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0009★紫桜院本家の真の当主になる為に必要なモノは?
しおりを挟む当主の部屋というモノに通された威知護、ひとつ嘆息して用意されていた座布団に取り敢えず座る。
その部屋は、ざ・和室というような露骨に洋モノがカケラも無い部屋だった。
…………でも、爺さんの面影がそこここにあるな…………
…………この部屋だけは、絶対に入れなかったって言ってたし…………
周囲を見回した威知護は、カリカリと頭を掻いて苦虫を噛み潰したような表情になる。
…………取り敢えず、俺の【対】ってヤツを見付けないとな…………
…………〔霊能力〕があってっつーんなら、幼馴染み達にもいるけど…………
…………相性は良いだろうけど、どうもピンっと来ないんだよな…………
…………水晶のお婆風に言わせると、顔を見ただけで判るようだけど…………
…………最終的には、身体を重ねねぇーと…って話しだもんな…………
…………つまるところ、セックスしないと最終判断は出来ないってコトだよな…………
…………でも、流石にあのクズ男は絶対に無い…問題外だ…………
…………はぁ~…マジで勘弁して欲しい…けど…探さないとな…………
…………何時までも、当主の【対】の座を空座にしとけない…………
…………空座にしといたら、あのクズ男がシャシャリ出てきそうだし…………
…………あのクズ男、かなり粘着質なストーカータイプとみた………
…………下手したら、母さんに穢れ神の生け贄の刻印を付けたのはアイツかもな…………
…………なんにしても、今の俺には何の手段もない…………
…………もらったミサンガのお陰で、今のところは大丈夫だけど…………
…………今の俺は、そういう意味じゃ…残念だけど弱い…………
…………いくら、そういうコトを習いだしたって言ってもなぁ…………
…………たぶんだけど、その時がくれば、必要なコトはわかると思う…………
…………今は記憶の中にないけど、もう俺の中にソレは在る…………
…………あとは、ソレを引き出す為の条件を揃えないとな…………
…………その為には、紫桜院本家の歴史を習わないとな…………
そう思いながら、威知護は手首を飾るミサンガを見て溜め息を吐く。
…………結局なんだかんだとドタバタしちまったからなぁ…………
…………ミサンガ欲しいって言っていたのに、連絡もとれねぇーし…………
そして、威知護は自分を迎えに来た集団を思い出す。
…………あー…なんつーチーム名かも忘れちまったぜ…………
…………かろうじて、何名か名前だけは覚えてるけど…………
…………あの時は親父にピキッときて、スマホ置いてきちまったからなぁ…………
…………ちくしょー…電話番号も覚えてねぇーじゃん…俺…………
…………いや、もしかしたらこのミサンガが切れたら、あっち側には判るかも…………
…………俺に憑いてたモンをあっさりと視て祓ってくれたし…………
…………めっちゃ他力本願だけど、今はソレしか無いもんなぁ…………
…………取り敢えず、今はもらったコレのお陰で、霊障みたいなモンもねーしな…………
…………その辺で浮遊霊を拾うコトも無いし、地縛霊に縋り付かれるコトも無い…………
…………確かに、そういう類いから、俺は見えないようだ…………
威知護は今自分に出来るコトは、取り敢えず、新しい学校に通い【対】となる者を見付けるコトしかないと自覚する。
…………新しい学校は…桜霞学園だったっけ…………
…………そこに居たらいいよなぁ~…って安直すぎるよな、流石に…………
そうこうするうちに、執事頭の萌葱が現れ、お茶をテーブルに置いて、これからの日程を口にする。
取り敢えず、威知護は年齢的にも、まだ学生と言うコトもあり、桜霞学園に編入するコトになった。
編入試験は、即日でも受けられるというコトなので、明日受けに行くコトにする。
寮もあると言う話しだが、威知護は当然自宅通いというコトだった。
通学は、通学専用の運転手で送り迎えが決定していた。
いや、先代の娘とその婿と、自称珠貴の元婚約者が、追い出されたにもかかわらず、本家のまわりをうろついているというコトで、車でドアツードアで通学となった。
ちなみに、車の運転手は、萌葱が選んだ三人が交代でするコトになっていた。
名前は、常盤に若竹に青磁の三人組だった。
三人ともに血縁で親戚関係というコトだった。
更に言えば、容姿もかなり似通っている。
性格は温厚だが、ひとたび怒ると鎮まるまで時間がかかるタイプだと、後からこっそりと浅葱が威知護に教えてくれたのは言うまでもない。
そして、厳重警戒の中、桜霞学園の編入試験を受け、あっさりと合格する威知護だった。
普通に学校に通い、夜は寝るまでの間に紫桜院本家の本来の役割や、過去に起こったコトを勉強する毎日となった。
休日は、朝から晩まで、紫桜院本家についての勉強に加え、基礎的な祝詞や祓い術などを習う日々がそうして始まったのだった。
誕生日を契機に、威知護の日常は劇的に変化するのであった。
それでも、まだ威知護は知らない。
非常識がまかり通り、日常が懐かしいと思う日々が来るコトを…………。
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