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第15章 まずは小姑を片付けないと………
315★皇帝と弟の腹黒会談4
しおりを挟む皇女に対しては、それなりに考えていたアルフレッドだった。
が、その皇女達も聖女であるエリカに余計なちょっかいを掛けないように、さっさとその身分を落としたい。
と言うのが、アルフレッドの本音であったりする。
「皇太子アルファードが
聖女エリカを妃に迎える
ゆえに、確実に後々どころか
すぐさま邪魔になるだろう
皇女達が、売れ残りに
ならなければ、それで良いのだ」
その本音ばりばりの発言に、さも当然と言う表情でアスランは答える。
彼ら皇族にとって、聖女という存在は絶対の信頼を置き、必ず守るものだったのだ。
歴代の聖女達は、この帝国の女性(基本的に獣人)の身体能力にまったく敵対出来ない脆弱な身体だったから………。
どんなに魔力量があり、ある程度の攻撃魔法を扱おうとも、守るべき存在でしか無かったから………。
歴代最強の個人武力を誇るエリカでも、肉体的な能力のみを比べるなら………。
帝国の女性達とは、武器無しでは対抗出来ないほどの格差があると思わわれていた………。
だから、皇女達をまず排除するのだ。
すぐさま皇妃や側妃達を排除しないのは、立場上直接聖女達と会話する機会が無いと判断されていたからである。
これからの皇妃や側妃達の行動によっては、即刻、排除に向かう可能性は多々あったりする。
が、その事実は、既に確定事項だったので、話題にも上らなかったのだ。
特に皇妃については、処分が決定しているので………。
「身も蓋も無い言葉ですね
皇子達はどうするのですか?」
アスランの問い掛けに、アルフレッドは冷たく言う。
アルフレッドにとって、魔力量が皇子として相応しい騎士としての地位を確立していない皇子など、価値が無かったのだ。
ちなみに、アスランは、神官で神聖魔法師団の団長だったりする。
そして、息子のワルターは、副団長補佐の地位にその実力で就いていた。
それ故に、コミュ障気味でも許されていたのだった。
「皇子としての
身分にしがみ付くようなら
それなりの実績を示せ
と言うだけだ」
その冷たい発言に、アスランは苦笑するだけだった。
「もしかして
アルファードのように
さっさと騎士団長になれ
とでも言うんですか?」
アスランの無茶ぶりな言葉にアルフレッドは、真っ黒にオーラをまとい嗤って言う。
それほどに、力の無い皇子に見切りを付けていたのだろう。
「それぐらい当然だろう
もっとも、今は
皇家と聖女様の血を引く
公爵や侯爵がそれぞれの
団長になっているからな
かなり無理があるだろう
が、それが出来なければ
皇位継承権のある皇子
としては認められないな」
言外に、アスランの息子ワルターが、その皇子として認められる基準をほとんど満たしているコトを含ませて………。
魔法騎士団の団長をしているアルファードの副官として、未来の団長としての修行をつんでいるギデオンとレギオンは、皇子として認められる地位に就いているという基準をほぼ満たしていると判断される。
また、アルバードも、副団長補佐の1人に紛れ込んでいる為に、皇子として認められる基準をほぼ満たしていると判断されていた。
この4名以外の皇子達は、皇子としての基準をみたしていないので、臣籍降下………それも、婿入りと決定されているのだった。
皇子としての基準を満たしているなら、伯爵以上の爵位と領地をギデオンやレギオン達と同じように与えられていただろう。
そして、彼らは、父である皇帝に使えない駒とみなされてしまっていたので、扱いがぞんざいになっていた。
当然、アスランもそれにならう。
「そうですか………で
何時その話しをする
予定なんですか?」
アスランの問い掛けに、アルフレッドは吐き捨てるように言う。
自分の息子に、直接会って引導を渡すこころすらないらしい。
それほどにアルフレッドは、アルファードが認めている兄弟で、キャロラインが手元に置いていた皇子以外には、なんの興味も無かったのだ。
また、皇帝としての義務と責任を果たす為に、7人の妃を娶り15人の皇子や皇女を設けたアルフレッドの要求は厳しいものだったりする。
「今日にも伝達魔法で
あれらに言う予定だ」
アルフレッドは、息子である皇子に会って、引導を渡すコトさえ厭うという状態になっていた。
もう、アルファード達以外の皇子達は、臣籍降下させるので、息子として扱う必要も無くなったと思っているのだ。
その切り替えが、皇帝には求められるから………仕方の無いコトだったりもする。
そんな兄の言葉に、アスランはちょっと苦笑して言う。
「アンジェロやアーカンディル
にもですか?」
皇妃リリアーナが産んだので、対外的な意味で皇太子にしていたアンジェロと、東の側妃が産んだので表向きは、皇位継承権が高いアーカンディルに対する対応を改めて聞く、性格のイイ弟にアルフレッドは苦笑する。
アルフレッドにすれば、エスメラルダが何かと恩着せがましく自分に意見したり、第一子が皇女でなければと繰り言を言うのも嫌いだった。
また、何かと皇妃と争い、キャロラインが間を取り持って苦心しているのを知っているだけに、さっさと側妃の地位から落とし、独身になってしまった重臣の誰かに下賜したいと思っていたりする。
母親を嫌っているのだから、その子供に愛情が湧くはずが無いアルフレッドは、何の感情も込めずに淡々と言う。
まるで、今日の天気のコトを離すように………。
「当然だろう
あれも王位継承権のある
皇子なのだから
それに見合う義務と責任を
果たしてもらう」
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