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012★今できるコトをしよう
しおりを挟む俺は冒険者達の戦闘を見ながら、一応は見よう見まねでスライムを倒してみた。
どうやら、この世界のスライムは最弱な魔物という位置づけのようだった。
ウェブ小説のなかには、めちゃくちゃ討伐が難しいと言う設定のスライムも居るから、ある意味でホッとしていた。
勿論、初討伐のスライムの魔石を拾うコトも忘れない。
冒険者達は、小物扱いなのか、小さな魔石には見向きもしないので、ちゃっかりと拾わせてもらっている。
いらないのなら、俺がもらっても良いだろう。
こちらの世界のお金を手に入れる為には、売買できるモノが無ければ話しにならないからな。
落ち着いたら、こっちの言葉を地道に覚えるしかないんだろう。
そんなコトを考えて、思わず溜め息を吐いてしまう。
本気で、神殿とか行くコトあったら、召喚に助力したこっちの世界の神様とやらに、ぜぇ~ったいに恨み言を言ってやる。
そんな決意でもしなければ、こんな状況で正気を保つのは難しい。
ただ、他の異世界召喚をされたやつらと一緒じゃなかったのは、本気でラッキーだと思う。
いくら嫌っているやつらだとしても、目の前で危険に晒されているのを見たら、助けてしまうだろうからな。
自分でも甘いとは思うが、それでも同じ時代、同じ年代の同国人を見捨てるコトはできない。
だから、使えない判断して、俺を放逐してくれたコトだけは感謝しよう。
同じように召喚された者達の危機を知らなければ、そして、距離が離れているならば、自分の中の良心が痛まなくて済むからな。
自分の性分ながら、そういう甘さは消しきれないのだからしょうがない。
それゆえに、俺は兄貴の久遠のスペアにもなれなかった。
あのクソジジイに仕込まれた兄貴は、冷酷無比に他者を断罪しても、感情ひとつ乱さない男に育ったからな。
だが、俺にはそんなコトできなかった。
いや、冷静沈着を装うコトはできるが、あのクソジジイの基準からすると、それでは満足できなかったらしい。
なまじ、兄貴が理想通りに完璧に仕上がったコトで、俺を不要と判断したんだろう。
クソジジイは、俺が様々な古武術を学んだコトを知らないからな。
勿論、俺には取り引きなどに有効な霊視能力が備わっているコトも知らない。
今更だけど、この霊視能力に対応したモノが、ギフト化したらどんなモノになったのかなぁ?とは思う。
予想では解析系の能力あたりに変化したギフトになったかもしれないなぁ~とは思うが。
そんなコトを考えつつ、小まめに落ちている小さな魔石を拾い集め、あの兵士達に持たされた布製の袋へとせっせと入れる。
ちりも積もれば山となる。
実際の話し、転がっている小さな魔石も、掌のに一山になるくらいには集まっていたりする。
色は様々で、形もかなり様々だ。
ウェブ小説の中の魔石のイメージとだいぶ違うなぁ~と思いつつも、何かの役に立つはずと拾っている。
ギフトが奪われたセイで、俺は自分のジョブというモノが何か知らない。
確かギフトに、拳聖・剣聖・弓聖があったから、それに類したジョブだろう。
一応の予測できるが、実際はなんだろうか?と思う。
別にギフトを奪われても、俺自身の戦闘能力が無くなったわけでもないし。
唯一困っているのは、言語理解が無いコトで意思疎通が計れないコトぐらいだ。
元の世界に対する未練も、実は不思議な程ないな。
もしかしたら、ギフトの付与と同時に、元の世界に対する未練のようなモノを削り取っているのかもしれないな。
そんなコトを考えてながら、ちまちまとそこかしこに転がっている魔石を拾っていたら、ジョブが盗賊らしい男が戻って来て何やら叫んでいる。
そして、何かの葉っぱに包まれたモノを袋から出して嬉しそうにしている。
ほかの冒険者達も、だいぶ嬉しそうにしているのを見て、俺はピンッときた。
ウェブ小説なんかだと、ああいう葉っぱに包まれているのは、大概が肉だからだ。
もしかして、先行で偵察してきて、魔物を討伐した後にドロップしたのかな?
そう言えば、角ウサギ出たのに、肉がドロップしにかったなぁ………
角がドロップしたけど、冒険者達は興味無かったようで、そのまま進んで行くので、無俺はちゃっかりと魔石と共にドロップした角もしっかり拾っていたりする。
お陰で、持たされた布袋にしっかりと量が溜まってきている。
いや、マジでチリ積もだわなぁ~……
千里の道も一歩より………そう考えて、今できるコトを最大限努力しよう
そう思いながら、冒険者達を見れば、リーダーと思われる男が、俺を見ながら階段らしき方向を指さす。
それで、階下に行くことを知り、俺は頷く。
悪いとは思うが、囲まれるのはイヤなので、ちょっと距離を取りつつ付いて行くことにする。
きっと、俺を真ん中に入れて移動したいのだろうが、言葉が理解らないのに、そんな危険はおかせないからな。
階段を降り始めたコトを確認し、俺も間をおかずに付いて行く。
流石に、ダンジョン内のトラップの対処の仕方など知らないからな。
モノによっちゃー直ぐに復帰するタチの悪いトラップもあるだろうからな。
それが、ランダム転移てきなモノだったら、流石にイヤだ。
こちらの世界の一般常識すら知らないだけに、つかず離れずで目の前の冒険者達に付いて行きたいって言うのが本音だ。
そんなコトを考えつつ、前方を進む冒険者達を見ていたら、斥候に出ていた盗賊の男が手振りと共に何かを叫ぶ。
それと同時に、冒険者達が階段の壁からススッと離れた。
同時に、壁に手を添わせていたのに、サッと手をひっこめる。
そして、俺を振り返り、手振りで壁から離れろと指示してくる。
壁に触れる真似をしてから、腕を交差させてバッテンを作ってみせたので、触るなというコトらしいコトを読み取る。
あっ…もしかして、斥候の盗賊の男が確認した時とトラップの位置が違うのかも
つーことは、もう変わっちゃったってコトだな
俺は、俺に手振り身振りで指示をするリーダーの男に頷いた。
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