか
 怖いから聞きませんけどね〕

 「はい、楽しみにしていて下さいね」
 
 お互いにすることが決まったので、エリカとアルファード達は天幕に残り、オスカーは外に出て指示に向かう。

 なお、騎士達が貴族出身しかいないコトをオスカーに教えてもらったエリカは、アルファードに出してもらった材料を【風魔法=エアカッター】で切って用意することにした。

 そして、【水魔法=ウォーターボール】に小麦粉と膨らし粉と卵と山芋とを入れて、【水魔法=ウォーターシャフル】で混ぜる。
 そこへ、用意していた材料を入れて再度混ぜ合わせた。

 次に、魔肉を【風魔法=エアカッター】で薄く切っていく。
 これは、お好み焼きに入れる分と焼肉に使う分なので、かなり多めに作った。

 また、味替えを兼ねて、タレを甘辛醤油味、塩コショウ味、甘辛ショウガ味、味噌味、ソースベース、マヨネーズベース、トマトケチャップベース等、色々と用意した。

 勿論、それは、エリカの荷物から出した砂糖や蜂蜜、醤油、味噌など色々な調味料を使っ作ったモノだった。

 その他に、ホットケーキ用のネタもしっかりと作っていたエリカだった。
 魔果を入れたモノ、チョコレートを入れたモノ、プレーンなモノなどと色々とネタを作ったエリカだった。

 どのネタにもしっかりとバニラシードが使われていたので、辺り一面に甘い匂いが漂っていました。

 なお、砂糖や醤油などは、試しにと【無属性魔法=複写】を使って、大量に用意して使ったのでした。
 ちょっと頑張り過ぎて、少しクラッとしたことは、黙っていたエリカだった。

 こうして、エリカが材料を用意している間に、アルファードはせっせと【魔倉庫】から鉄板を出して、薄く延ばす作業をしていた。

 その頃、オスカーは討伐に来ていた者達へと次々と指示を出していた。

 そう、魔法騎士団と中央騎士団の騎士達と神官と魔法使い達が、いっせいに座れるように場所を作り、ベンチとテーブルのセットをしたのは、オスカー達だった。

 なお、鉄板をテーブルにセットする為に、ベンチを置く部分を【土魔法=クレイアップ】を使い、高さを調節していた。

 テーブルの上に鉄板をセット調理出来るように【火魔法=ヒートアップ】をかけ【無属性=発動停止】を更に掛けて用意した。

 次に鉄板の熱がテーブルに移らないように【水魔法=クール】を掛け、更に【無属性=発動停止】を掛けて用意した。

 野営地にいた者達で、見張りについている者達以外は、全員がテーブルについた。
 そこへ、アルファードが【魔倉庫】から出したワインを全員に渡した。

 魔物討伐の任務が終わると、アルファードは何時もワインを振舞っていたので、騎士達はすかさず飲み始める。
 ざわざわした雰囲気の中に、エリカとオスカー達が、お好み焼きと焼肉とホットケーキの材料を持って現われた。

 各テーブルに、材料を置いて行くと、ドロッとしたお好み焼きのネタとホットケーキのネタに首を傾げて見てしまう。
 その姿を笑って見ていたエリカは、どこぞの料理番組のような手順で調理を始めて見せた。

 エリカは、鉄板にかけられていた魔法を発動させ、テーブルにかけられていた魔法も発動させた。
 その結果、鉄板は熱くなり、油の匂いが漂い始める。

 そこへ、お好み焼きの材料をお玉ですくって、鉄板に拡げるようにして、焼き始める。
 さほど経たずに、油と焼け始めた山芋入りの小麦粉の匂いがふんわりと漂い始める。

 その美味しそうな匂いに、それを見ていた者達は、さっそくエリカをマネるのだった。
 その際に、お玉の底でクルクルと撫でるようにして、必ず生地を薄くするように説明したのは確かな事実だった。

 お好み焼きを焼き始めると次に、エリカは、薄く切った肉をハシでヒョイヒョイと鉄板の上に並べる。
 すると直ぐにお肉の焼けるイイ匂いがする。

 表裏を軽く焼くとエリカは用意したタレに、その肉を潜らせて、アルファードの口元に指し出す。
 お腹が空いていたアルファードは、その香ばしい匂いとエリカの手料理に誘われ、カパッと口を素直に開け、パクッと食べる。

 そう、バカップルのような、お口にアーンというアレをしたのだ。

 口に入った肉の味に、アルファードは満面の笑みを浮かべる。
 それはもう、蕩けるような表情で………。

 モグモグと肉を咀嚼するとアルファードは、にこにこ笑ったままで飲み込んだ。
 その間に、用意しておいたヘラもどきでお好み焼きをひっくり返しておいたエリカは、サクサクっと食べ易い大きさに切って、定番のソースとマヨネーズを塗る。

 瞳をキラキラさせているアルファードに、エリカは熱くないようにふーふーしてあげてから、その開かれた口へと運ぶ。

 言ってはなんだが、バガップルを通り越し、ツバクロ(ツバメの子)のような姿に、ちょっと頭痛を覚えたオスカーがいたのは内緒である。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
やっと、ごはんが食べれました。
あとは、デザートのホットケーキだ。
なんか、食べたくなってきた。
今日の夜食は、お好み焼きかホットケーキにしようかな?



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、 婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、 話の流れから婚約を解消という話にまでなった。 ヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、 絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。

都合のいい女は卒業です。

火野村志紀
恋愛
伯爵令嬢サラサは、王太子ライオットと婚約していた。 しかしライオットが神官の娘であるオフィーリアと恋に落ちたことで、事態は急転する。 治癒魔法の使い手で聖女と呼ばれるオフィーリアと、魔力を一切持たない『非保持者』のサラサ。 どちらが王家に必要とされているかは明白だった。 「すまない。オフィーリアに正妃の座を譲ってくれないだろうか」 だから、そう言われてもサラサは大人しく引き下がることにした。 しかし「君は側妃にでもなればいい」と言われた瞬間、何かがプツンと切れる音がした。 この男には今まで散々苦労をかけられてきたし、屈辱も味わってきた。 それでも必死に尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。 だからサラサは満面の笑みを浮かべながら、はっきりと告げた。 「ご遠慮しますわ、ライオット殿下」

2025年何かが起こる!?~予言/伝承/自動書記/社会問題等を取り上げ紹介~

ゆっち
エッセイ・ノンフィクション
2025年に纏わるさまざまな都市伝説、予言、社会問題などを考察を加えて紹介します。 【予言系】 ・私が見た未来 ・ホピ族の予言 ・日月神示の預言 ・インド占星術の予言 など 【経済・社会的課題】 ・2025年問題 ・2025年の崖 ・海外展開行動計画2025 など 【災害予測】 ・大規模太陽フレア ・南海トラフ巨大地震 など ※運営様にカテゴリーや内容について確認して頂きました所、内容に関して特に問題はないが、カテゴリーが違うとの事のでホラー・ミステリーから「エッセイ・ノンフィクション」へカテゴリー変更しました。

君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか

砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。 そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。 しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。 ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。 そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。 「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」 別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。しかしこれは反撃の始まりに過ぎなかった。 

【完結】私、妖精王の娘ですけど、捨てちゃって大丈夫ですか?

るあか
ファンタジー
「わたくし、王族になりますの。邪魔なあなたはここへ捨てていきます」  7つになったばかりの私へ告げられたのは、叔母エメリーヌのそんな言葉だった。  私は丁寧に叔母に別れを告げると、森の奥へと進んでいく。そして叔母の乗ってきた馬の蹄の音が聞こえなくなった瞬間、万歳をして喜んだ。 「やったー、やったー! ようやくあのヤバいクソババアからも退屈な毎日からも解放されたー!」  私が捨てられた森は偶然私のお父様が住んでいる森。  道中で気の良い魔物のピクシーを仲間に加え、私の本当のお家へと帰ることにした。 ※全19話の予定。毎日更新。 ※いいね、エール、ありがとうございます!

婚約者を交換ですか?いいですよ。ただし返品はできませんので悪しからず…

ゆずこしょう
恋愛
「メーティア!私にあなたの婚約者を譲ってちょうだい!!」 国王主催のパーティーの最中、すごい足音で近寄ってきたのはアーテリア・ジュアン侯爵令嬢(20)だ。 皆突然の声に唖然としている。勿論、私もだ。 「アーテリア様には婚約者いらっしゃるじゃないですか…」 20歳を超えて婚約者が居ない方がおかしいものだ… 「ではこうしましょう?私と婚約者を交換してちょうだい!」 「交換ですか…?」 果たしてメーティアはどうするのか…。

妹とともに婚約者に出て行けと言ったものの、本当に出て行かれるとは思っていなかった旦那様

新野乃花(大舟)
恋愛
フリード伯爵は溺愛する自身の妹スフィアと共謀する形で、婚約者であるセレスの事を追放することを決めた。ただその理由は、セレスが婚約破棄を素直に受け入れることはないであろうと油断していたためだった。しかしセレスは二人の予想を裏切り、婚約破棄を受け入れるそぶりを見せる。予想外の行動をとられたことで焦りの色を隠せない二人は、セレスを呼び戻すべく様々な手段を講じるのであったが…。

夫の子ではないけれど、夫の子として育てます。

しゃーりん
恋愛
伯爵家から侯爵家に嫁いだ日、夫ディカルドから初夜を拒否されたフォルティア。 白い結婚のまま2年後に離婚されれば伯爵家からの援助も返さなければならないことを恐れた侯爵夫妻の企みによってフォルティアは襲われて純潔を失ってしまい、しかも、妊娠してしまう。 妊娠までは想定外だった侯爵夫妻は、不貞による妊娠を理由に慰謝料を貰って離婚させるつもりが、ディカルドが何故か自分が子供の父親だと思い込んでいるため、フォルティアのお腹の子供が誰の子供かわからなくなってしまった。 そんな中、ディカルドが事故で亡くなる。 フォルティアはお腹の子供が跡継ぎだからと侯爵家に居座り、自分の思うようにするというお話です。

処理中です...