167 / 173
0166★お寿司も堪能してしまいました
しおりを挟むルリとグレンとユナで、どのお弁当を確保するかで喧々諤々している間に、リアはお寿司のパックの蓋を開けて、ワサビと醤油を取り出し、小皿に入れて用意する。
「お弁当を分け終わったんなら、お寿司を食べよう……お醤油だけの皿とワサビと醤油のお皿があるからね……ワサビっていうのはツンとして辛いモノだよ……ただ、私にとっては、清涼感があって美味しいんだけどね……最初は、醤油だけ付けて食べてみてね」
そう言えば、お弁当を分け終わったらしい三人は、何時もの位置で着席する。
「そのワサビってヤツはどんなモンなんだい?」
ルリの質問に、リアは前世で知っていたコトを口にする。
「んぅ~……清流で涼しい場所に自生していたり、専用の畑を作ったりして作られる薬味って言えば良いのかな? 香気があって、辛味があるのが特徴で、抗菌作用……ようするに、殺菌作用があって、他に抗寄生虫作用に、食欲増進なんかもある……薬草のようなモノね……ほら、お寿司っていうのは、お魚を生で食べるから、そういう作用のある薬草も必要だったのよ……ってことで、最初はちょびっと付けて食べるから初めてね……それじゃ、改めていただきます」
うふふふ……ひさびさ……それも前世ぶりのお寿司ぃ~……
さぁ~て…何から食べようかなぁ~……って、最初はやっぱりマグロでしょ
今回のお寿司には、本マグロが入っているんだもの……ラッキー……
リアは、赤身に綺麗な脂肪が細かい網目状に入っている本マグロを、あえて手づかみで掴んで、ワサビ醤油にチョンチョンして、パクッと食べる。
オハシを使っても良いんだけど、今日の気分は手づかみなのよ
何と言っても、スーパーユウヒのお寿司はネタが大き目だから好きなのよねぇ~
回るお寿司は、ネタも薄くなって、シャリ(お米)も小さくなっちゃったから………
アレは、オハシで食べるモノよねぇ~……だって小さいから、オハシでも充分だし
それに、ふんわりとか言って、シャリの握りが甘いから、手づかみは合わないのよねぇ
オハシでソッと摘まんで食べないと、分解しちゃう可能性があるから……
はぁ~……それにして、本マグロ……それも大トロ……最高よ
デ……ゲフンゲフン……ちょっと余分三兄弟の長兄が飛び出して来そうだけど、美味しいのよ
いや…お寿司って本当は味の薄いイカや白身魚を最初に食べるってマナーは知っているけど
私は、前世ぶりのマグロを楽しみたいんだもの……はぁ~……トロッとして美味しいわ
うっとりする……改めて、前世で私が生きていた祖国って本当に幸せに満ちた国だったわぁ~……
夜中に出歩いても安全で、食べ物は種類が豊富で、女のお一人様でも生きやすい国だったもの
言葉だって、たしかに多国語を習得した方が、色々な意味でお得ではあったけど
母国語だけでも、何の不自由もなく生活出来たものねぇ……はぁ~…懐かしいよぉ~…
なまじお寿司…それもマグロの大トロを食べただけに…郷愁が凄いわ
ちょっとお贅沢とか言って、スーパーユウヒのマグロ祭りの時によく買ったのよねぇ~
じゃなくて、ここはガリを食べてぇ……口の中をさっぱりさせて、エビよぉ~
うふふふ……ボタンエビぃ~……これは甘いのよねぇ~……ちょっとワサビ醤油付けて
んぅ~…美味しいぃ~……次はホタテぇ~……ホタテ…高くなったのよねぇ~…
たまぁ~に殻付きホタテを買って、フライパンで蒸し焼きにバターと醤油落として食べたわねぇ
ああ、ホタテも甘いわねぇ~……うん…お寿司最高ぉ~……
ふふふふ…次は…いくらぁ~……コレって…ふと…ゲフンゲフン…考えないっ…よしっ
サーモンも美味しいわぁ~…養殖モノだからある意味では、安全だしね
本当に、食という意味では、とにかく全般的に発達していた国だったわぁ
なんといっても、世界で一番に食に五月蠅い民族って言われていたみたいだもんね
ネットを使って調べものしている時に、チラッとそんな記述を見たわ
リアは久しぶりのお寿司を堪能して、ゆっくりと味わって食べていた。
その様子を見て、好奇心の強いユナが、リアの真似をしてマグロを手づかみして口に運ぶ。
勿論、ワサビ無しの醤油だけのモノにチョンチョンっと付けて、ぱくっと口に入れる。
そして、頬を両手で押さえて、その美味しさに喜ぶ。
勿論ルリもグレンもそれに続いた。
そして、大人組はワサビ醤油で、お寿司を堪能し始める。
生魚であるコトを、誰も気にせず、あっという間にお寿司は食べ終わってしまう。
リアは卵焼きをシメとして食べ終わる。
ちなみに、全員シメは卵焼きだった。
「はぁ~……美味しかったわぁ~……前世ぶりのお寿司」
うっとりしながら、そう言うリアに、全員が頷く。
「ああ…このお寿司ってぇーのも美味いな……また食いたいな」
「うん、美味しかったぁ~……ユナはあのオレンジ色のお魚と、薄紅色のお魚が好きかなぁ~……」
ユナの言葉に、リアはクスクスと笑いながら頷いて言う。
「ああ…サーモンと大トロね……確かにどちらも、美味しいものねぇ……」
余分三兄弟の長男がしたり顔で、親指を立てている幻影が見えたが、リアはソレを無視する。
「アタシも、ユナと同じだよ……あの二つはもう一度食べたいねぇ……」
と、珍しくおねだりが強いルリに、リアはああと思う。
考えてみたら、ルリって大型の魔獣だけど猫科なのよねぇ~……
ちゅ~〇を買ってあげたら喜ぶかしら?
マタタビなんかも良いかも……じゃないでしょ、私
とは言え、堪能してしまったわ……せっかく減った体重………振り返るな、私
何にしても、異世界ネットショッピングのレベルを上げる為には、買い物しないとね
ルリ達の様子を見ながら、しばらくはスーパーユウヒかなぁ~……
そんなコトを考えつつ、リアはちょっと無意識に左腕を上げて伸びをしていた。
確か、こうすると胃の動きが良くなるって聞いたのよねぇ~……
あれ? ちょっとまって…これって食べ過ぎた時だったっけ?
まいっか…なんにしても、かき揚げ乗せたうどんに、お寿司はちょっと食べ過ぎよね
リアは、今日の飽食を反省する。
それもこれも、朝食を摂らずに、移動したセイだというコトは綺麗に忘れているリアだった。
ちなみに、ワイバーンを討伐したり、カレンと契約したりで、お昼の時間をとうに回っているので、ペロリと入ってしまったコトも意識外だったリアだった。
ルリとグレンは、いまだに身体の肉が戻っていないので、いくらでも入る状態だったりする。
そして、ユナはと言えば、幼体とは言え神獣なので、こちらも大量の魔素を含んだ食物が必要だった。
そして、リアは意図していないが、異世界ネットショッピングで買われた食品は、時空間を捻じ曲げて、この世界へと召喚しているので、とても高い魔素を含んでいたりする。
ラノベあるあるな食品だというコトに、根本的には気付いていないリアだった。
そんなリアは、もう一度、今度は全身を伸ばすようにくぅ~っと両手を上げてから、ルリ達を振り返る。
「少し落ち着いたら、もう少し進もうか?」
リアの言葉に、グレンが応じる。
「そうだな……何時、俺達がさっさと出発したコトに気付いて、俺達を追い駆けて来ている奴等が追い付くかわからないからな」
「だね…高い能力を持つリアを狙う輩がいるかもしれないからねぇ……」
グレンにルリと続いて、ユナも頷く。
「うん…それに、ナナのお乳のコトもあるから……売ってくれって追い駆けてくるかもだもんね」
「ああ……それもあったな……んじゃ…ちょっと食べたばかりかも知れないけど、出発しちまうか……追い付かれたら面倒だからな」
そう言って、グレンは馬達の方に行く。
ルリは周囲を確認しに、サッと本体の猫型魔獣になって走って行く。
ユナは、リアと共にテーブルなどしまって、馬車の中へと入って行くのだった。
勿論、クインを筆頭としたシャドウハウンド達も、小型化して姿見の中へと入ったコトは言うまでもない。
28
お気に入りに追加
693
あなたにおすすめの小説
下剋上を始めます。これは私の復讐のお話
ハルイロ
恋愛
「ごめんね。きみとこのままではいられない。」そう言われて私は大好きな婚約者に捨てられた。
アルト子爵家の一人娘のリルメリアはその天才的な魔法の才能で幼少期から魔道具の開発に携わってきた。
彼女は優しい両親の下、様々な出会いを経て幸せな学生時代を過ごす。
しかし、行方不明だった元王女の子が見つかり、今までの生活は一変。
愛する婚約者は彼女から離れ、お姫様を選んだ。
「それなら私も貴方はいらない。」
リルメリアは圧倒的な才能と財力を駆使してこの世界の頂点「聖女」になることを決意する。
「待っていなさい。私が復讐を完遂するその日まで。」
頑張り屋の天才少女が濃いキャラ達に囲まれながら、ただひたすら上を目指すお話。
*他視点あり
二部構成です。
一部は幼少期編でほのぼのと進みます
二部は復讐編、本編です。
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと
Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる