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第15章 まずは小姑を片付けないと………
313★皇帝と弟の腹黒会談2
しおりを挟むこの帝国では、高位貴族の魔力量は確かに多い………が、皇族の血が入っていれば更に魔力量は増える。
そこに、聖女の血が入ると、その魔力量を遺伝出来る確率が、確実に増すのだ。
それ故に、貴族達は皇家の血と聖女の血を求める。
両方の血が流れる高位貴族は、それなりにいる。
故に皇家の血しか流れていない、まして、代を経ていない平民あがりの男爵の血を引くので、魔力量が不安定で、次代にギデオンやレギオンの魔力量を受け継ぐかは、予想が出来ない状態なのだ。
だったら、確実に魔力量を確保できる両方の血を引く高位貴族を狙った方が良くなってしまう。
また、臣籍降下するには、伯爵家以下はあり得ない。
そうなると、ギデオンとレギオンの価値はどうしても下がってしまう。
何と言っても、アルファードを除いても、9人の皇子がいるから………。
まして、ギデオンもレギオンも皇位継承権を持たない皇子なので、皇家との関わりをあまり口に出来ない存在だったから………。
皇位継承権の無い皇子に、貴族達は冷たいのだ。
貴族社会では、どんなに皇太子としての色を纏ったアルファードが可愛がっていても、その戦闘能力等が高かろうと、皇子としては1段も2段も格下扱いされるのだ。
その上で、2人の母親は、妾妃なので正式な妃では無かった。
他の皇子達は、全員、正式な妃達だった故の差別があるのだ。
「ああ確かにそうですね
皇帝の孫または、甥か姪なのに
魔力量が少ないのは
皇家が侮られる原因になりますね」
「だから、レギオンとギデオンは
聖女候補と婚姻するか
聖女候補の産んだ娘と
婚姻出来るように
伯爵家を継がせる」
血筋を他国に流出させない為という意味合いも込めて、アルフレッドが言えば、アスランも頷く。
「他国に対する対面も
それで、保たれますよね
離婚した皇妃の産んだ
廃嫡皇太子でも
1度は皇太子にしたのだから
皇位継承権を持ち
皇族のままであるってね
皇太子の同腹の弟も
皇位継承権を持ち
皇族となったというように
持っていくのですね
普通の国に見えるように………
そして、久しぶりに
皇女を国外に嫁がせるコトで
我が帝国の皇族は絶える心配が
無いと………」
兄上ってば腹黒ですね、という意味を込めて言うアスランに、アルフレッドはニヤリッと嗤いつつ言う。
「当然だろう
他国に出す皇女は
魔力量の少ない者達だからな
勿論、その為に聖女様の
血が薄れている家から
妃を娶ったのだから………
私の最愛の妃キャロラインが
私の番だと判っていたから
出来たコトだったがな………」
本能をねじ伏せ、皇家の血統を増やすコトと、愛する番を外敵から守る為に、アルフレッドは自分に無理を架したのだ。
その為もあって、皇族特有の衰弱して行く病に心理的な負担がかかり、身体の弱体化に拍車が掛かっていたコトは確かな事実だった。
が、それでもアルフレッドは、若くして着いてしまった皇帝としての責務を一心に果たしているのだ。
それが、意に染まない………どころか、憎しみすら覚える相手と………その相手と閨を共にしなければならないという、苦行を皇帝が故に継続していたのだ。
愛する番と、その間に誕生した愛息子を守る為に………。
ただ、皇帝の色を纏って誕生したが故に、その努力はかなり無益となっていたコトも確かだった
なにせ、皇妃リリアーナがアルファードをコトあるごとに貶め、隙あらば毒を盛るという行為をしていたのだから………。
皇帝であるアルフレッドが、公然とその言動を窘《たしな》めても、アルファードを貶めるコトを止めない皇妃リリアーナに、心底愛想を尽かしていたコトは言うまでも無い。
それでも義務と責任のもと、国民の安全と生活の為に、我慢に我慢を重ねるアルフレッドを、アスランは尊敬していた。
ゆえに、アスランはアルフレッドに問いかける。
「兄上、キャロライン義姉上が
自分の番だと
良くわかりましたね
というか、いまだに義姉上は
そのコトに気か付いて
いないようですが?」
アスランの言葉に、アルフレッドはちょっとどころか、真っ黒な微笑みを浮かべて言う。
「くっくくく……私が番だと
わからないように
キャロラインには
魔法を掛けてある
早く、アルファードに
この皇帝位を譲って
魔法を解きたい
本当にそう思っている
私の寿命が余り無いと
思っていたから………
置いて逝くキャロラインが
悲しまないようにと
掛けた認識阻害の
魔法だった………が
アルファードの聖女
エリカのお陰で
魔力のこもった食事を
たっぷりとるようになり
何かとだるくて眠くて
意識が遠のくという感覚が
ドロッとした倦怠感が消えた
私の病は治ると確信したら………
欲が出た
私は、キャロラインと生きたい」
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