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0004★何のことはない日常

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 威知護いちごは、今日も今日とて入学したての双葉高校の教室で幼馴染み達と喋っていた。

「そう言えば、威知護いちごの誕生日って明日だよね
 天気良いみたいだから、天の川を観れるかもね」

威知護いちごの誕生日って七月七日だったけ
 七夕だから、意外と忘れやすい日だよね」

「そうそう、七夕イベントで盛り上がって
 誕生日が霞んじゃうんだろうね」

 幼馴染みだけに何の含みも無くただ事実だけをいう女性陣が口々に言うその言葉に、親友・武虎がくすっと笑って言う。

「確かにロマンチックなイベントと重なるのちょっとツライな」

 その言葉に、ちょっと威知護いちごはげんなりする。

「ああ、七夕はキツイよ…でもって、はぁ~…
 この年で、誕生日を祝うの勘弁して欲しいよ」

 威知護いちごの言葉に、もうひとりの親友・蒼龍が言う。

「良いんじゃないの、一生懸命に楓ちゃんと紅葉ちゃんが
 威知護いちごの誕生日を祝ってくれるんだからさ

 ボクなんて、そういうイベントしたコトないよ
 ウチの親父はそういうのキライだからさ」

 蒼龍の言葉に、威知護いちごは肩を竦める。

「まぁ~可愛い妹達が一生懸命だからな
 拒否するのも大人おとなげないってのはわかってるよ」

「それより、図書館に行くんでしょ」

「ああ、この〔霊能力〕ってヤツをもう少し有効に使いたくてな
 ただえるだけじゃ使いようが無いからな」

 威知護いちごの言葉に、蒼龍が首を振る。

「十分に有効活用していると思うけどねぇ………
 傷口の再生なんてお手の物じゃない」

 そのセリフに、女性陣のひとり、陽葵ひまりがつい先日のコトを思い出して言う。

「そう言えば、大丈夫だったの威知護いちご
 あんた、ナイフで左わき腹を刺されたでしょう

 一瞬だけ、顔を痛みに顰めたけど
 その後ケロッとした顔していたけど

 あの時ナイフの柄まで刺さっていたわよね」

 陽葵ひまりのセリフに、威知護いちごは肩を竦める。

「ああ、それは大丈夫だったぜ…普通の傷だからな
 そういう意味じゃ何の支障も無く細胞活性かけて治した」

 威知護いちごの言葉に引っかかるモノを感じた武虎が、不審そうな表情で聞く。

「普通じゃない傷なんてあるのか?威知護いちご

 その問い掛けに、肩を竦めて頷く。

「ああ、マジで簡単に治癒出来ない傷ってあるんだよ
 いわゆる、呪いの類いが染み込んだ凶器で切り付けられると

 細胞活性を掛けても、思うように細胞分裂しなくて
 なかなか傷口を塞ぐコトが出来ないんだよ

 ほんのつい最近にも、変な女に付き纏われてさぁ………
 なんか悪霊っぽいのなすりけられたんだ」

 威知護いちごのセリフに、蒼龍が心配そうに聞く。

「それで、大丈夫だったのかい?今はなんともなさそうだけど
 なすりけられた悪霊ははらえたのかい?」

 蒼龍の言葉に、威知護いちごは溜め息ひとつ吐いて言う。

「ほら…なんとかっていう暴走族だかチーマーだかに呼び出された
 あの日になすりけられちまったんだよ
 それも、電車の中でだぜ

 突然、変な女に手を取られてベロリッて手首舐められてよぉ
 めっちゃ気色悪くて、気持ち悪かった

 途端に、こう…なんかゾクゾクしたモン感じたんで
 あっ…コレってヤバいヤツだって感じたんだ

 だから、陽葵ひまりや蒼龍が呼び止めたのを無視して
 一目散に離れて、距離を取ったんだよ

 ああいうのって、身の回りの者にも災いを呼ぶじゃん
 したら、ソレに釣られたのか、変な男達は現れるしよぉ

 モロ、カルト集団に追っかけられる生け贄って感じでさ
 悪いと思ったけど、指定時間の都合もあったんで

 そのまま、呼び出された指定場所に行ったら
 そういうモンの対処に慣れているらしくてさ

 はらってくれて、お守りにミサンガもらったよ
 ソレがコレなんだけどな」

 と、威知護いちごは手首を見せる。

 蒼龍と陽葵ひまりは、幼少期から威知護いちごと一緒に居るセイか、やはり《力》の強弱は多少あるもののえる人だったりする。

「うわぁ~イイなぁ~…このミサンガ凄い」

「ああ、本当にね…ボクも欲しいくらいだよ」

 頷き合う蒼龍と陽葵ひまりに、威知護いちごはクスッと笑って言う。

「次に会うコトがあったら譲ってもらえないか聞いとくよ
 流石、こういう小物の作り方はわからないからさ

 単なるミサンガなら簡単に作れるけど
 【守護結界】を付与なんて出来ないからさ

 だいたい、そういう付与する方法や
 やり方がわからないから作れないんだよなぁ………」

 威知護いちごの言葉に、他の女性陣も手を上げる。

「だったら、私も欲しいぃぃ~…最近変なのえるし
 一緒にシェアハウスしている陽葵ひまりちゃんも居るから
 まだ平気な感じだけど

 なんか最近、変質者っぽいのも出没しているみたいだし
 一緒にシェアハウスしているもうひとりの唯奈ゆいなちゃんも
 なんか変なモンたって言っているし…………」

 と、美桜みお威知護いちごに訴える。

「それは不味いね…単なる変質者だったら対処できるけど
 かれている人は、どうしようもないからねぇ………」

 と、蒼龍が苦虫を噛み潰せは、ちょっと遅れて教室に入って来た唯奈ゆいな威知護いちごに抱き付いて言う。

「ふぇぇぇ~ん…なんか変なのにつけられたよぉぉ~……
 美桜みお陽葵ひまりに付き合ってもらえば良かった」

 と言いながら、顔をこすこすと威知護いちごの背中に擦りつける。
 コレは昔からのクセで、変なモノに出会うと、よく威知護いちごの背中に張り付くのだ。

 本人曰く『威知護いちごに擦り付くとなんか浄化される気がするの』だそうな。

 そんな唯奈ゆいなの行動に、本当に霊的なモノが出没しているコトを感じるのだった。

「さて、落ち着いたか唯奈ゆいな

「うん、もう大丈夫」

「なんかイヤな予感するから、かならず複数で行動するコト
 特に、唯奈ゆいな美桜みおはな

 勿論陽葵ひまりもな
 今までは、単独で行動しても平気だったかもしれないけど

 俺でさえ、変な悪霊みたいなモンなすりけられたからな
 蒼龍と武虎も、出来るだけ唯奈ゆいな達と行動してくれよ」

「了解、その方が安全だろう」

「だね、それじゃ今日はみんなで図書館にでも行こうか」

 そう行って、威知護いちごを先頭に、ゾロゾロと図書館へと向かうのだった。
 この日が、威知護いちごが幼馴染みの仲間達と一緒に行動出来た最後の日となるコトは誰も知らないコトだった。











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