25 / 29
0025★全部忘れたい
しおりを挟む煌牙の言葉に、陽翔は言われた意味が理解できずに首を傾げる。
〖えーとぉ……それってどういう意味で言っています?
もしかして、僕の記憶を消せるってコトでしょうか?
っていうか……なんですか?
……そんな哀しそうな顔して?〗
陽翔の感情が良く出る表情を読み取り、煌牙は言葉を続ける。
「ようするに、今日あったコトを記憶の奥底に封じてやる。
ただし、次に俺と会うまでの間だけの話しだけどな。
俺との行為のセイで、日常生活に支障が出たら大変だからな。
陽翔は、俺の大事な【契約者】だから、会わない間だけだ」
煌牙の言った意味を理解し、陽翔は確認のように問い返す。
「それって、煌牙と離れている間は思い出さないってこと?
でもって、次に煌牙と僕が出逢うまでの間って言う、期限付きで意味であってる?」
「ああ…そうだ…俺と出逢ったら記憶は思い出してもらう…俺には、陽翔は堪らなく魅力的な【契約者】だからな。
これっきりっていうのは、流石に無理だけどな」
煌牙の言葉から、今回限りではないコトを知り、開放されない絶望を味わいつつも、陽翔は無意識にクッと唇を噛む。
〖確かに、後半はかなり気持ちイイ思いもしたけど。
怖くて気持ち悪くて…泣き喚いても許されなかったコトなんて、このまま覚えていたくない。
何よりも、なんかのはずみで思い出して起きるだろうフラッシュバックなんてモンも怖いし〗
陽翔は、煌牙が気分が変わって激高するかもしれないコトに怯えつつも、言葉にして確認する。
「それって僕が望めば、次に煌牙に出逢うまでは、今日のコトを忘れていられるってコトですよね」
〖どうやら、本当に煌牙にとっての【契約者】と言う僕と言う存在は、大事なんですね。
だから、そんな哀しそうな顔してるんですね。
でも、御免ねぇ煌牙……僕は今日のコトを忘れたい〗
確認する陽翔に、煌牙は明確に頷く。
「ああ、その通りだ、陽翔……お前は、俺の大事な【契約者】だ。
そして、傍にいるなら手を伸ばす、お前とヤりたいからな。
記憶を封じたまま、初めての状態でレイプされたくないだろ。
まぁ~そういうシチュエーションが好きだって言うなら、俺はかまわないがな…どんな陽翔でも楽しめるからな。
だが、陽翔は、毎回、今回みたいなシチュエーションで俺のモノを味わうのは、流石にイヤだろう?」
その言葉に、陽翔は一瞬で自分の感情がいっぱいいっぱいになってしまい、思わず本音を零れ落とす。
「ひっく……ひと時でも……忘れられるなら…全部…忘れたいよ。
っ…こんな……あうぅぅ…ひっく……悪夢なんて…いらない。
それなら次に会うまでで良いから…全部忘れさせてよ、煌牙」
怒らせる危険があると理解っていても、ほとばしった激情はとまらず、陽翔は煌牙に泣き付く。
【契約者】として大事にしたい相手からの残酷な言葉にも、自分のしたコトを自覚している煌牙は、静かに応じる。
「そうだよな……俺にレイプされたコトなんて…忘れてぇ~よな。
いや陽翔の答えなんて、最初っから判っていたコトだけどな」
煌牙の平坦な声音での言葉に、陽翔は不味ったと内心思いながら、恐る恐る顔を上げる。
〖えっとぉ……煌牙にされたコトを全部忘れたいから記憶を封じてって言ったのに、もしかしなくても怒ってないの?
本当に煌牙は怒ってないの?
それに、なんかさっきより更に哀しいそうに見えるんだけど。
もしかして、本当に僕自身が欲しかったって思って良いの?
でも、煌牙と今日までに、出逢ったコトないと思うんだけど〗
ポーカーフェイスの中に苦いモノを噛んだような感情を隠して、煌牙は陽翔の望んだ答えに頷く。
「良いだろう……それが【契約者】の望みだというなら………」
〖あっ…また……煌牙が…僕を【契約者】って言ってる……それっていったいどういう意味なんだろう? 知りたいけど知りたくない。
湧き上がった性欲を満たす為に、たまたま一人になった僕が、煌牙の目に付いたんじゃなってコトなのかな? わからないけど。
それって単なる性欲発散の為じゃなかったってコトなのかな?
それに、僕とのコトは、今回限りじゃないってコトなんだよね。
次に、煌牙に会って、記憶を思い出した時に、改めて聞こう。
今は…もう…なんか…お腹がいっぱいいっぱいで限界です〗
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる