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0166★お寿司も堪能してしまいました

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 ルリとグレンとユナで、どのお弁当を確保するかで喧々諤々けんけんがくがくしている間に、リアはお寿司のパックの蓋を開けて、ワサビと醤油を取り出し、小皿に入れて用意する。

 「お弁当を分け終わったんなら、お寿司を食べよう……お醤油だけの皿とワサビと醤油のお皿があるからね……ワサビっていうのはツンとして辛いモノだよ……ただ、私にとっては、清涼感があって美味しいんだけどね……最初は、醤油だけ付けて食べてみてね」

 そう言えば、お弁当を分け終わったらしい三人は、何時もの位置で着席する。

 「そのワサビってヤツはどんなモンなんだい?」

 ルリの質問に、リアは前世で知っていたコトを口にする。

 「んぅ~……清流で涼しい場所に自生していたり、専用の畑を作ったりして作られる薬味って言えば良いのかな? 香気があって、辛味があるのが特徴で、抗菌作用……ようするに、殺菌作用があって、他に抗寄生虫作用に、食欲増進なんかもある……薬草のようなモノね……ほら、お寿司っていうのは、お魚を生で食べるから、そういう作用のある薬草も必要だったのよ……ってことで、最初はちょびっと付けて食べるから初めてね……それじゃ、改めていただきます」

 うふふふ……ひさびさ……それも前世ぶりのお寿司ぃ~……
 さぁ~て…何から食べようかなぁ~……って、最初はやっぱりマグロでしょ
 今回のお寿司には、本マグロが入っているんだもの……ラッキー……

 リアは、赤身に綺麗な脂肪が細かい網目状に入っている本マグロを、あえて手づかみで掴んで、ワサビ醤油にチョンチョンして、パクッと食べる。

 オハシを使っても良いんだけど、今日の気分は手づかみなのよ
 何と言っても、スーパーユウヒのお寿司はネタが大き目だから好きなのよねぇ~
 回るお寿司は、ネタも薄くなって、シャリ(お米)も小さくなっちゃったから………

 アレは、オハシで食べるモノよねぇ~……だって小さいから、オハシでも充分だし
 それに、ふんわりとか言って、シャリの握りが甘いから、手づかみは合わないのよねぇ
 オハシでソッと摘まんで食べないと、分解しちゃう可能性があるから……

 はぁ~……それにして、本マグロ……それも大トロ……最高よ
 デ……ゲフンゲフン……ちょっと余分三兄弟の長兄が飛び出して来そうだけど、美味しいのよ
 いや…お寿司って本当は味の薄いイカや白身魚を最初に食べるってマナーは知っているけど

 私は、前世ぶりのマグロを楽しみたいんだもの……はぁ~……トロッとして美味しいわ
 うっとりする……改めて、前世で私が生きていた祖国って本当に幸せに満ちた国だったわぁ~……
 夜中に出歩いても安全で、食べ物は種類が豊富で、女のお一人様でも生きやすい国だったもの

 言葉だって、たしかに多国語を習得した方が、色々な意味でお得ではあったけど
 母国語だけでも、何の不自由もなく生活出来たものねぇ……はぁ~…懐かしいよぉ~…
 なまじお寿司…それもマグロの大トロを食べただけに…郷愁が凄いわ

 ちょっとお贅沢とか言って、スーパーユウヒのマグロ祭りの時によく買ったのよねぇ~
 じゃなくて、ここはガリを食べてぇ……口の中をさっぱりさせて、エビよぉ~
 うふふふ……ボタンエビぃ~……これは甘いのよねぇ~……ちょっとワサビ醤油付けて

 んぅ~…美味しいぃ~……次はホタテぇ~……ホタテ…高くなったのよねぇ~…
 たまぁ~に殻付きホタテを買って、フライパンで蒸し焼きにバターと醤油落として食べたわねぇ

 ああ、ホタテも甘いわねぇ~……うん…お寿司最高ぉ~……
 ふふふふ…次は…いくらぁ~……コレって…ふと…ゲフンゲフン…考えないっ…よしっ
 サーモンも美味しいわぁ~…養殖モノだからある意味では、安全だしね

 本当に、食という意味では、とにかく全般的に発達していた国だったわぁ
 なんといっても、世界で一番に食に五月蠅い民族って言われていたみたいだもんね
 ネットを使って調べものしている時に、チラッとそんな記述を見たわ

 リアは久しぶりのお寿司を堪能して、ゆっくりと味わって食べていた。
 その様子を見て、好奇心の強いユナが、リアの真似をしてマグロを手づかみして口に運ぶ。
 勿論、ワサビ無しの醤油だけのモノにチョンチョンっと付けて、ぱくっと口に入れる。

 そして、頬を両手で押さえて、その美味しさに喜ぶ。
 勿論ルリもグレンもそれに続いた。
 そして、大人組はワサビ醤油で、お寿司を堪能し始める。

 生魚であるコトを、誰も気にせず、あっという間にお寿司は食べ終わってしまう。
 リアは卵焼きをシメとして食べ終わる。
 ちなみに、全員シメは卵焼きだった。

 「はぁ~……美味しかったわぁ~……前世ぶりのお寿司」

 うっとりしながら、そう言うリアに、全員が頷く。

 「ああ…このお寿司ってぇーのも美味いな……また食いたいな」

 「うん、美味しかったぁ~……ユナはあのオレンジ色のお魚と、薄紅色のお魚が好きかなぁ~……」

 ユナの言葉に、リアはクスクスと笑いながら頷いて言う。

 「ああ…サーモンと大トロね……確かにどちらも、美味しいものねぇ……」

 余分三兄弟の長男がしたり顔で、親指を立てている幻影が見えたが、リアはソレを無視する。

 「アタシも、ユナと同じだよ……あの二つはもう一度食べたいねぇ……」

 と、珍しくおねだりが強いルリに、リアはああと思う。

 考えてみたら、ルリって大型の魔獣だけど猫科なのよねぇ~……
 ちゅ~〇を買ってあげたら喜ぶかしら?
 マタタビなんかも良いかも……じゃないでしょ、私

 とは言え、堪能してしまったわ……せっかく減った体重………振り返るな、私
 何にしても、異世界ネットショッピングのレベルを上げる為には、買い物しないとね
 ルリ達の様子を見ながら、しばらくはスーパーユウヒかなぁ~……

 そんなコトを考えつつ、リアはちょっと無意識に左腕を上げて伸びをしていた。
 
 確か、こうすると胃の動きが良くなるって聞いたのよねぇ~……
 あれ? ちょっとまって…これって食べ過ぎた時だったっけ?
 まいっか…なんにしても、かき揚げ乗せたうどんに、お寿司はちょっと食べ過ぎよね

 リアは、今日の飽食を反省する。
 それもこれも、朝食を摂らずに、移動したセイだというコトは綺麗に忘れているリアだった。
 ちなみに、ワイバーンを討伐したり、カレンと契約したりで、お昼の時間をとうに回っているので、ペロリと入ってしまったコトも意識外だったリアだった。

 ルリとグレンは、いまだに身体の肉が戻っていないので、いくらでも入る状態だったりする。
 そして、ユナはと言えば、幼体とは言え神獣なので、こちらも大量の魔素を含んだ食物が必要だった。

 そして、リアは意図していないが、異世界ネットショッピングで買われた食品は、時空間を捻じ曲げて、この世界へと召喚しているので、とても高い魔素を含んでいたりする。
 ラノベあるあるな食品だというコトに、根本的には気付いていないリアだった。

 そんなリアは、もう一度、今度は全身を伸ばすようにくぅ~っと両手を上げてから、ルリ達を振り返る。

 「少し落ち着いたら、もう少し進もうか?」

 リアの言葉に、グレンが応じる。

 「そうだな……何時、俺達がさっさと出発したコトに気付いて、俺達を追い駆けて来ている奴等が追い付くかわからないからな」

 「だね…高い能力を持つリアを狙う輩がいるかもしれないからねぇ……」

 グレンにルリと続いて、ユナも頷く。

 「うん…それに、ナナのお乳のコトもあるから……売ってくれって追い駆けてくるかもだもんね」

 「ああ……それもあったな……んじゃ…ちょっと食べたばかりかも知れないけど、出発しちまうか……追い付かれたら面倒だからな」

 そう言って、グレンは馬達の方に行く。
 ルリは周囲を確認しに、サッと本体の猫型魔獣になって走って行く。
 ユナは、リアと共にテーブルなどしまって、馬車の中へと入って行くのだった。
 勿論、クインを筆頭としたシャドウハウンド達も、小型化して姿見の中へと入ったコトは言うまでもない。










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