上 下
293 / 450
第15章 まずは小姑を片付けないと………

287★竜化に必要な食事量って‥‥‥

しおりを挟む

 「マクルーファ‥聞いていたな‥‥」 

 エリカの何気ない発言を聞いたアルファードは、微かに青ざめて真剣な表情でマクルーファに言う。
 
 「はい」

 「お前の記憶の中のお祖父様は
  どの程度の食事量を摂っていた?」

 アルファードの問い掛けに、真剣な‥それでいて、悲しみを含んだ複雑な表情を浮かべて、マクルーファは切なそうに答える。

 先代皇帝の母親は、オスカーの母方の伯母にあたり、マクルーファの母は、先代皇帝の乳母だった。
 オスカーとマクルーファは、先代皇帝の身内の立場や地位、それに年齢を考慮され、将来の側近として、一緒に育っていった幼馴染みだった‥‥‥。

 それ故に、現皇帝も2人を父親代わりとして慕う為、傍若無人を絵に描いたような皇妃リリアーナ、通称塩ババアも、2人には表立って逆らったりはしない。
 恋して、無理矢理嫁いで来ただけに、皇帝アルフレッドにだけは、リリアーナも嫌われたくない為に‥‥‥。

 「魔力量に比して少なかったと思いました

  だから、俺とオスカーは
  色々な珍しい食材を集めては
  会いに行ってました

  団長と違って
  胃の許容量が少なかったんです」

 マクルーファは、淡々と記憶の中の先代皇帝のコトを説明する。
 それに、エリカは、突っ込みを入れる。

 「それって‥‥‥こう‥‥‥
  なんとか胃を大きくするって
  出来なかったんですか?」

 エリカの問い掛けに、マクルーファは、顔を顰めて何処か悔しそうにそして後悔を滲ませて答える。

 「姫君、あいつは、生まれた時から
  胃腸が弱かった為

  一般の貴族程度の食事量を摂るのが
  やっとでした

  そこで、酒精の強い酒を夕食に
  必ず飲むようにと、俺達は
  2人で銘酒をひたすら集めました

  それでも‥‥‥だから、俺は
  陛下にも酒を送っています

  団長が、健康体で大食いになれて
  本当に良かったと思っていますよ」

 先代皇帝の思い出を、切なげに後悔を滲ませて説明するマクルーファに、エリカは、あえて目を瞑(つぶ)り、会話を進めて行く。

 〔先代皇帝に対して
  当事者でも関係者でも無い

  私が、色々と聞いて
  マクルーファさんから
  話しを引き出すしか無いですね

  あぁ~‥‥‥はたから見たら
  私って酷い女ですよねぇ~‥‥‥ぐっすん‥

  でも‥聞くしかない‥ファイトだ、私〕

 「どうして酒精の強いお酒を
  進めたんですか?

   あれって飲みすぎると肝臓に
  負担がかかってしまうんですよ」

 「寵愛の聖女様が
  大量に食事を摂る必要のある彼の皇帝に

  夕食にのみ、ワインではなく
  酒精の強いブランデーを飲むようにと
  進めたからです

  その他にビールも‥‥‥
  聖女様は食べませんでしたが‥‥‥

  油を大量に含んだ肉とか

  甘いチョコレートケーキのスポンジに
  ブランデーを含ませた物などに

  甘いパンやバターたぁ~っぷりのパンを
  用意していたと書いてありましたから‥‥‥」

 マクルーファの説明にエリカは苦笑してしまう。

 〔あははぁ~‥‥‥‥
  ここでも‥寵愛の聖女様ですか‥‥‥

  なんかもう‥‥‥
  この帝国の人達への影響力が凄すぎて
  何をどう言ったら良いの?って
  思ってしまうわ

  でも、今回は、魔力を練り込んだ
  食事を作っていないから‥‥‥

  私の勝ちねって言っても
  誰もそう思ってはくれないわね〕

 「なるほどね
  ダイエットに悪いといわれている食事を
  あえて摂らせていたんですね

  でも、私みたいに魔法を使って
  調理はしていなかったんですね

  大量に食事を摂るコトが出来ないなら
  魔力を練り込んだ食事を摂るという
  方法もあるコトになりますね‥‥

  ドラゴンの末裔の皇帝と
  その色彩を纏う者達は‥‥‥‥

  魔力というか、魔素を大量に取り込む
  必要があるんですね

  あの巨体に変化する為に‥‥‥

  や○しい竜の○し方の竜達は
  ひたすら、酒精の強い酒を
  飲んでいましたからねぇ~‥‥‥」

 〔あの竜みたいに、食事制限?が
  あったわけじゃないのに‥‥‥

  なのに竜への変化に必要な
  定量を摂れないなんてコトは

  シードラゴンさんにもあるのかしら?
  ちょっと聞いてみようかな〕









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~

ノ木瀬 優
恋愛
 卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。 「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」  あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。  思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。  設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。    R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。

【完結】魅了が解けたあと。

恋愛
国を魔物から救った英雄。 元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。 その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。 あれから何十年___。 仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、 とうとう聖女が病で倒れてしまう。 そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。 彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。 それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・ ※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。 ______________________ 少し回りくどいかも。 でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...