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第16章 そして、パーティーが始まる

331★皇帝アルフレッドの暗黙の課題に答えます

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 ギデオンとレギオンの提案にアスランが、良いのかいという表情で尋ねる。

 「ふむ、子爵では
  皇帝主催のパーティーに
  全て参加できるとは限らないし

  君達の祖父にも色々と
  言われるんじゃないかな?」

 アスランの問い掛けに、ギデオンは暗く嗤う。
 ギデオンに取って、実の母親は、ただ自分を産み捨てただけの、女でしか無いのだから………。

 また、実母に対して、愛情を感じるだけのモノをもらった覚えなどないので、アスランの言葉に平然としていた。

 ギデオンにとっては、レギオンやアルバード、そして、兄と慕うアルファードと一緒に、実母に打ち捨てられていた自分を育ててくれた、キャロラインだけが、母と思える相手だった………。

 だから、この帝国の役に立つ相手に、実母を下賜するようにと父である皇帝に平気で進言することで出来るのだ。

 ギデオンはアスランの言葉に、嗤いを深くして言う。

 「母や祖父の思惑なんて
  どうでも良いと思います

  特にあの母は………

  ハイデン子爵は
  比較的新興の貴族です

  今は亡き妻は
  俺達と変わらない新興の

  可も無く負も無い男爵家の
  令嬢です

  俺の母マルガリータの方が
  妾妃だったので

  高位貴族との付き合いも
  ありますから

  彼にとっては、これ以上の
  再婚相手はいないでしょう


  皇族との繋がりは、喉から手が
  出る程欲しいでしょうしね

  それに、ハイデン子爵は
  近衛騎士すら出したコトが
  無い家ですからね

  喜んで母を娶り
  嫡男を産ませると思います

  いや、無理矢理でも
  産ませるでしょうね

  野心があるなら
  皇太子の可愛がっている

  義弟と異父弟妹になる子供を
  何人でも産ませると思います

  有力な古い貴族達と
  婚姻する為にね」

 国内の古いが、皇族の血が入っていない下位の貴族達には、丁度良い婚姻相手がマルガリータの腹から生まれる。
 マルガリータの子であるキデオンは、皇太子アルファードのお気に入りの義弟だったから………。

 直接の血の交換では無いが、皇族との血の繋がりが出来るというメリットがある。

 ギデオンに続いてレギオンも、自分の母親の下賜先を平然と口にする。
  やはり、実母に放置されていたレギオンに取っても、自分を育ててくれたキャロラインが母と思える人だったから………。

 「俺も、祖父や母の思惑なんぞ
  知ったコトじゃありません

  特に、母がどう思おうと
  関係無いですね

  それよりも、他国との貿易を
  得意としているルクセン子爵に

  母を娶るメリットを与えれば
  生涯、母を大切にしてくれますよ

  幽閉してでも
  たんと子供を産ませるでしょう

  他国の貴族との繋がりに使える
  子供ですからね

  ルクセン子爵の亡き妻は
  古い貴族の血統を引く
  貧乏男爵の娘でしたしね

  それと比べれば、豪商と呼ばれる
  祖父アルバース男爵の娘で

  妾妃の母は、彼にとって
  婚姻出来る相手としては
  最高の女でしょう

  おまけに俺は、皇太子が
  可愛がっている義弟ですから………

  それに、魔法騎士団の役職持ちは
  あの家にとってとても
  価値があるでしょう

  近衛騎士も排出できない
  あの家では………」

 外国との取引を中心に活動する、豪商でもあるルクセン子爵と母ビビアンの子供を使い、他国の貴族との繋がりを作り、帝国の為に利用しようと言外に言うレギオンに、アルフレッドは軽く頷き柔らかく微笑む。

  皇太子が可愛がっている、義弟の異父弟妹を娶りドラゴニア帝国との繋がりを強化したい、野心家な他国の貴族にとっては、申し分のない縁組であった。

 直接他国の皇族や王族と婚姻関係を結ぶという行為は、国王に睨まれる可能性が高い。
 が、ビビアンの子供なら、直接の皇族との婚姻関係ではないので、簡単に婚姻が許可されるというメリットがある。 

 それを見て、アルファードは苦笑するだけだった。
 そして、アルバードも他の妃達の下賜先を口にする。
 これは、父である皇帝アルフレッドからの課題でもあると認識したから………。
 
 「それでは

  南の側妃メディーナ伯爵家の
  ブリジット・アンナレーナを

  フィレンツ侯爵ロレンツォ・レミオに
  下賜すると良いと思います

  彼の亡き妻はロマーナ伯爵家の
  娘でしたから

  陛下の側妃だった
  ブリジットの方が身分は上です

  それに、数代前に失脚した
  家ですから

  これを機に貴族議会での発言権を
  取り戻せると思うでしょう

  また、この婚姻で彼と
  ブリジットの嫡子は侯爵家との
  婚姻が可能になりますから………

  彼は、必死でブリジットとの子供を
  何人も作るでしょう

  陛下から許しをもらったので
  改めて、閨閥を作ろうとする
  でしょうからね」












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