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第16章 そして、パーティーが始まる
354★後宮の妃は、皇帝の子を孕む為に居るもの………
しおりを挟むレギオンの指摘に、ビビアンは、自分の立場と後宮の妃達の常識を堂々と言う。
それは、明らかに不敬罪に当たるコトを、ビビアンは知らない。
そう、皇帝であるアルフレッドの命令、または許可無くして、避妊薬である青薔薇を飲む行為は、完全に不敬罪なのだ。
後宮の妃とは、皇帝の子供を孕む為に存在しているのだから………。
まして、寵愛の聖女と最後のフルトランスをした皇帝の直系皇族の数が極端に減ってしまった為に、何人もの妃を娶った皇帝アルフレッドの苦労を完全に蔑ろにしている行為なのだから………。
いや、ある意味で皇帝のもっとも重要な責務(血族を増やす)を否定しているも同然の行為なのだ………子を孕むことを忌避する行為は。
それに考えが及ばないビビアン達は、皇帝アルフレッドに捨てられても当然だと、その場に居た男達は思う。
が、それを知らないビビアンは堂々と言う。
「私は、妾妃よ
皇子を生んでも
皇位継承権は与えられないわ
皇女を生んでも、他の皇女殿下よりも
格下の貴族にしか嫁げないわ
そんな子供はいらないわよ
それに、どの妃様も
みな青薔薇を飲んでいるわ
陛下のお渡りが無くなるから………」
後宮の妃達の愚かさに、レギオンは苦笑するしか無かった。
が、その発言の内容は、皇族として当然の指摘だったりする。
「本当に、馬鹿なコトを………
陛下は、魔力降下剤を飲みながら
貴女達を抱いていたんですよ
皇子や皇女が必要だから………
その寿命を削るとわかっている劇薬を
服用してまで、子を望んでいたというのに
それを、勝手な判断で、青薔薇を飲むなんて
それだけでも、不敬罪ですよ」
「そんな………」
レギオンに指摘されて、やっと不味いコトをしたと気が付いたビビアンの顔色は青く染まって行った。
それを見ながら、レギオンは何処までも淡々と事実を告げる。
その中に、どこか照れくさくて幸せそうな雰囲気を滲ませて………。
「キャロライン様だけは
青薔薇を飲んでいません
もっと陛下の子供を生みたいからって………
弟や妹を欲しがった俺達の為にもって
言ってくれましたよ」
そんの言葉に、とうとう強情なビビアンも黙ってしまう。
そこへ、皇帝アルフレッドの何気ない、それでいて残酷な宣言と命令を含んだ言葉が通る。
「これで、2人の妾妃の処分はすんだ
ハイデン子爵ルパート・ヘルマンよ
ビビアンを連れて帰れ
次にそなたらを見るとき、腹が大きいと良いな」
それを聞いて、気丈にも立っていたエスメラルダもリリーマルレーンもブリジットもぐらりと崩れ落ちて行く。
それを抱きとめるのは、それぞれが下賜された相手だった。
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