313 / 450
第15章 まずは小姑を片付けないと………
307★聖女の言葉は絶対です………が、エリカはそれを知りません
しおりを挟む考えのまとまったエリカが言う。
「ジュリアス
それは、貴方の【魔倉庫】に入れてね
そのまま人の姿で一緒に来て欲しいの
友達にも紹介したいから、良いかな?」
「はい」
「ジュリアス、ありがとう」
エリカはアルファードを見て言う。
「アル、帰りましょう
お塩もお魚も
手にはいったんだから………
帰ったらお塩やお魚をみんなに
お土産として分けてあげましょう
きっと喜ぶと思うの
ついでに、今日、獲った魚介類で
バーベキューをしましょうね
ちょっと不気味っぽい
見た目のモノもあるけど
どれも美味しいからね」
エリカの言う通り、塩を作る時に獲った魚介類は、確かに不気味なモノが多々あった。
が、それについて、アルファード達は、何も言うつもりは無かったのだ。
歴代の聖女が、彼らに聖女の言うコトは絶対で、逆らってはならないと教え込んでいたからだったりする。
なまじ獣人だったので、強い者には絶対服従という意識が強かった為に………。
聖女達、特に、二つ名持ちの聖女達は、とにかく優秀で強かった。
寵愛の聖女、慈愛の聖女、聖母な聖女、微笑みの聖女達は、帝国に大輪の華のような繁栄をもたらしたと言われているから………。
魔の森の自走植物の木の実を獲って食べているのは、季節に関係無く果物を食べたがっていた寵愛の聖女の為に、皇帝が自走植物を追いまわして、その実を獲り、囚人達に食べさせて安全なコトを確認して………。
ついでに、聖女の為だからと言って、嫌いな貴族達に食べさせるという再度の安全確認をして、聖女に食べたがっていた果物を与えたのは、かなぁ~り有名な話である。
なぜ、【魔倉庫】に保存している果物で満足しなかったかと言うと、単に皇帝が、獲りたてを愛の証しとして、寵愛の聖女に与えたかったという番としての欲望を満たすためだったりする。
そう、例の求愛給餌の為である。
その結果の中に、魔の森でしか獲れないコショウ等の調味料があったりする。
エリカは、まだ知らないがシイタ、マイタケ、シメジなどのキノコの中には、戦って勝ってしか手に入れられないモノもあるのだ。
放出する胞子を吸ったら、身体が動けなくなるものや、毒の胞子を出すものも中にはいるのだ。
それでも、最愛の妃が食べたがったものだからと、歴代の皇帝達は、自分と騎士達に無茶ぶりをして食材を手に入れていたのだった。
前回のエリカが欲しがった鰹節もどきは、歴代の聖女が欲しがりながら、手に入れられなかった一品である。
それからお出汁をとって作ったものを、アルファード達が何も言わずに食べたコトを不審に思わなかったエリカも、所詮は聖女であると………。
アルファード達は、なにも言わなかったのだ。
何と言っても、聖女様の言う通りにすれば、何事も上手くいくという経験を彼らの祖先から脈々と受け継いていたので………。
タコを出されようが、イカを出されようが、ウナギやアナゴ、エビやカニなどを出されようが、そんなコトを気にする彼らでは無いのだ。
だから、エリカの言うコトに何も言わずにアルファードは言う。
「ああ帰ろう
オスカー達が待っているしな」
所詮はわんこ属性を持つ騎士達なので、上位者の言うコトに逆らうという意識も無い彼らは素直に頷く。
「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」
こうして、エリカとアルファードは、レオニード達に乗り、シードラゴンのジュリアスを連れて帝都に帰ったのだった。
そして、エリカとアルファード達は、本拠地で予定外のコトが起きているとは知らずに、意気揚々と帰還するのであった。
帝都には、エリカとアルファードを狙う者達が蠢いているのだった。
エリカという最強の聖女を欲しているものは………アルファードの予想よりも多いものだった。
10
お気に入りに追加
2,241
あなたにおすすめの小説
その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~
ノ木瀬 優
恋愛
卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。
「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」
あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。
思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。
設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。
R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】魅了が解けたあと。
乙
恋愛
国を魔物から救った英雄。
元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。
その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。
あれから何十年___。
仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、
とうとう聖女が病で倒れてしまう。
そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。
彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。
それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・
※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。
______________________
少し回りくどいかも。
でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
異世界召喚に巻き込まれました
ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。
でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。
なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。
あなたをかばって顔に傷を負ったら婚約破棄ですか、なおその後
アソビのココロ
恋愛
「その顔では抱けんのだ。わかるかシンシア」 侯爵令嬢シンシアは婚約者であるバーナビー王太子を暴漢から救ったが、その際顔に大ケガを負ってしまい、婚約破棄された。身軽になったシンシアは冒険者を志して辺境へ行く。そこに出会いがあった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる