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第17章 パーティーは終焉に向かう
362★ブランシュは立場が無くなったコトを知る
しおりを挟む無意識で脂汗を流し顔面蒼白になったセルデア伯爵とセルデア子爵に、皇帝アルフレッドは、機嫌良さそうに笑って言う。
「故に、皇妃とは離縁する
塩は皇太子の聖女エリカが作り出してくれるのでな
もう、アレを皇妃にしておく必要がなくなった
そして、青薔薇を口にしなかったキャサリン以外は
全て下賜する予定だ
ただし、皇女に罪は問わない……が、皇族籍は剥奪する
そなたらに嫁ぐは、皇女ブランシュだが
アレの我がまま故に離婚となった場合は
ブリジットの下賜先のフィレンツ侯爵に戻るコトになる
そのコトを、お前達がブランシュに教えてやれば良い」
皇帝アルフレッドの説明により、ブランシュが皇女の身分のまま降嫁すると知ってセルデア伯爵とセルデア子爵は、内心でほっとする。
真の高位貴族となれるとわかったから………。
そう、彼らにとってブランシュとの婚姻は、政略結婚でしかなかったから………もっとも、皇女の婚姻は、政略結婚が基本で、その為に作られた存在なのだ。
新興貴族の箔付けと、その血が持つ魔力量の増加をはかる為に嫁ぐ存在として………。
「はっ」
そんな打算いっぱいの2人を見て、皇帝アルフレッドは苦笑する。
が、それを、皇帝アルフレッドも了承している。
民を守る為に、魔物討伐をする義務を持つ貴族の能力(=魔力量)の底上げをする為に、皇女や皇子を生み出したのだから………。
ただし、愛しいキャロラインの生む子供達を政略結婚に使うのは、ちょっと、いやかなりイヤだと思っているアルフレッドは、これ以降の降嫁も臣籍降下も予定していなかったりする。
そして、ブランシュに対してほとんど愛情を感じてはいないが、父親として娘に不幸になって欲しくないという思いはあるので、皇帝アルフレッドは、2人に釘を刺す。
「ただし、蔑(ないがしろ)にしても良いとは言っておらんぞ」
「はっ重々承知しております
皇女殿下として大切に致します」
新興の伯爵家としてはかなりの資産家で、有能で野心家で打算家なだけに、ブランシュを大切にするとの約束は守るだろうと皇帝アルフレッドは改めて思う。
彼らにとって、ブランシュの生む子供は、格上の侯爵や公爵、大公とも婚姻できる存在となるから、大切に大切にするのは確実だった。
それは、ドラゴニア帝国においても、他国の貴族との婚姻もおなじコトだったりする。
また、領地の特産品の極上のワインを、国内外に販売する商会を有する彼らにとって、それはブランド力に直結する。
ブランシュを有している間は、そのワインは皇帝アルフレッドの愛飲するワインで、皇室御用達の銘を冠していられるのだ。
そのコトを十分にわかっている皇帝アルフレッドは、我がままな娘ブランシュが、セルデア伯爵家で、末永く暮らせるように言う。
「我がままが過ぎたら叱(しか)ってやれ。良いな」
「はっ」
皇女ブランシュを𠮟(しか)っても良いと言う皇帝アルフレッドに、2人はこころから感謝して頭を下げる。
それは、ブランシュの我がままと浪費癖を、ある程度は制御できるというコトになる。
それにより通常の政略結婚に近い状態になり、セルデア伯爵家にとっての負担が減るというメリットがあった。
その姿に満足して、皇帝アルフレッドは、改めて婚約時の約束の履行を宣言する。
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