上 下
262 / 450
第15章 まずは小姑を片付けないと………

256★アルファードの‥‥‥

しおりを挟む




 ちなみに、マクルーファ達は、夕食になんとか間に合う頃に、やっと帰って来ていたりする。
 その為に、エリカやアルファード、オスカーや聖女候補、レオニード達と夕食をとったのだった。

 エリカと一緒に入浴し、同じベッドに入ったアルファードは、微かに寝息を立てるエリカを腕に、エリカとグリフォン達を思い出す。

 今日のエリカを見ていると、稀有な幻獣グリフォンを手に入れても、それを使って何かをしようなとど、カケラも思っていないコトがわかる。
 エリカには、膨大な魔力も権力も財力も何の意味も無い。

 俺を愛していると言う、その言葉には、俺の皇太子としての地位も権力も皇族ゆえの、膨大な魔力というチカラも、その意識の中には入っていない。
 魔法騎士団団長の地位と権力も、エリカに意味は無い。

 どちらかと言えば、皇太子としての義務と責任を一緒に背負うほうに意識が向いていた。
 一事が万事なのだろうなぁ~‥‥‥。

 エリカは、きっと皇太子妃になっても、この愛らしい性格のままでいるだろうと、確信出来る。
 寵愛の聖女を、彼の皇帝が何処までも溺愛していた意味が、俺にも本当にわかった。

 愛する男としてだけ、自分を見詰めてくれる愛しい妻(おんな)で、皇帝としての重責を、笑って一緒に背負ってくれる存在。
 まして、彼の皇帝には何人もの側室が侍っていたし、姫だけだったが何人も産まれていた。

 寵愛の聖女は、その後宮に最初から入っていたわけでは無い。
 皇帝は、すべての側室を後宮から排除して、生まれていた姫達も全て国外に幼少のみぎりから嫁がせている。
 もっとも、それが愛情だけだったのか?と疑われてもいる。

 側室の全ての家が、それぞれに罪を犯し、断罪され跡形も無く滅びているからなぁ‥‥‥。
 全てが終わってから、寵愛の聖女を皇妃として盛大に娶ったのは確かだが‥‥‥。

 俺は彼の皇帝に比べたら、はるかに運が良いな。
 なんと言っても、身体の成長が悪かったから、婚約者候補すらいなかったからなぁ‥‥‥。
 エリカに、無駄な苦労をさせる必要が無い。

 あとはアレを、さっさとカンパネラ伯爵の三男サルバトールに、嫁がせれば、俺の苦労もお仕舞いだからなぁ~‥‥‥。
 しっかし、サルバトールも我が魔法騎士団の騎士にしても良いだけの実力があるのに、もったいないな。

 ここは、1度、あの3兄弟を魔法騎士団に移動させるか‥‥‥。
 サルバトールの箔付けにもなるしな。
 いや、名前だけのグリフォン騎士としてやろう。

 アレに、聖女の守護騎士は、生涯独身になりそうなほど婚姻が遅くなるから、長男のアルブレヒトは諦めても、次男のグリフォン騎士であるカセロールの方が良いと、ごねられても困るしな。

 アレには、カンパネラ伯爵を継ぐには商才も必要で、それがあったのは、三男のサルバトールだったとでも言おう。

 サルバトールは、魔法騎士団で内勤でもさせれば良いかな‥‥‥ああ‥‥‥面倒くさい。

 だが、アレの性格を考えると、人が羨む男を夫にしているという、虚栄心を満たすのは大事だ。
 また、自分の夫の兄弟が、聖女の守護騎士とグリフォン騎士という立場も大事だろう。

 ふむ、バルディアの分家のブランドル子爵家は、跡取りが娘だったから、そこに次男のカセロールを突っ込んでやるか‥‥‥うん、そうしよう。
 カンパネラ伯爵家を継ぐサルバトールにとって、がっつりとした枷になるだろう。

 そう何があっても離婚できないし、側室や愛妾をもうけられない、状態にしてやろう。
 たとえアレに子供が生まれなくても、アレの性格に嫌気がさしても、生涯アレのお守りをしてもらおう。

 俺とエリカの幸せの為にも、サルバトールには、とうとい犠牲になってもらおう。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~

ノ木瀬 優
恋愛
 卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。 「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」  あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。  思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。  設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。    R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。

【完結】魅了が解けたあと。

恋愛
国を魔物から救った英雄。 元平民だった彼は、聖女の王女とその仲間と共に国を、民を守った。 その後、苦楽を共にした英雄と聖女は共に惹かれあい真実の愛を紡ぐ。 あれから何十年___。 仲睦まじくおしどり夫婦と言われていたが、 とうとう聖女が病で倒れてしまう。 そんな彼女をいつまも隣で支え最後まで手を握り続けた英雄。 彼女が永遠の眠りへとついた時、彼は叫声と共に表情を無くした。 それは彼女を亡くした虚しさからだったのか、それとも・・・・・ ※すべての物語が都合よく魅了が暴かれるとは限らない。そんなお話。 ______________________ 少し回りくどいかも。 でも私には必要な回りくどさなので最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...