上 下
356 / 450
第16章 そして、パーティーが始まる

350★ギデオン(息子)は、マルガリータ(母)の罪を指摘する

しおりを挟む


 「私は、陛下を愛しています
  また、父から色々と取り寄せ………」

 「貴女の力では無い
  それは、お祖父様の力で集めたものですよ」

 マルガリータの主張を鼻で嗤うキデオンだった。
 それに、怒りもあらわにマルガリータは言い募ろうとする。

 「それでも………」

 その言葉を、ギデオンは、自分が知っている事実を淡々と暴露する。
 今までは、皇帝アルフレッドの妃の数が減るコト(=皇妃リリアーナと過す時間が増える)を恐れて、言えなかった内容を口にする。

 「陛下は、魔力降下剤を飲んで
  貴方を抱いて俺を作りました

  それなのに、貴方というひとは
  妊娠して陛下のお渡りが減ったからと

  もう妊娠したくないからという理由から
  青薔薇を飲んでいましたよね」

 ギデオンの指摘に、マルガリータは不思議そうに答える。
 キャロラインを除く妃達が、全て当たり前にしている行為を何故咎めるのかわからない………。
 その程度の頭しか無い女だと自分で、マルガリータは言っているようなものだった。

 「キャロライン様以外は
  皇妃リリアーナ様も側妃の方々も
  全員が青薔薇を飲んでいたわ

  これ以上皇子を生んでも
  皇位継承権は無いし

  皇女が生まれても嫁ぎ先が心配だからって………」

 身勝手な女の論理と言葉に、キデオンは呆れ返ってしまう。

 皇族としての魔力を持って生まれてくる皇子は、魔物討伐や他国との小競り合いの戦力になるというコトが、まるでわかっていないマルガリータを絞め殺しそうな表情で見詰めながら、ギデオンは説明する。

 「父上は、皇帝病を患っているのに
  それでも、魔力降下剤を飲んで
  貴方達を抱いていたんですよ

  皇位継承権が無い皇子などいらないと
  貴女達は言うんですね

  それは、皇帝である父上に対する裏切りですよ」

 命を削る様な薬とわかっていて、魔力降下剤を皇帝アルフレッドが飲んでいたコトを知って、マルガリータは言葉に詰まる。

 「そんな………」

 こんな女が実の母だとは思いたくないと態度や言葉の端に滲ませて、マルガリータに説明するギデオンは、結構親切な男といえるだろう。

 「俺に皇位継承権は無いけど

  俺は魔法騎士団に入り皇太子である
  アルファード兄上の側近をしている

  いずれは、アルファード兄上が皇帝になり
  アルバード兄上が魔法騎士団の団長になった時に

  俺とレギオンが副団長として
  補佐する予定なんです

  良いですか、皇子は魔力量が多いんです

  魔物討伐を基本任務とする
  騎士団には必要な人間なんです

  それを勝手に判断するなんて
  不敬罪も良いところです」

 皇族が減ったからと何人もの妃を娶った本当理由をやっと理解したマルガリータは、無言で唇を震わせながら蒼褪めた。
 言い返す言葉が無かったともいえる。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~

ノ木瀬 優
恋愛
 卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。 「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」  あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。  思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。  設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。    R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。

【完結】魅了が解けたあと。

恋愛
国を魔物から救った英雄。 元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。 その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。 あれから何十年___。 仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、 とうとう聖女が病で倒れてしまう。 そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。 彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。 それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・ ※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。 ______________________ 少し回りくどいかも。 でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...