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第19章 パーティーは、まだ終わらない
403★えぇーと、聞いてないんですけど………
しおりを挟むパーティー会場に戻ったアルファード達は、アンジェロ皇子やアルスレイド皇子やアルスフィア皇子達一行を、その場に降ろすと、すかさずロマーナ王国に、ジュリアスの魔法で転移して行った。
ロマーナ王国では、何事も無くちょっと慌しい別れの挨拶をして、アーカンディル皇子に アーダベルト皇子とアルフォンス皇子達一行を連れて、あっさりとジュリアスの魔法で転移して戻ったのだった。
そして、パーティーの続きは、華やかに始まる。
今日は、西の妃であるキャロラインが、皇帝アルフレッドの皇妃として正式に発表される日。
そして、エリカが守護獣を手に入れたので、正式に聖女だと発表する日でもあった。
2つの慶事の前には、皇妃リリアーナとの離婚や側妃達や妾妃達を下賜するコトなぞ、瑣末なコトとして扱われる。
ついでに、廃皇妃リリアーナが自分の産んだ皇子アンジェロを、皇太子と詐称していたが、それは廃嫡なると発表されていた。
誰もが皇帝の色彩と知っていた銀髪紫紺瞳のアルファードが、次期皇太子であると発表される日でもあった。
これらの重大発表を、直接聞ける立場にあるという自尊心を擽るパーティーだったりする。
その為に、聖女候補の美少女達と離れて、アルファードと一緒に皇帝アルフレッドと皇妃キャロライン達の元へと歩くエリカだった。
その間に、エリカは小声でこそこそとアルファードに問い掛ける。
「アル、今日、私を正式に聖女として認定する
って聞こえたんだけど………本当なの?」
「あっぁぁ~…本当だ…俺だって、このパーティーで
次期皇太子と発表されるなんて聞いていなかったんだよ
俺が事前に聞いていたのは
シオババアが離婚されて、廃皇妃になるってコトと
母上以外の妃は…全員が下賜されるってコトぐらいだ」
エリカの問い掛けに、苦笑しながらアルファードは答える。
それを聞いて、皇帝アルフレッドと皇弟アルスラーン、それに宰相ザイトリッツが急遽決めたと予想が付いた。
それでも、アルファードとエリカ達にとって、アンジェロ皇子達一行やアーカンデイル皇子達一行、それに廃皇妃リリアーナと魔術師エルダールを連れて、ジュリアスやレオニード達と転移するなどというのは、ちょっと………否、かなりやりたくは無いコトだったのだ。
それでも、皇帝アルフレッド命令なので従ったアルファードとエリカ達だった。
今日のパーティーでの目まぐるしい事態の変化は、皇帝アルフレッドの今までの苦労が軽減されると思うから、何も言わずに従ったアルファードとエリカ。
本音を言えば、エリカとしてはアルファード達と一緒にパーティー会場から抜け出して、魔法騎士団に帰りたい。
だが、自分にもアルファードにも係わりのある発表があるから、我慢しているという事情があった。
そして、エリカ以外の聖女候補達………いやいや、今回の当事者や関係者以外にとっては………色々な出来事があって退屈しないパーティーとなっていたのは確かな事実だったりする。
そう、当事者達以外にとっては娯楽の域である。
だから、このパーティーに出席した者達は、帰って家族や友人達などに今日の事件の内容をどう伝えようかと悩んでいたりする。
自分達の見聞きしたモノを、どのように伝えようか………と。
また、各国からドラゴニア帝国に駐在している大使達は、自国に有利な取引が出来る内容はないかと、ひたすら回りを観察しているのだった。
サラディール王国とドラゴニア帝国の同盟破棄を、素早く自国に伝える為に、自分付きの侍従を帰らせていた者達もいた。
塩という人間が生活する上で、必要不可欠な物資を使ってやりたい放題をしていた、サラディール王国が他国から攻撃や侵略を受けていないのは、同盟国ドラゴニア帝国の武力という抑止力があった為だった。
それが、皇妃リリアーナとの離婚、皇太子アンジェロの廃嫡という決定的な仲違いによる同盟破棄は、かなりの衝撃を持って他国に伝わる。
それは、確実にサラディール王国の凋落を招くコトになるのだから………。
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