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第17章 パーティーは終焉に向かう
378★エリカは廃皇妃を酷評する
しおりを挟むそんなエリカとアルファードの会話を、その場にいた者達は獣人ゆえの優れた聴覚でしっかりと聞いていたりする。
それは、当然の様に皇帝アルフレッドやルーセア大公アルスラーンやドラバニア公国の大使ドラッシュ侯爵ライオット・ダスティ達の耳にも入っていた。
が、どこまでも自分のコトしか考えていない、廃皇妃リリアーナの耳には届かなかった。
そして、廃皇妃リリアーナは、自分の主張を相変わらず繰り返す。
「陛下、私は、陛下に出会った日よりずっと愛しておりますわ
この命はつるまで陛下を愛しますわ
さぁ何時もの優しい陛下に戻って下さいませ
何故、このように冷たい瞳で、酷い言葉を………」
その繰言を聞く耳なぞ無い皇帝アルフレッドは、その言葉を途中でぶった切って言う。
「私は、そなたを愛したコトなぞ一度も無い
皇帝の義務として、そなたを娶り
そなたを抱き、子を産ませただけだ
塩が、我が国から産出していたなら
寿命も魔力量も違う、そなたを娶るコトは無かった」
自分の気持ちを隠す気が無くなった皇帝アルフレッドの赤裸々な発言に、その場に居た者達とエリカ達は苦笑する。
が、廃皇妃リリアーナは、真っ青になりながらも反論する。
「いいえ、塩なぞ関係ありませぬ
私は、陛下を愛して………」
そんな廃皇妃の発言に、エリカは溜め息と共にぼそっと言う。
「改めて皇妃本人を見て思うのは、情けないの一言に尽きるわね
仮にも一国の王女が、この帝国に嫁いでする会話じゃないわ
閨での会話、いえ後宮での会話ならまだしも
ここは正式な皇宮の広間なのよ
表向きというか、政治向きの場所なのに
まして、他国からの大使達を招いてのパーティー会場なのよ
ったく、本当に信じられないほど、みっともないわね
流石に、いったいどういう教育を受けたのかしらって思うわ
陛下に下賜されて泣いている側妃達以下だものね
側妃達は、なぜ自分達が下賜されるコトになったかを
きちんと理解して、立場を認識したのにねぇ………
仮にも皇妃の立場に居たはずの彼女からは
一国の王女としての知性も教養も見当たらないわ
こんな見た目だけの……それも容色が直ぐに衰える……王女を
帝国に嫁がせた、あの国の王達も問題ありだわね
まして、ろくな味方も居ないこの帝国の中で
アルを……というより、皇太子を暗殺しようなんて
馬鹿まるだしだわね
自分の国じゃないんだから
簡単に、陛下にバレるって何故わからないのかしら?
もっとも、こんな頭も性格も悪い王女だから
離縁されたって、誰でもわかるだろうから
それはそれで良いと思うわ
陛下が、皇帝として、この帝国と民を守る為だけに
婚姻を維持していたってまるわかりで………
なんか、皇帝様って、ウチの陛下みたいに
国と国民の贄って感じがしちゃうわね
結構な国力があるのに
塩の為に、小国の不出来な王女を娶るしか無かったって………」
その結構辛らつな発言に、アルファード達は苦笑する。
「エリカ、それでも父上は、この帝国を民を守る為だって
割り切っていたんだ
どっちにしろ、直系皇族の人数が少なくなり過ぎていたから……」
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