上 下
385 / 450
第17章 パーティーは終焉に向かう

379★どこまでイっても、自己愛の人は痛いです

しおりを挟む


 廃皇妃と皇帝の会話に飽きていたエリカやアルファード達は、言いたい放題をしていたりする。
 それに、皇帝アルフレッド達は気が付いていたが、あえて放置している。

 それは、次期皇太子アルファードと聖女エリカの賢さのアピールでもあったから………。
 そう、その為に、オスカーは、遮音結界の隙間をわざと空けたり閉じたりしているのだ。

 そんな思惑も知らないし、気が付かない廃皇妃リリアーナは、何時までも繰言を言う。

 幼少の頃から甘やかされていた廃皇妃リリアーナは、何でも自分の思うとおりに………。
 そう、願えばなんでも叶うと思って生きてきた。

 兄の立太子式に、祝賀に来て居た皇帝アルフレッドに一目惚れをした廃皇妃リリアーナは、父である王と兄である王太子に強請った。
 皇帝アルフレッドの皇妃になりたいと………。

 その頃は、サラディール王国から既に塩を輸入していたドラゴニア帝国に、その塩の輸出を停止すると脅して、無理やり廃皇妃リリアーナを嫁がせた。
 それも、皇妃として………。

 そんなコトをすれば、多少の頭がある者は、皇帝アルフレッドに愛されないと理解するものだが………。
 何でも思う通りになっていた廃皇妃リリアーナは、自分が愛しているんだから、何の根拠も無しに皇帝アルフレッドも自分を愛すると思い込んでいた。

 これが1番の間違いだった。

 皇帝アルフレッドは、減ってしまった直系皇族を増やす為に、魔力量の少ない貴族の女達を次々と娶って行った。
 それは、廃皇妃リリアーナが泣いても、これは皇帝の義務だからと言って、決してその意思を曲げるコトは無かった。

 西の側妃キャロライン、南の側妃ブリジット、北の側妃リリーマルレーン、紅の妾妃マルガリータ、青の妾妃ビビアンは、廃皇妃リリアーナを娶った後に、後宮に入れた女達だった。

 これは、直系皇族を増やす為と、番であるキャロラインを娶り守る為でもあった
 そう廃皇妃リリアーナの嫉妬心を、分散させる為でもあった。

 また番であるキャロラインに、確実に生まれる皇帝の色彩を持つ子供(アルファード)を守る為でもあった。
 皇帝アルフレッドにとってキャロライン以外は、全て子供を産ませる道具でしか無かったから………。

 それ故に、避妊薬を飲んでいたコトを知った時、かなり怒っていたりする。
 が、途中で、それを理由に下賜できると思いなおしてもいた、外道な皇帝アルフレッドだった

 皇帝アルフレッドにとって、キャロラインの産んだ子供と、育てた子供以外は、皇子や皇女として利用するだけの存在でしか無かった。
 それでも、一応は、廃皇妃や側妃、妾妃達やその子供達に、それなりに愛情があるように見せかけていた皇帝アルフレッドだった。

 それを、知っているのは、弟のルーセア大公アルスラーンだけだったりする。
 勿論、エリカやアルファード達も気が付かなかった。

 薄々だが知っていたのは、オスカーとマクルーファだったが、それを口にするような男達ではなかったりする。
 そして、何度も、繰言を言う。

 「陛下は、私を愛していますわ
  私と陛下は、相思相愛なんですわ

  私が、サラディールに陛下を置いて帰ったコトを
  怒っていらっしゃるのね

  もう、ここに帰って着ましたから、許してくださいませ」

 その思い込みだけでしっゃべる内容に、その場に居る者達は呆れ果てていたのは確かなコトだった。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚されたのに、スルーされた私

ブラックベリィ
恋愛
6人の皇子様の花嫁候補として、召喚されたようなんですけど………。 地味で影が薄い私はスルーされてしまいました。 ちなみに、召喚されたのは3人。 2人は美少女な女子高生。1人は、はい、地味な私です。 ちなみに、2人は1つ上で、私はこの春に女子高生になる予定………。 春休みは、残念異世界への入り口でした。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

断罪されたので、私の過去を皆様に追体験していただきましょうか。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が真実を白日の下に晒す最高の機会を得たお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...